大企業イノベーション 新規事業を成功に導く4つの鍵
書籍内容
大企業ならではの難しさがある!
時代の変化を乗り越える新規事業開発
NECの新規事業開発担当者、初の著書!
数々の新しいビジネスモデルを開発・事業化してきた著者が
大企業でイノベーションを起こすためのポイントを解説!
AIや各種ロボットの活用、自動運転の高度化やさまざまな用途に対応する
ドローンの開発など、世界ではITや製造業を中心にあらゆる技術が発展を続けています。
過去の成功モデルがいつまでも通用することはなく、
イノベーションを起こさなければ時代の大きなうねりのなかで淘汰されてしまいます。
しかし、日本ではこれまでITや製造業を牽引してきた大企業において
イノベーションは停滞していると著者はいいます。
社内の優秀な人材は既存事業のエースとして囲われていることが多く、
新規事業開発の場面で活躍する機会はまれです。
新規事業のアイデアが生まれても社内には意思決定者に上申して承認を得るという
何段階ものプロセスが待ち構えています。
さらにそこでの評価は「どれくらいの売上になるのか」「3年で黒字化できるのか」
「リスクは全部つぶしたか」など、既存事業と同じ時間軸と基準が適用され、
結果として事業の芽が摘まれてしまうということが起きています。
また「コア技術や優秀な人材は外に出すべきでない」と内部リソースに過剰にこだわり、
外部との連携の機会を失うといったことも起きています。
著者が所属するNECもこうした課題を抱え、研究シーズはあるが事業化が
下手だといわれる大企業の一つだったといいます。
しかし、業績が大きく悪化した2013年に「このままでは未来はない」という
経営層の強い危機感から事業の創出と保守的な組織文化の改革を目的として
「ビジネスイノベーション統括ユニット(BIU)」を立ち上げ、
NECがイノベーティブな企業に変わっていくために再生への第一歩を踏み出しました。
著者は新規事業部門が既存事業の基準においては評価されにくい側面があり、
開発の妨げになっていることを問題視して、新たに新規事業向けの業績評価制度を
つくりました。さらに新規事業の立ち上げでは、大企業が抱えるスピード感の課題を
解決するために社外資本を活用したカーブアウトを積極的に行い、
並行して社内外の知見を融合させるオープンイノベーションを大胆に
推し進めていきました。その結果、アメリカでAIデータ分析事業を行う企業の設立や、
海外企業との協業で進めるAI創薬事業やヘルスケア分野への進出など、
これまでになかった事業を次々と創出し、成功することができています。
著者はこれらの経験を通して、大企業がイノベーションを成功させるためには
「4つの鍵」があることを確信したといいます。
初動で明確なビジョンとゴールを定めること、新規事業開発を担える人材を招集し
継続的に育成する仕組みを構築すること、新規事業開発の事業評価制度を
新たに確立すること、そして新規事業開発プロセスごとの共通言語をつくることです。
これらができれば大企業発のイノベーションは成功へと近づくのです。
本書は、この4つの鍵についてNECの事例も交えながら詳しく解説しています。
大企業で新規事業開発に取り組むうえで、成功への道筋を明らかにすることができる、実践的な一冊です。