介護事業の守り人
書籍内容
資金難、人材不足、経営者の高齢化……
課題山積の介護事業所を「M&A」で救え!
介護ニーズが高まるこれからの時代
介護事業M&Aの重要性はさらに増していく──。
ストーリーで学ぶ介護事業承継の道筋
超高齢社会に突入した日本では介護ニーズが年々高まっており、厚労省によると
通所介護事業所は2020年時点で約4万4000施設を数え、10年前と比べておよそ1万施設も増加しています。
しかしその一方で、廃業を余儀なくされる介護事業所が一定数存在するのも事実です。
東京商工リサーチによると、介護事業所の倒産数は2015年以降から増加しており、
近年では年間100施設以上が廃業しています。
この状況に対して、著者は倒産の大きな理由の一つに国が定めている介護報酬が低いことによる
経営の悪循環が挙げられると指摘しています。
介護報酬が低いため介護事業で働く人の給与水準はなかなか上げることができず、
施設側は安い給料で人材を確保しなければなりません。
そのため人手を集められない施設は入居者へのサービスの質も低下し入居者は減っていき
、施設の資金繰りが苦しくなります。
この負のスパイラルによって廃業を余儀なくされる介護事業所が後を絶たないのです。
介護施設を手放したいけれど、入居者を放り出すわけにはいかない。
しかし、もう自分の手で運営していくのは限界だ──。
こうした苦しみを抱えている介護事業の経営者は少なくありません。
その解決策として著者が有効だと考えている手法が、M&Aです。
M&Aであれば、新たに介護施設を運営したいと考えている人へ既存の施設を引き継ぐことができ、
利用者はもちろん、そこで働く介護スタッフの雇用を守ることもできるのです。
本書では複数の医療法人を運営し、73歳から介護事業のM&Aを手掛けきた著者のM&Aストーリーをつづり、
それぞれどのような思いで買収を決意し、その後どのようなエンディングを迎えたのかをまとめています。
悩める介護事業者を救い、日本の介護業界の未来を明るく照らすきっかけとなる一冊です。
目次
はじめに
プロローグ 資金難、人材不足、経営者の高齢化……
介護事業所から聞こえてくる悲鳴に、一人の老人医師が立ち上がった
・「もう無理かもしれない」介護事業者の悲鳴が聞こえる
・中小介護事業者を追い詰めるものの正体
・介護事業所の廃業が意味すること
・公的な施設である特別養護老人ホームが倒産する時代に
・介護業界でも増えてきたM&A
・介護業界のM&A事情
・M&Aで規模や事業領域の拡大を進める大手事業者の動き
・「四方よし」となるM&Aという選択
【STORY1】 資金難の介護付き有料老人ホームから突然届いたSOS
――入居率回復に挑んだ買収後の大改革
・突然届いたSOS
・ボトルネックを徹底調査
・マネジメントに課題を抱える介護業界
・マネジメントを担う人たち
・リーダーの教育こそが法人全体のパフォーマンスを上げる
・目の前の業務に追われる現場の負担を軽くする
・グループのノウハウを活かした業務の効率化
・マネジメントできる人材を育てる
・職員の意識に変化が起き始め入居率も回復
【STORY2】 深刻な人手不足に陥っていた介護事業所
――事業買収で従業員の雇用と利用者の生活を守る
・M&Aの仲介業者からの連絡
・資料を見て検討する
・事業をゼロから立ち上げる大変さを軽減できるM&Aのメリット
・資料の数字以上に大切なのは「人」
・東京のオフィスで行われたトップ面談
・反響のない求人広告と後手後手になる入居者のケア
・優秀な人材を集めるための工夫
・グループ全体での求人で人手不足解消を
・職員と利用者の幸せを守る
【STORY3】 11施設を運営する社会福祉法人が直面していた後継者不在問題
――〝燃え尽き症候群〟の理事長を救った事業承継
・燃え尽きた理事長
・後継者不在でハードの老朽化も
・水面下で進むM&Aのプロセス
・手続きに3年を要する
・病院と介護施設との連携が抱えていた課題
・全職員の継続雇用を実現
・毎月会議に通ううちに訪れた変化
・変えるべきところは変える
・事例研究会でノウハウを共有
・グループで物流の仕組みを共有する
・エリアが違う施設同士のM&Aで災害時の連携が可能に
・前理事長はM&A後も週に1回の診療に
エピローグ 介護ニーズが高まるこれからの時代
介護事業M&Aの重要性はさらに増していく
・重要性が増すM&Aの選択
・Begin. Continue.
・「自分の手で一人でも多くの人の命を救いたい」
・人の命を救いたい――その思いの先に
・医師として、経営者として
・今、生きていることへの感謝を胸に
・「5S」の精神を共有できる仲間とともに介護の守り人として
おわりに