矛盾だらけの行政と沈黙する国民

真下和男[著]

2023.03.17

990円(税込)

幻冬舎

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書籍内容

恣意的な課税、モリカケ問題、政治と宗教……
行政の矛盾に気づいているのになぜ声をあげないのか!?

常態化している行政の悪しき忖度に実例を交えながら切り込む
“沈黙の国民”から“ものいう国民”になるための指南書

 日本は国際的に見て、国民の政治への不信感が高いといわれています。
1990年代後半頃から政治家の汚職や税金の無駄遣いが表面化し、国民の思いと
乖離した政策が行われ、政治への不信感はいっそう高まりました。
非営利の民間シンクタンク「言論NPO」が2019年に発表した世論調査結果では、
政治を信頼していると答えた人の割合は2割にとどまります。
国政選挙の投票率が平成に入ってから大きく低下し始め、令和4年7月の第26回
参議院議員通常選挙の投票率は全年代で約5割、10代20代は3割半ばとなりました。
この数字からも政治への期待感の薄さがうかがえます。

 政治不信の原因となる出来事はこの数年だけでも「旧統一教会と政治家の関係」や
「森友・加計問題」「東京オリンピック・パラリンピックの汚職問題」など、
数えきれないほどありました。そして、問題や疑惑が指摘されるたびに政治家は
言い逃れや煮え切らない答弁を繰り返し、国民の不信を買っています。
 また、テレビや新聞を騒がせている大きな政治問題とは別に、もっと私たちに
身近なところでも国民の不信感を招く事案は日々起こっています。

そのなかの一つに課税にまつわる問題があります。
使い道もない、売却することもできない資産価値ゼロの土地に固定資産税が
課税されるということが、日本中のあちこちで発生しています。
固定資産税はそもそも資産価値に応じて課税するもので、資産価値がゼロなら
課税もゼロのはずですが、実際にはそうなっていません。
著者の一人、真下和男氏は、税理士として50年以上さまざまなクライアントに
納税のアドバイスや申告書の作成を行ってきました。
その実務経験や行政の仕事を間近に見てきた立場から、本書ではそもそも税の仕組みは
どうなっているのか、なぜ課税の矛盾が起きてしまうのか、行政の不正や恣意的な
処理が横行してしまう原因はどこにあるのかなどを掘り下げて解説しています。
もう一人の著者である栗原一博氏は市民代表として、実際に体験した行政の闇を
語っています。
氏は固定資産税の課税に疑問を抱き、現在は市を相手どって行政裁判で闘っています。
その過程では、驚くべき行政側の言い分や司法の判断を何度も味わってきたといいます。

 国民の一人ひとりが税に関心をもち、仕組みを理解することが、不平等な課税から
自分自身の身を守ることへとつながるのだと両氏はいいます。
そして、なにより、矛盾や不正に気づいているのに声をあげないことに対して
強く問題提起をしています。
「沈黙の国民」から「ものいう国民」になるための指南書です。

目次

はじめに

第1章 恣意的な課税、モリカケ問題、政治と宗教・・・・・・
行政の矛盾に気づきつつも、ものいわぬ国民たち
日本人の7~8割は行政や公務員を信頼していない
モリカケ問題、五輪汚職、政治と宗教・・・・・・行政による疑惑は日常茶飯事
国民の不信は「納税」にも 税の原則「公平な税負担」は守られているか
誤った税額で固定資産税を払っている例は珍しくない
固定資産税とは「不動産の価値に応じてかかる税」
大阪府で実際にあった固定資産税にまつわる事案
無慈悲な課税は一部の不運なケースではない
原因は「台帳課税主義」による税務処理にある
未登記土地なら資産価値があっても課税されない矛盾
台帳課税主義の一方で実態を優先するダブルスタンダードがある
相続したマンションの評価額 正しいのは納税者か国税庁か
不動産を使った相続税圧縮はどこまでならセーフなのか
不動産評価を巡っては税務署の判定基準があいまい過ぎる
日本人に刷り込まれた「国に上納する」意識
政治や行政への不満を黙って飲み込んでしまう国民たち
行政の矛盾を放置すれば民主主義は崩壊する

