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『サラサラ血液を手に入れる 血流“劇的”改善法』著者・三上信久医師インタビュー|西洋医学×東洋医学の血流改善法で慢性的な体調不良を解消!
慢性的な肩こりや頭痛、何となく体がだるい。このような原因不明の体調不良に悩まされている方は多いのではないしょうか。そのような方におすすめの書籍が、『サラサラ血液を手に入れる 血流”劇的”改善法』です。東洋医学の観点から不定愁訴の原因を血流の悪さに見出し、新しい治療法を提唱する著者の三上信久さんは現役の内科医。本書について、三上医師にお話をうかがいました。
慢性的な体調不良を解消するワーファリン治療
――あらためて、今回『サラサラ血液を手に入れる 血流”劇的”改善法』を刊行されたきっかけをお聞かせください。
この本で紹介している「ワーファリン治療」は、いろいろな不定愁訴に効果のある治療法ですが、残念ながら私のほかにはまだ誰も行っていません。学会などでは発表しているのですが、もっと広く知ってほしいという気持ちから、本にしようと考えました。
――本書には、一般読者が日々実践できるような健康に役立つ情報のほかに、比較的専門的な症例などについても述べられていますね。
一般読者だけでなく、医療関係者の方にもぜひ本書を読んで、新しい治療法について知っていただきたいと思っています。現段階では「ワーファリン治療法」はほとんど理解されておらず、実際、近隣の医療関係者の方から、「なぜワーファリンを処方するのですか」という問い合わせがよく来ます。
というのも、ワーファリンは血液を固まりにくくする抗凝固薬で、心房細動や深部静脈血栓症などの疾患に使われるのが一般的だからです。しかし、不定愁訴の原因が東洋医学でいうところの「瘀血」であった場合、冷えや肩こりなどの症状にもワーファリンは効果的なのです。
私の「ワーファリン治療法」は、メディアなどでよく聞く「血液サラサラ」を、血液検査の結果から科学的に定義して行うものだといえるでしょう。
東洋医学の「瘀血」という考え方
――三上先生は東洋医学にも造詣がおありですが、東洋医学において人体を構成する基本的な要素、「気血水」について教えてください。
まず「気」は一般用語の「気」と同じです。「気力がない」とか「あの人は浮気している」とか「気」にもいろいろな種類がありますが、東洋医学の「気」も同じような意味を持っています。気力が低下すると食欲が落ちますので、食欲を指す場合もあります。
「血」は、血液のほかに体の丈夫さを表しています。体の丈夫な人は「血が充実している」、反対に弱々しい場合は「血が不足している」ということになります。
そして「水」は、口から入る水分と体から出ていく水分のバランス、つまり代謝ですね。
こうしてみると、「気血水」は漢方用語ではありますが、普段私たちが使っている一般用語の概念と、それほど変わらないものであることがわかるのではないでしょうか。
――先ほどさまざまな不定愁訴の原因として「瘀血」について述べられましたが、瘀血とはどのような状態のことをいうのでしょうか。
血液が流動性を失って滞っている状態のことを「瘀血」といいます。漢方では、なかなか治らないような症状は血に起因していると考えます。たとえば、風邪で具合が悪くなっても風邪が治れば体調は元に戻りますよね。これは瘀血とは関係がありません。でも、しつこい冷え性や腰痛など、普通の治療でよくならない症状については瘀血を考えましょうというのが、漢方の常識なのです。
――なるほど。その「瘀血」にはどのような症状があるのですか。また、瘀血の原因や治療法も教えてください。
とくに多いのは冷えや凝り、体のだるさなどの症状ですが、そのほかにもいろいろな症状が出る可能性があります。本書で紹介している頭痛やむくみの例もそうです。むくみは「気血水」における「水」の不調、「水毒」が原因の場合もあるのですが、一般的な水毒の治療でよくならなければ、血が関係していると考えられます。
また、血液がサラサラだと出血しやすいと考える人が多いですが、それは逆で、血液がよどんでいるほうが出血します。これは血液が流れにくいと毛細血管の一番細いところで詰まってしまい、その結果、血管が壊れてしまうためです。これまで私が診てきた症例にも、眼底出血や下血がありました。出血は瘀血のサインのひとつなのです。
一番重症なものは、エコノミークラス症候群として知られている病状です。足でできた血栓が肺に移動して、最悪の場合、呼吸困難で命を落としてしまうこともあります。
また、がんとも相関関係があると考えられています。がん細胞は、人の体に備わっている免疫細胞が血液に乗って近づいて来ないよう、血液を凝固させてバリアを張るといわれています。したがって、がんがある人は血液が凝固しやすいといえます。
