起業家ナース

大石茂美[著]

2023.02.02

1650円(税込)

幻冬舎

単行本

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書籍内容

何かを始めるのに遅過ぎることはない!

介護士が笑顔で働ける施設をつくりたい――
51歳、ベテラン看護師の遅咲き起業物語


本書は理想の介護施設の実現を求めて、51歳で起業したベテラン看護師の物語です。

著者がはじめて介護の世界に足を踏み入れたのは、急性期病棟の看護師として
約18年働いた後のことでした。
勤務する医療法人の人事異動で介護施設の責任者に任命されたことがきっかけです。
死と隣り合わせの救急病棟とは異なり、介護施設ではゆったりと時が流れていると
著者は想像していました。
しかし実際は介護士が一日中慌ただしく動き回り、ゆとりのない介護士に介護される
利用者は笑顔を失っていたのです。
著者は根気強く施設の設備や環境を整え、施設の雰囲気は徐々によくなっていきましたが、
それでもまだ介護士はどこかストレスを抱えている様子のままでした。

利用者を笑顔にするためにはまず介護士自身が笑顔でいなければいけない――
そのためには職場環境などの目先の条件を整えるだけではなく、
土台となる教育から変える必要があると著者は悟りました。
長年勤めた法人を退職し、M&Aで介護施設を譲り受け51歳で起業をしたのです。
しかしその施設は利用者が少なく、その大半が福祉を利用して安い家賃で入居していたため、
経営状態は赤字続きの状況でした。
それでも志を同じくする仲間の看護師とともに徹底的に施設のランニングコストを削減し、
約4カ月で黒字化に成功しました。
教育については、介護士が初任者研修や実務者研修を受けながら
実際の現場も体験できる学校を設立しました。
介護士が心から笑顔で働ける理想の施設を実現するために著者は現在も日々奮闘しています。

本書は、理想の介護施設の実現を目指し51歳で起業をした著者の軌跡を通じて、
「何かを始めるのに遅過ぎることはない」ということ、そして介護事業のあるべき姿や利用者に
必要な真のケアについても学ぶことができる一冊です。

目次

はじめに

第1章 慌ただしく動き回り、疲弊するばかりの毎日――
患者一人ひとりに寄り添えない「病院看護の現実」
メリヤス業を営む両親のもとに誕生
目の前で倒れたてんかん患者
宝石鑑定所でバブル景気を実感
看護助手第1期生として採用、医療の道へ
やる気に火をつけた先輩看護師の一言
出願の締め切り2日前に看護学校受験を決意
最もやりがいを感じた救急医療
戦争経験者だった祖父が教えてくれたこと
国境なき医師団を目指して単身渡米
帰国後は名前に惹かれて急性期病院へ入職
自分で考えて判断できる看護師のあり方を知る
ミスをフォローしてくれた理事長への敬意
役職をもつために正看護師の資格を取得
介護施設に行ったら、もう二度と病棟には戻れない……
看護師には丁寧に、介護士には乱暴になる利用者たち
介護現場の深刻なヒエラルキー
介護士と利用者の間の深刻なコミュニケーションエラー
管理者もオーバーワークでマネジメント不可能な状況
孤立無援の介護施設で一人頭を抱える日々

第2章 看護師のままでは状況は変えられない――
患者に寄り添う看護・介護実現のために施設開業を決意
利用者が幸せであるためには介護士が幸せでなければならない
介護士の身だしなみを大改革
洗濯、掃除、調理などを外注し、介護に専念できる環境をつくる
5S活動を導入し職場環境を改善
駐車場でまさかの事故、それでも怒らなかった利用者家族
新施設のお披露目会で起きたハプニング
理念の共有で理事長からの信頼が回復
介護事業全体を統括する立場に就任
医療と介護の連携に取り組む
介護施設で取った場違いな行動
「生かす」のが医療、「生きる力を支える」のが介護
介護士を下から支えるのが看護師の役目
介護の面白さにどんどんハマる
ゼロから創り上げていくことに喜びを感じる
自身のマネジメント能力不足に悩む日々
マネジメントを学ぶ機会がない医療・介護現場
マネジメントセミナーで目から鱗が落ちる
新たな挑戦をするために退職を決意
51歳にして新しい世界に飛び出す
法人の傘の下で守られてきた自分の甘さ
人生で初めてのM&Aを契約
譲り受けたのは蜘蛛の巣だらけの大赤字施設だった
蜘蛛の巣掃除からスタートした施設経営
「いつか笑い話になる」という仲間の言葉
給料が支払えない恐怖

第3章 起業して分かった真に求められる看護・介護のカタチ――
“誰も取り残さない”在宅医療と介護施設の整備
ランニングコストの改善に着手
介護事業は人とサービスのマッチングが命
4カ月ほどで黒字転換を果たす
次なる目標に見据えたのは在宅だった
専門職が点で存在し、連携が取れていないという地域の課題
紙ベースのアナログが支配する在宅介護
フランスの研修旅行で知った在宅入院制度
精神科を除くすべての退院患者が対象に
理想の施設づくりから思いは在宅へと広がる
介護サービスでは解決が難しい高齢者の「孤食問題」
高齢者は退院後の機能回復の場がない
入院で寝たきりになった高齢者が1カ月で立てるように
介護は生活を支えるプロフェッショナル
リスクを避け過ぎて自由を奪ってはならない
コロナ禍で面会制限せず、感染者はゼロ
増え続ける医療的ケア児
障がいをもつ子どもの入浴施設がない
障がいをもつ人が暮らせるグループホームも不足
根底にあるのは介護士の教育が不十分なこと
共通言語をもつ看護師、バラバラの方向を向く介護士
実習が必須でないことが職場とのミスマッチを生み出す

第4章 起業家ナースだからこそ実現できる!
地域に根ざし、看護と介護の境目がないサービスの提供
心が起きれば生きる力が湧いてくる
偶然の出会いが結んだあるグループとの縁
ロジスティクスをもつ異業種だからこそできること
不合理なルールも多い介護保険制度
街づくりのシンボルとなる施設の建設に着手障がいをもつ子どもの入浴付きデイサービスも併設
地域のコミュニティづくりも目標の一つ
異なる世代との触れ合いは双方にメリット大
地域で暮らすすべての人がコミュニティの主体になれる
実習ができる介護士の学校も開設
介護士は障がいをもつ人のケアもできる専門職
心理学のアプローチで介護士の自己肯定感を上げる
介護職が医療的ケアを行うための研修も提供
人と人とがともに笑い、ともに泣ける場所

おわりに

著者:大石茂美

株式会社POLTE BONHEUR代表取締役社長
1968年大阪府岸和田市生まれ。高校卒業後、歯科助手、宝石鑑定所などで働くもバブル崩壊をきっかけに医療業界へ転職。看護助手、准看護師、正看護師とステップアップしながら急性期病院を中心におよそ20年間キャリアを積む。所属する医療法人の介護施設長などを経て、2019年に株式会社POLTE BONHEUR(ポルトボヌール)を設立し、訪問看護事業などを展開。2021年に間口ホールディングス株式会社グループ企業となり、現在に至る。

ネット書店

  • https://amzn.to/3f3Yc6Z

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