一品勝負 地方弱小メーカーのものづくり戦略

梯 恒三[著]

2022.04.22

990円(税込)

幻冬舎

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書籍内容

「低価格、高品質」の輸入品が市場を席巻するなか
がけっぷちの会社が開発した「究極の一品」

度重なる試作の失敗。倉庫に溢れ返る在庫の山。
そんながけっぷちに立たされた地方弱小メーカーが挑んだのは、
日本初となる脱脂綿寝具の開発だった。
「不純物」と言われていたものを脱脂綿と組み合わせるという
当時の常識を覆すアイデアを採用し、開発期間は実に10年にも及ぶ。
試行錯誤の末に自分たちにしかできない「一品」を生み出し、
今や日本有数の寝具メーカーへと成長した地方弱小メーカーのものづくり戦略とは──。

龍宮株式会社は福岡県の小さな寝具メーカーです。
主要製品である「パシーマ」は医療用脱脂綿を用いた寝具で、
2021年には日本で3社しか認定されていない「JBAヘルスケア認定寝具(TM)」
に選ばれました。
もともとは医療用脱脂綿メーカーで、
1970年代に安価な輸入品との価格競争により売上が半減してしまいます。
倒産危機のなか、創業者である著者の父は
自身のアトピー性皮膚炎をきっかけにパシーマの開発をスタートしました。
脱脂綿を活用した前代未聞の寝具の開発は難航を極め、
製品化までに10年の歳月を要しました。
製品化後もすぐには売れず、
知り合いの寝具専門店に数点置いてもらうことから始まりました。
徐々に口コミで品質の良さが広がり
百貨店で取り扱ってもらえることになって不動の主力製品へと成長し、
龍宮株式会社を日本有数の寝具メーカーの地位まで押し上げました。
本書では時代に淘汰されつつあった地方弱小メーカーが、
苦難を乗り越え日本初の脱脂綿寝具を生み出したストーリーを綴っています。
ものづくり企業が忘れてはいけない精神や、生き残り戦略のヒントが詰まった一冊です。

目次

はじめに

第1章 成熟社会で変化し続ける消費者ニーズ
「低価格、高品質」の量産品が製造業にもたらす脅威
成熟社会で多様化する消費者のニーズ
正攻法では大手や海外に勝てないのか
減少の一途をたどる日本の寝具専門店
旧態依然としていた地方の中小企業
サプライチェーンに飲み込まれていくものづくりメーカー
日本のものづくりの基盤となっていたサプライチェーンが切れていく
中小ものづくりメーカーはどう生き残っていくのか

第2章 先細りする業界……苦境を救った革新的なアイデア
誕生の原点は創業者が温め続けた「願い」
戦後日本の復興と歩みをともに
工場火災とオイル・ショック
社員一丸となった復旧作業 その頑張りが仇に
起死回生の新製品開発に成功するも突然の取引停止に
苦渋の決断
地元を挙げての援助体制
再建への道
時代を先取したアイデアも不発
地場産業のパートナーとなることに活路を見いだす
逆境でつかんだ新製品開発の糸口
日本人の住環境の変化と増えるアレルギー
きっかけは幼少期のアイデア
常識破りの脱脂綿

第3章 開発直後に直面した壁、難航する製品化……
常識破りの「不純物(ポリプロピレン)」の採用で活路を拓く
難航する製品化
品質向上のかぎとなったのは「不純物=ポリプロピレン」の混合
綿の加工の工夫
100回の洗濯に耐えられる強度をもつガーゼを求めて
快適に使えるサイズへの挑戦
ブレない「ものづくりの魂」
開発に成功するも売れないという現実
大学機関との連携によるエビデンス獲得
世界基準の安全性が証明される
安全のために万全を期す

第4章 大手には真似できない「完全内製化」を確立
自社完結で効率と品質を極限まで高める
織機を導入し生産体制を整備
自社一貫生産体制によって売れるタイミングを逃さない
こだわるところは時間や手間を惜しまない
トレーサビリティの導入
機械のメンテナンスも自分たちで行う
進化し続ける工場

第5章 先代から踏襲し続ける「作り過ぎない」信念
唯一無二の価値を世界へ広める
ガーゼの山を前に骨身に染みたのは「作り過ぎること」の弊害
他社に依存せずに自立する
自立し機動的なことができる会社になる
小さな会社だからこその消費者とのコミュニケーション
地域の薬局で睡眠の悩みを解決する存在に
満を持して海外へ
次世代に託す「一品勝負」の新たな活路

第6章 初心を忘れないものづくりこそ時代を越えて愛される
愚直に信念を守り、貫き通すことが生きる道
自然と共生しながら「水の里」に根付いた工場
「古くなってもゾーキンなどとして最後まで使えます」の精神
時代を越えて地域への恩返しを
これからも全員野球型の組織で
時代を越えて受け継いでいく「ものづくり」の精神

おわりに

著者:梯 恒三

1956年12月6日生まれ、福岡県うきは市出身。
1980年3月に熊本大学機械工学科を卒業し、日本機械学会の「畠山賞」を受賞。
大学在学中に創業者の父・禮一郎氏に請われて、一年間休学して家業を手伝う。
大学卒業後に龍宮に入社。2012年に三代目の代表取締役社長に就いた。
「パシーマ」一筋の経営を展開し、数々の賞を獲得。
2021年には「JBAヘルスケア認定寝具(TM)」「地域未来牽引企業」に選ばれた。
「パシーマ」の売上を順調に伸ばし、商品バリエーションも増え、社業を発展させている。
日本睡眠改善協議会(JOBS)の「睡眠改善インストラクター」の資格をもつ。
座右の銘は「天網恢々疎にして漏らさず」「曲なれば全し」。

ネット書店

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