起死回生ロード ~倒産寸前企業の事業再生~
書籍内容
数々の同族企業を蘇らせた
経営コンサルタントが教える
「成功する事業再生」
2代目の放漫経営により膨れ上がった赤字……
倒産必至の飲料OEMメーカーは
いかにして復活を遂げたのか――
全国どこにでもある同族企業の再建事例をストーリー化。
ポイント解説で事業再生の道筋がよくわかる一冊。
現在、国内企業の96%以上は同族経営だとするデータがあり
(「会社標本調査」国税庁、2020年度)、
同族企業は数のうえで日本経済や雇用を支える基盤の役割を果たしているといえます。
同族経営は、企業理念や事業の展望などスムーズに引き継がれるため
事業を継続しやすい特徴があります。
しかし、同族経営ゆえの課題やトラブルを多く抱えているのも事実です。
ガバナンスに加えて、他人からはうかがいしれない家族間の複雑な人間関係や、
理屈では会社経営と関係ないはずの家族の事情が、
直接的に経営に悪い影響を与えてしまうことがよく見られます。
本書では、放漫経営からの立て直しや事業承継等の問題を抱える
数百の同族企業の問題を解決へと導いてきた著者が、
とある倒産寸前の同族企業の事例をもとにしたストーリーで
「事業再生」の道筋を数々のポイントとともに解説します。
自社の経営状態が悪く悩んでいる同族企業の経営者にとって、希望となる一冊です。
目次
プロローグ
[第1章]公私混同の放漫経営…… 暴走する2代目社長
株式会社ノノマル
創業者の功績
「家」を重んじる教育
2代目社長の暴走
歪んだ人事、「品川派」と「7人のサムライ」
無謀な売上拡大路線
ずさんな経理
【ポイント解説】
▼なぜ創業家において、2代目の育成が難しいのか
▼後継者育成とあわせて、後継者の「右腕」を育成することが重要
[第2章]「この会社は絶対に潰れる……」 崖っぷちで固まった社内改革の覚悟
「不祥事」の真相
追加融資の条件
山積する社内課題
起死回生への第一歩
【ポイント解説】
▼2代目が陥りやすい「売上拡大主義」「新機軸主義」のワナ
▼損益計算書の重要性
▼経営危機企業を立て直せるかどうかを見極めるポイントは2つ
▼会社の財務危険度を簡単に測る指標
[第3章]激化する経営権を巡る骨肉の争い 混乱のなか陣営を整え改革を始動
仕入先からの取引条件変更要請
リスケ実施のための条件
経営改善計画案
リスケ交渉決裂と再交渉
【ポイント解説】
▼キャッシュの動きを把握することの重要性
▼きちんと説明すれば、銀行はリスケに応じてくれる
[第4章]原価管理システムの導入、営業スタイルの転換、人事制度の再構築…… 事業再生に向け施策を実行
ガバナンス改革
社員説明会
人員整理
さまざまな経費削減
キャッシュの創出と工場の不正
組織改革、業務改革に着手
セクショナリズム打破を図る
営業と呼べない営業からの脱却
仕入先、仕入条件の見直しと工場改革
生産管理、原価管理システムの導入を検討
頓挫した人事制度改革
【ポイント解説】
▼キャッシュ創出
▼人員整理には慎重な対応が求められるが、必要があれば粛々と実施する
▼損切りを実施するには、管理会計による財務情報の裏付けも必要
▼サンクコスト(埋没費用)に左右されない
▼売上を増やす施策は難しい
[第5章]同族経営の争いに終止符を打つ勝負の一手 「株式の集中」で企業再生を加速させる
泥沼化する同族経営の争い
弘樹の代表取締役辞任と、株式売却
加速する社内改革
改革の最後の仕上げ、原価管理システムの導入
特定株主の排除、弘樹の追放
スクイーズアウトという最終手段
【ポイント解説】
▼株主がもつ経営支配権と、取締役(経営者)がもつ業務執行権は明確に分けて考える
▼少数株主を軽視してはいけない
▼スクイーズアウトという方法もある
[第6章]数々の試練を乗り越え2年で完全黒字化に成功 さらなる成長のために決断した第三者承継という道
次の事業承継へ
第三者承継の選択
【ポイント解説】
▼親族承継の可能性がないなら、早めにほかの方法を想定して準備を進める
▼第三者承継を有利に進めるポイント
エピローグ