第2章 常態化している行政の悪しき忖度
実例にみる行政処分のまやかし、矛盾、不誠実
「ものいう市民」が経験してきた行政との闘い
普通の市民による、ささやかな抵抗の物語
【事例1】消費税の端数処理のルール変更から生じた混乱
なぜ請求時の課税では矛盾が生じてしまうのか
消費税廃止を論じたいのではない 問題は運用の仕方
消費税についての真下氏の見解
事業者は消費税の2つの課税方式に注意
【事例2】印紙税を巡って行政の判断が迷走した話
【事例3】不動産取得税の徴税業務についての話
【事例4】都市計画から四半世紀を経て明らかになった行政の虚偽とデタラメ
昭和末を起点とする鴻巣市の再開発の概要
計画変更から透けて見えた鴻巣市の思惑
保留地は「とりあえず公園に」で解決を図った市と、反対する地権者の対立
行政を相手どった裁判のゆくえは?
どれほどデタラメかを象徴する2つの事実
まだある私の行政裁判 固定資産税を巡って
私が膨大な費用と労力を費やして闘う理由
当事者として自ら学び闘った日々 そして勝訴を確信
まさかの敗訴 中身のない判決文にがっかりした
行政裁判こそ裁判員裁判にすべき
「社会悪」は悪人ではなく、善良な一般市民によってつくられる
職員一人ひとりは悪人ではないけれど・・・・・・
行政という組織に組み込まれると「正義」が貫けなくなる?
子どもたちの未来のためにも強大な権力と闘わねばならない

第3章 行政の忖度はなぜ起きるのか
忖度を育む封建的な組織構造
行政という特殊な組織構造が不正やダブルスタンダードを生む
制度や法律を正しく理解している職員は少ない
最初から結論ありきで事を進め、あとから理屈をつくる強引さ
面倒を背負い込みたくない心理が強引な幕引きをさせる
正義に燃える新人もやがて組織に飼い慣らされていく
身内に忖度できる者ほど重用される組織風土
組織の恥を晒すことはできないという忠誠心
審議会の民主性は見せかけ メンバー選びは行政に有利な人選
旭川いじめ自殺問題にみる自治体の隠蔽体質
三権分立は幻想 裁判しても国民は勝てない
税務訴訟は国が負けないシステムになっている
行政の忖度や不正は「租税法律主義」に反する、許されざる行為
租税法の原則を遵守した最高裁判決の事例

第4章 “沈黙の国民”から“ものいう国民”へ――
不平等な行政処分から身を守るためにすべきこと
行政を動かすことができるのは国民の声しかない
行政相手に国民が勝つ事例も増えてきている
飲食チェーンの1円を巡る損害賠償訴訟
56円のために裁判で闘った運転士がいる
知識と知恵をつけて、間違いを見抜く目を鍛えよう
行政と争うには専門家の力が必要
弁護士と税理士とでは使命が違う
高度化・複雑化する税務訴訟 だからこそ仕事のできる税理士を選ぶことが大事
税金の無駄遣い約455億円も氷山の一角
金のバラマキ政策は解決策ではない ありがたがる国民が悪い
世の中を良くするために正しいクレーマーになろう

第5章 「行政の怠慢と国民の無関心」から脱却せよ
“ものいう国民”が増えれば、日本はもっと良くなる
行政も経済的視点をもつべきである
政府は「新円封鎖」をやろうとしている節がある
目先の損得ではなくマクロ視点で考えることの重要性
国民の鬱積が爆発すればテロや無差別殺人が起こる

おわりに

著者:真下和男

真下公認会計士事務所所長。公認会計士。税理士。埼玉県東松山市を基盤に、50年以上にわたって法人および個人の会計・税務業務に従事。現在も顧問先は500を超える。クライアントの永続発展を第一に、会計にとどまらず起業家支援やM&A業務、資産運用、経営革新支援など多岐にわたるノウハウで企業をサポートしている。埼玉県税理士会理事、公認会計士協会埼玉県会会長、日本公認会計士協会常務理事(6年)、日本公認会計士協会租税調査委員会委員長(3年)、日本公認会計士協会経営研究調査会委員長(3年)などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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