地方中小メーカー5代目が挑んだ企業再生 平凡という非凡

書籍内容
負債総額10億円からの企業再生
経営の“当たり前”を徹底すれば、どん底からでもV字回復できる
危機的状況にあった会社を引き継ぎ、
平凡かつごく当たり前の改善策で経営を立て直した5代目が語る、
〝身の丈〟に合った事業戦略と経営ビジョンとは
経営を立て直したくても、大企業のような資金も人材もなく、
日々の仕事に追われているなかではどこから手を付けるのが正解か分からない、ましてや大掛かりな経営改革などしている余裕がない……。
多くの中小企業経営者が、そんな悩みを抱えています。
危機を迎えている中小企業経営者が取り組むべきなのは、大掛かりで特別な改革ではなく、
当たり前すぎて今さらに思えるようなことの徹底であるというのが著者の主張です。
家業の老舗メーカーを継いだ5代目社長である著者は、
自身が継ぐ前の会社も崖っぷちにあったといいます。
先代の経営者は高度成長期やバブル期のどんぶり勘定感覚が抜けず、
赤字になっても危機感がない放漫経営を続けていました。
その結果、負債総額10億円を抱えて民事再生を余儀なくされ、なんとか民事再生終結後も企業として生き残ることができたものの、
ずさんな品質管理、やる気のない社員、生産現場に無関心の経営層など、企業としての体をまったくなしていない状態でした。
こうした状況に危機感を強くした著者は、5代目として事業承継してから、
企業としてのスタートラインに立つべく基本を徹底するという意識で経営改善を断行します。
まず著者が行ったのは、納期厳守と品質管理の徹底でした。
そして社員のやる気を引き出すために公正な評価制度に基づく社員への利益還元を進め、
さらに現場の状況をつぶさに把握して生産性のボトルネックを解消するための設備投資を行うなど、
会社に必要な「当たり前のこと」を一つひとつ徹底的に行っていきました。
その結果、革新的なアイデアやずばぬけた経営の才能がなくても、
民事再生終結時と比べて利益を7倍にして安定させるまでに経営改善を成功させました。
当たり前を徹底すれば、たとえ債務整理がかかるようなどん底の状態からでもV字回復できる可能性があると著者はいいます。
本書では、著者の経験を踏まえ、教訓をたどりつつ「凡事を尽くす経営」のあり方についてまとめています。
先の見えない経済のなかで迷い悩んでいる中小企業経営者にとって、経営改善のヒントが得られる一冊です。