瘀血の原因にはいろいろなケースがありますが、一番大きな原因は食事と運動不足です。歩くなど体を動かして血流を促進しないと、血がよどんで下半身にたまってしまい瘀血になりやすくなります。また、糖尿病の方は血が固まりやすいので、運動をしていても瘀血になる可能性が高まります。
瘀血の治療には抗凝固薬のワーファリンが有効です。抗凝固薬には心房細動に使うDOACという薬もありますが、血液をサラサラにする度合いの調節が非常に難しく、またワーファリンに比べて薬価も100倍くらい高価ですから、私の治療ではワーファリンを使っています。
大手企業を退職して医学の道を目指す
――三上先生ご自身のこともお伺いしたいと思います。三上先生は大阪大学の工学科をご卒業後、いったん大手金属加工会社に入社されたものの、約半年で退社して医学の道へ進まれました。転身のきっかけは何だったのでしょうか。
会社の同期に私と生年月日が同じ人がいて、親近感もありよくその人と話をしていました。彼は親戚が営む診療所で病気に苦しむ患者さんの姿をよく見てきたので、医療関係者にはなりたくない、患者さんと向き合うのは辛いものだと言います。それを聞いて、私だったらむしろ苦しむ人を助けたい、もしかしたら私は医療職に向いているのかもしれないと考えるようになりました。
一方で、会社の仕事についてはあまり自分に合っていないように感じていましたので、希望退職者の募集があったときに退職し、もう一度勉強し直して医学部へ進学しました。
――そこで東洋医学や漢方についても学ばれたのですね。
いまでこそ東洋医学の講義も医学部の必修科目になっていますが、私が医学生だった頃は、東洋医学や漢方は希望する学生が自主的に勉強するというものでした。そこで私も漢方の先生を訪ねて行って、漢方や針灸を学びました。病気について体を部分的にしか診ない西洋医学だけでは、患者さんの治療に限界があると感じたためです。
ところが当時はどこの病院でも西洋医学ばかりで、漢方薬を使う先生はほとんどいませんでした。私が研修医や勤務医として勤めた病院でも使われていたのは西洋医学の薬だけで、そこで私は西洋医学が万能ではないことを身をもって知りました。
民間病院で内科医をしていたときのことですが、病院の職員が風邪をひいたので西洋医学の唯一の風邪薬であるPLを処方したところ、どうやらまったく効かなかったらしく、「風邪も治せないドクター」だと思われてしまいましたね。それ以来、風邪を中心として漢方薬治療を始めるようになりました。
やはり西洋医学だけではなく、体全体を見て、なぜこの病気になるのかという原因を考える東洋医学も必要なのです。
念願のクリニックを開業しワーファリン治療を開始
――その後、ついに開業されるのですね。三上先生が開業された「下長内科クリニック」はどのような病院なのですか。
入院施設もある内科系の診療所です。
私が研修医として勤めた札幌徳洲会病院では365日患者を断らないというのがモットーで、私の下長内科クリニックもそれを引き継いで、365日24時間オープンの精神でやっています。いまは当院のほかにも時間外で診てくれる急病診療所などがありますが、開院当時は夜中に診察に来られる方も多く、私も寝る暇がないような状態でした。
――三上先生のクリニックで、「ワーファリン治療」を行った患者さんの具体例を教えてください。
たくさんありますが、足の痛みを訴えていた37歳の女性の例をご紹介します。その患者さんは、片方の足のひざから下全体が痛むので1年間整形外科に通っていたのですが、全然よくならないので私のところに来られました。
診察して、足の痛みだけでなく重だるさもあるという症状から、典型的な深部静脈血栓症だとわかりました。血液検査をすると、血の固まりやすさの指標となるPTINRの値が1以下で、これは血流が悪いということを示しています。そこでワーファリンを処方したところ、2週間でよくなりました。
――足が痛いというと整形外科かなと思いがちですが、内科の可能性もあるということですね。三上先生が医師として大切にされていることはなんでしょうか。
瘀血の大きな原因はやはり食事ですから、病気にならないようにするためには食事をよくすることが基本です。そこで正しい食事を摂るように来院された患者さんに伝えたり、ミニコミ誌に書いてクリニックに置いたりしています。
――では、最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。
血流をよくするためには、ワーファリンによる治療だけでなく、普段の生活習慣も大切です。本書には、瘀血を予防する食事や運動、入浴方法などについても紹介していますので、ぜひ普段の生活に取り入れて、健康寿命をのばしてほしいと思います。
また、これまで瘀血は科学的に立証こそされていませんでしたが、東洋医学では2000年以上前から知られている病状です。それが血液検査を取り入れた私の診断でかなり科学的にわかってきたと思いますので、ワーファリン治療を全国、全世界のドクターに理解していただけたら嬉しいです。