在宅医療の職分
書籍内容
最新の医学的知見とテクノロジーを駆使し、日々成長し続ける
在宅医は幅広い知識や経験を備えたジェネラリスト!
患者の「最期まで自分らしく」を叶える
高齢者一人ひとりの尊厳を守る“在宅医療の使命”とは
世界でも類を見ないほどの高齢化が進む日本では、増え続ける医療ニーズへの対策が
喫緊の課題となっています。
特に、外来については高齢者医療の受け皿として十分に機能しているとはいえない
状況だと著者は指摘します。日本の医療は臓器別・診療科別を基本とするため、
複数の疾患をもつケースが多い高齢者は受診先が多く通院の負担が大きくなります。
また、身寄りがない高齢者にとっては、医師から処方された薬を正確に飲むことも難しく、
時間や回数、量を間違えてしまうなど服薬管理に関するトラブルはあとを絶ちません。
増え続ける高齢者に対し適切な医療サービスを提供する体制が整わないままでは、
多くの高齢者が最期まで安心して人生をまっとうすることが困難となってしまいます。
著者は2016年に大学を卒業して医師となり、精神科医として総合病院に勤務していた
ときに、この非常事態ともいえる高齢者医療の現状に危機感を抱くようになりました。
そして、高齢者が自宅で安心して暮らしていける医療の必要性を改めて実感したと
いいます。
そこで、自宅などに医療従事者が訪問して診療を行う在宅医療が日本の
高齢者医療における救世主となると考え、24時間365日対応の在宅療養支援診療所を
開設しました。
開設当初は10人以下だった患者が、3年後には累計で650人を超えようとしており、
在宅医療のニーズの高さを示す結果となっています。
この経験を通して、著者は在宅医療こそ超高齢社会にある日本を支える高齢者医療の
中核であり、屋台骨であると考えています。
在宅医療は勤務医や開業医としてキャリアを積んだ年配の医師が行う“最後の奉公”の
ようなイメージを多くもたれますが、決してそうではありません。
超高齢社会の日本において、大きなやりがいや魅力がある、若い年代の医師こそ
目指すべき仕事だというのが著者の主張です。
本書では超高齢社会における在宅医療の職分を詳しく紹介します。
今後のキャリアを考えている医師や医学生にとって、在宅医療という選択肢に目を向け、
その扉を開くきっかけとなる一冊です。