テッコツ! 知られざる鉄骨の世界
書籍内容
自分の仕事を歴史に刻め!
高層ビルからタワマン、東京タワーやスカイツリーも。
街のランドマークの骨格をつくる「テッコツ」の仕事とは?
数々の大型建築に携わる鉄工所への取材をもとに、
その知られざる魅力に迫る。
スケールの大きな仕事に関わりたい人、地図に残る仕事がしたい人必読の一冊。
ビルやマンションからスタジアム、電波塔まで、建築物の骨組みとなるのが鉄骨だ。
しかしそれが一体どのようにして、どのような人たちによってつくられているかはあまり知られていない。
鉄骨は鉄工所で鋼材を加工し、それらの部材を複雑な形に溶接し、検査を経て建設現場に出荷され、鳶職人らによって組み上げられる。
本書では鉄骨加工の仕事の魅力を、東京スカイツリーやSNSで人気の水族館などの巨大建築物の事例をもとに紹介していく。
ものづくりが好きな若い人が、地図や歴史に残る鉄骨の仕事の魅力を知ることができる一冊。
目次
はじめに
PART 1 高さ日本一の建築物、東京スカイツリーへの挑戦
高さ世界一の電波塔を鉄骨で造る
600メートル以上の上空で鉄骨は組めるか?
どうしてもやりたい――社員からの直談判で少量からスタート
チームで作る鉄骨のデザイン・設計
空から落ちてくる「つらら」を防げ
工場で4回、現場でもスカイツリーホワイトを上塗り
溶接ロボットが思ったように動かない
図面だけでなく製品検査のレベルも厳しい
業者が多く現場の工事が思ったように進まない
スカイツリーを造る一流の職人たち
工事中に東日本大震災が発生し8メートル揺れる
社員の成長が一番の成果
PART 2 街づくりに欠かせないテッコツの歴史
240年前にイギリスで造られた橋が世界最古の鉄骨建築物
パリのシンボル「エッフェル塔」も鉄骨で造られている
鉄骨の登場が建築物に革命を巻き起こした
どんどん高くなる超高層ビル! 鉄骨の登場がニューヨークの摩天楼を生んだ
ルッカリー・ビル(アメリカ)
バンク・オブ・マンハッタン・トラスト・ビル(アメリカ)
クライスラー・ビル(アメリカ)
エンパイア・ステート・ビル(アメリカ)
ワールド・トレード・センター(WTC)(アメリカ)
直径約200メートル! 世界初の超巨大空間アストロドームの屋根は鉄骨でできている
地震大国ニッポンの建築にも鉄骨が大きな役割を果たしている
東京タワーで使われた鉄骨の量はエッフェル塔の約半分
PART 3 巨大建築を支えるテッコツのスゴさ
ラーメン構造や三角形のトラス構造 鉄骨はどうやって組み上げる?
用途によって異なるいろいろな鉄骨の形
H形
I形
山形
みぞ形
角形
円形
木造や鉄筋コンクリートとは何が違うの?
木造(W造)
鉄骨造(S造)
鉄筋コンクリート造(RC造/Reinforced Concrete)
鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造/Steel Reinforced Concrete)
強くてしなやか 粘りのある鉄のほうが強い?
鉄骨会社は5階級 グレードによって手掛けるものが違ってくる
PART 4 知られざるテッコツの仕事
鉄骨に欠かせない切断、組み立て、溶接はどのように行われる?
鉄骨の移送は専用の巨大なクレーンで行われる
孔あけ
厚さ1センチ以上の鉄骨もなめらかにカットする切断技術
素地調整
開先処理
プレート処理
パーツを正確に合わせる組み立て作業は鉄骨の花形
温暖化対策も考えられた溶接技術
女性も大活躍! 繊細な感覚を必要とする鉄骨の溶接技術
品質管理(検査)
塗装
保管・出荷
鉄骨会社の人たちはどんな働き方をしているの?
溶接、工程管理、検査など、鉄骨に関わる仕事には資格がたくさん
鉄骨の加工から納品まで、鉄骨に関係する仕事はたくさんある
鉄骨会社を中心に打ち合わせは進む
世界の市況を見極めて最高の鉄骨を仕入れる購買の仕事
鉄骨会社には鉄骨加工のための専用図面が存在する
鉄骨業界で働く人材も多様化 働きやすい職場整理が進んでいる
PART 5 有名な建築物やランドマークに携わる使命
事例① クラゲ展示数世界一を誇る地元の人気スポット 鶴岡市立加茂水族館
約1万匹のクラゲが漂うクラゲドリームシアター
デザイン性に富んだ設計のため作図が大変
船のような形をしている加茂水族館の外観
強い海風のためにたびたび工事が止まる
地元の子どもたちの遠足の定番スポットに
事例② JR鶴見駅直結の駅ビル CIAL鶴見
駅ビル丸ごと一棟、2000トン強の鉄骨をイタガキ1社で手掛ける
現場を知っているからこそ正確な図面が描ける
駅舎との接続部分は実際に現場を見ながら進めた
大型トレーラーの搬入ができない
現場で組み立てようと思ったら孔(あな)が小さくボルトが入らない
事例③ 世界最大規模の 豊洲市場
打ち合わせ中に図面がどんどん変わっていく
現場で加工できないメッキ指定のパーツが多かった
自分が手掛けた建物はできるだけ訪れる
おわりに