サステナビリティ時代の病院経営改革

寺坂俊介[著]

2023.02.01

1760円(税込)

幻冬舎

単行本

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書籍内容

DX、現場改革、事業の多角化……
時代に合わせた経営改革で
持続可能な病院経営は実現できる!

「昭和的経営」を脱した
地方の脳神経外科病院の経営改革とは


2018年の病院運営実態分析調査によれば、約7割の病院が赤字経営という実態が明らかになりました。
診療報酬の抑制、少子化による患者数の減少など、
病院経営を黒字化することは年々難しくなる一方です。
しかし、赤字の状況にただ手をこまねいていては、安全な医療を地域へ提供し続けることができません。
著者は脳神経外科医で、北海道札幌市の社会医療法人柏葉会の理事長を務めています。
今でこそ経営は順調ですが、著者が着任した当時の病院は億単位の赤字を出し、
経営は非常に厳しい状況でした。
古く非効率な設備に職員も経営陣も慣れてしまい、人件費や管理費がかさんでいました。
また、紙書類による無駄な業務や捺印フローが多数存在していたにもかかわらず
業務の効率化に取り組まなかったため職員の長時間労働は常態化していたのです。
さらに空き病床対策が施されないままなど、時代遅れの「昭和的経営」 が赤字の原因となっていました。

そこで、著者は数々の経営改革を実行します。紙カルテの廃止、
オンライン診療の導入などDXによる業務の効率化で無駄なコストを次々と削減しました。
さらに病床稼働率のデータを分析し、病床の再編・組み換えを実施したのです。
その結果、病院の経営は黒字に転じました。
近年では持続可能な病院経営の実現に向けてさらなるDX活用や働き方改革など、SDGsへ取り組んでいます。
本書では、著者が行った数々の経営改革について解説をしながら、どのように昭和的経営を脱し
黒字経営に転換することができたのか、そのヒントを示しています。
経営難に苦慮する病院経営者や管理職必読の一冊です。

目次

はじめに

第1章 「昭和的経営」が病院を潰す
 ヒト・モノ・カネの間違った使い道
「医師は上でその他は下」という階級意識
部門間の連携が悪いことによる非効率的な業務の多発
誰も責任を取ろうとしない大量の稟議書
遅れているDX 増え続ける紙カルテ保管倉庫費用や人件費
赤字経営で1円の経費削減に追い込まれた病院の実態
非常勤と常勤医師の意識の違い
最善の医療を阻害する組織文化「派閥」
古い経営体質が病院を潰す

第2章病院経営改革の第一歩
理念を改変し新たな組織をつくる
地域に貢献し社会に求められる医療を目指し、法人格を社会医療法人へ
理念を刷新 短く覚えやすく印象的な言葉で
改革における基本方針
ヒエラルキー型組織からホラクラシー型組織へ
病院や各事業部を統括する「法人本部」を設置
脳血管病患者に質の高い治療を提供「高度脳血管病センター」開設
再診と脳ドックを中心とする「かしわば記念クリニック」開院
最先端の医療技術をいち早く提供するために「先端医療研究センター」開設
大学院生を受け入れる「大学院臨床系連携講座」に認定
MRガイド下集束超音波治療(FUS)を開始
ワクチンクリニックの設置
介護事業の展開

第3章 設備投資、病床の再編、事業拡大
データ分析に基づいた現場改革
病院データの「透明化」による職員の意識変革と収益改善を実現
病院の立て直し3原則を実践
医療安全確保のための設備投資
最善の医療と「最善の環境」も患者に提供
高額医療機器を他施設と共有する「オープンファシリティ」
人材の流動化でヒューマンリソースの有効活用
看護師の離職を防ぐためにキャリア形成のロードマップを示す
中途採用で看護戦力を強化
リーダーとなる人材を育てるために
第4章 レントゲンフィルムの電子化、紙カルテの廃止、オンライン診療の導入 非効率な業務を洗い出し DXで業務を効率化
業務効率化をしなければならない最大の理由
電子カルテ化とレントゲン画像データ化の取り組み
スマートフォン音声入力による看護記録で業務効率化と残業時間削減
2種類のオンライン面会「待合と病室」「自宅と病室」を実現
オンライン診療をやってみて分かったこと
膨大な事務作業を担う管理部門の業務効率化
ヒューマンリソースの有効活用
リハビリロボット導入で期待以上の効果
AI(人工知能)の臨床医学への応用
DXや新しい取り組みをうまく進めるために大切なこと
改革のあゆみ

第5章 時代に合わせた経営改革が持続可能な病院をつくる
病院のSDGs 不可能を可能にするために
SDGs グローバルパートナーシップ 外国人技能実習生受け入れ
SDGs 物品購入と使い切る責任
SDGs 食品ロスの解消
「医食同源」でおいしい病院食を
時代に合ったヒト・モノ・カネの使い方でスマートメディカルへ
オンライン診療の未来の可能性
医師不足解消のため外科と内科が垣根を越えて
離職している脳神経外科女性医師の登用が不可欠
働き方改革への取り組み
SDGs図表
高齢化・過疎化でも医療を届ける未来のモデルケースに~ ドイツのシーメンス社とパートナーシップ調印へ
新病院建設計画
DXで実現「どこでも電子カルテ」
地域の雇用の一翼に
介護事業部の拡大
シームレスな医療・介護サービスを提供

おわりに

著者:寺坂俊介

社会医療法人柏葉会3代目理事長
柏葉脳神経外科病院 院長
日本脳神経外科学会専門医
日本脳腫瘍の外科評議員、日本頭蓋底外科学会評議員
北海道大学大学院医学研究院客員研究員、医学博士

1962年生まれ。1988年に旭川医科大学卒業後、北海道大学病院脳神経外科に研修医として入局。その後、アーカンソー大学脳神経外科、アレゲニー大学脳神経外科、旭川赤十字病院、手稲渓仁会病院勤務を経て、2006年に北海道大学病院に戻る。2018年に同病院退職後、同年4月に特定医療法人(現:社会医療法人柏葉会)柏葉脳神経外科病院院長に就任。外来環境の整備や病床改編、手術用顕微鏡の導入、電子カルテの推進・運用強化などさまざまな改革に取り組み、経営状態改善・業務効率化を行った。2019年に同法人理事長就任。現在も、院内のDX推進や高度脳血管病センター開設等、院内改革に尽力している。専門は脳腫瘍の外科治療、頭蓋底外科手術。

ネット書店

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