社会貢献と安定収益を両立する 介護事業者のための児童デイサービスの始め方

田中 卓[著]

2023.02.21

990円(税込)

幻冬舎

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書籍内容

児童デイサービスは
介護保険制度の変化に左右されない
新たな経営の柱

介護事業のリソースは児童福祉に活かせる!
立地から人財採用・教育、運営まで
児童デイサービスを成功させるポイントを徹底解説


団塊世代の約800万人が後期高齢者となる2025年を迎えるなか、介護事業者の倒産が増加しています。
「高齢者介護事業は儲かる」といわれた時代もありましたが、
現在は社会保障費の財源の限界もあり、介護報酬のマイナス改定が続いています。
著者は2007年に両親の訪問介護事業を受け継いで以降、デイサービスやサービス付き高齢者向け住宅、
有料老人ホームなど多角化を図ることで事業を拡大してきました。
しかし年々経営の厳しさが増すことに限界を感じ、事業者の福祉の経験や知見を活かして安定的な経営や
企業成長をしていける方法はないだろうかと模索するなかで、児童デイサービスにたどり着きました。
児童デイサービスとは発達に遅れや特徴がある子どもを対象に、
日常生活における基本動作や知識技能の習得の支援をするための福祉サービスです。
発達障がいを抱える児童は年々増えており、国も児童デイサービスの再編に力を入れています。
著者は、介護事業者が児童デイサービスを開設することにはさまざまな
アドバンテージがあると考えています。
例えば介護で行う面談やアセスメント、ケアプラン立案などのオペレーションは基本的な考え方や
ポイントを児童支援にも活用できるため、スタッフの配置転換や兼務などにより
人件費や採用費を節約することが可能です。
さらに、現状の介護施設に空きスペースがある場合は、
そこに児童デイサービスを併設することで家賃を抑える手もあります。
つまり、少ない初期投資かつ短期間で事業を軌道に乗せることができるのです。
本書では著者の経験を基に、介護事業者が児童デイサービスを開設するために必要な考え方を解説します。
福祉の経験や知見を活かして安定的な経営や企業成長を目指す介護事業者に
ぜひ手に取っていただきたい1冊です。

目次

はじめに

第1章 社会ニーズが高まる「児童デイサービス」
介護事業者に圧し掛かる経営難とコロナ禍
情熱や使命感があれば経営できる時代は過ぎた
事業拡大の難易度が高まり、生き残りはさらに過酷
介護保険制度の変化に左右されない、次なる事業を構築する必要性
発達障がい児のためのデイサービスが活況
社会的ニーズの高さに供給が追いつかない現状
増える発達障がい児 20年で7倍、13万人超に
共働きが増えたことも療育ニーズが高まる一因
法改正によって児童デイサービスの需要増が加速
事業者に必要なのは「公益性と収益性」の両立

第2章 介護事業のリソースは児童福祉に活かせる
「高齢者介護×児童デイサービス」のアドバンテージ
介護事業者が児童デイサービスをやるからこそ意味がある
発達障がいは、障がいと個性の境目が分かりづらい
児童デイサービスには「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」がある
児童支援とはその子の発達に合わせた支援をすること
発達特性のある子を早期支援することの重要性
営利のみを目的とした参入でさまざまな問題が起きている
児童をただ遊ばせているだけの事業所も……問われるサービスの質
わが子を通わせたいと思える児童デイサービスとは?
専門性を発揮できる本物の事業者が求められている
アドバンテージ① 高齢者と児童の触れ合いが生むシナジー効果
アドバンテージ② 社員の技能やキャリアが高まる
アドバンテージ③ 社員の定着率が上がり長く働いてくれる
アドバンテージ④ 高齢者介護のリソースを活用できる
アドバンテージ⑤ 2つの事業を行うことで経営の安定性が増す
アドバンテージ⑥ 関わる人みんなを笑顔にできる

第3章 立地から人財採用・教育、運営まで
児童デイサービスを成功させるポイント
介護事業者が児童デイサービスで失敗しないための考え方
持続可能な事業にするには「走り出す前」のプランニングが大事
テクニックやマニュアルより「理念・ビジョン・ミッション」を重視する
事業所のコンセプトや強みを明確にする
他社との差別化を図る
事業所の理念やビジョンを言語化して社員と共有する
地域の市場調査、分析から開業適地を決める
提供したいプログラムに合わせてレイアウトを設計する
介護施設の空きスペースを有効活用する方法もある
路面ガラス張りは理想だが、ビルの上階でも問題なし
児童デイサービスに必要な部屋と設備
カーテンや壁材は防音効果の高いものを選ぶべき
開業資金として必要なコスト
創業時はミニマムの人員で始め、徐々に増やす
開業から5年後までの収支計画を見通
す売上の見通しはキャンセル負荷を考慮する
法定人員は「児童発達支援管理責任者」と「児童指導員または保育士」
提供プログラムに合わせた専門職が必要
専門職の採用を成功させるポイント
人財戦略は採用するだけではなく定着率を高める視点も必要
開業1~2カ月前からスタッフ研修を開始
エビデンスやプロセスにこだわった誠実な仕事ぶりが評価される
SNSと保護者ネットワークを最大活用
開業前にウェブの仕組みをつくっておく
営業日、営業時間は運営方針に合わせて柔軟に設定可能
個別支援計画に基づく一貫性ある支援の提供は欠かせない
介護との違いを踏まえ、児童に合わせた支援が大事
保護者の悩みに寄り添い、信頼関係を築く
朝夕の「成果の共有」で社内を笑顔だらけにする仕組み
学校やほかの事業所との連携・情報共有
研修は惜しみなく、入社時・職種別・階層別に実施
入社時研修は座学・演習で短期集中
階層別、職種別研修は幅広く
傾聴のスキルを高める
保護者への伝え方トレーニング
専門性と人間力をバランスよく高める

第4章 理念を明文化し発信することで児童デイサービス事業はさらに盤石になるマニュアルだけでは事業は完成しない
理念とは海原を航海する大型船の羅針盤
理念や哲学を明文化するには
理念を集めたゴールドスタンダード
ゴールドスタンダードは暗記暗唱を徹底
「感謝・感動・幸せ」とは
自分がしてほしいサービス、家族に受けさせたいサービスの追求
利用者には「ありがとう」から「おめでとう」へ
仕事に意味を感じられる場面を増やす
理念の共有ができる職場は離職率が低い
社員はみんなダイヤの原石 磨き続ける覚悟が必要

第5章 介護事業と児童デイサービスの両輪で
高齢者・発達障がい児が安心して暮らせる未来をつくる
福祉事業者としての喜びが倍増
公費負担だからこそ志をもって
自分の子どもを預けたいと思えるか
スタッフが「この会社で良かった」と思えるか
収益を第一に考えてはいけない
児童デイサービスは「日本の宝」を育てる仕事

おわりに

著者:田中 卓

北海道留萌市出身、1977年生まれ。大学卒業後、東京のIT関連企業にて大手ウェブサイトのシステム開発関連事業、人財教育コンテンツ関連事業にて、ビジネス全般の基礎的な経験を積む。家業である介護福祉事業の後継者として2007年(29歳)より現職。
当初、留萌市で訪問介護事業のみを行っていたが、札幌へ進出し、有料老人ホーム、児童発達支援・児童デイサービスなどへ事業を拡大するなか、社員数は100人を超えている。

ネット書店

  • https://amzn.to/3f3Yc6Z

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