利益を生み出す建設業のための原価管理術

三國 浩明[著]

2022.05.31

1760円(税込)

幻冬舎

単行本

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書籍内容

その工事にかかる原価と利益、即答できますか――?
原価の「見える化」でどんぶり勘定を脱出し、黒字化を実現!

請求漏れ、支払いミス、非効率な業務……
旧態依然の建設業は倒産待ったなし⁉
建設業に蔓延するコストの無駄をデジタルツールで省き、
利益を確保する方法を徹底解説。

東京オリンピック・パラリンピックをはじめとした首都圏の再開発や
大阪・関西万博に向けたインフラ整備などの需要を背景に、
近年建設業界には光が射したかのように思われています。
しかし現実は、それらの大規模建設ラッシュでは大手ゼネコンが多くの恩恵を受け、
規模の小さい企業は激しい競争にさらされている状況です。
ほかにも人件費の確保、人材不足、新型コロナウイルスの影響、
インボイス制度の導入など立ちはだかる課題は山積みであり、
すぐにでも対策を講じなければ、
規模の小さな企業から淘汰されていくことが目に見えています。
しかし、請求漏れや支払い漏れに気づかない、
工事ごとの収支を正確に把握していないなど、
すなわち“どんぶり勘定”で経営を続けている建設会社は珍しくありません。
そもそも自社がうまくいっているのか、
そうではないのかさえ把握できていない経営者も少なくないのです。
時代は刻一刻と変化しており、
従来の経営を漫然と続けていると利益は先細りしてしまいます。
最終的には経営を続けられなくなる可能性もあります。

「原価管理」は、まさにこうした問題を解決するためのものです。
原価管理とは言葉のとおり工事やプロジェクトにおいて原価を計画し、
実績と比較しながら管理することを指します。
これによって収支をより正確に把握し、
無駄なコストを削減して十分な利益を確保することができるようになります。
手順を踏んで業務の無駄を洗い出し、
デジタルの力を借りながら原価管理を行えば、想像するような手間はかかりません。

本書では建設業界を取り巻く状況を踏まえつつ、
原価管理の本質的な意義やデジタルツールを用いた業務改革などを解説します。
この苦難の時代を乗り切るための、成長のヒントを与える一冊です。

目次

はじめに

第1章 毎年の倒産件数は1000件越え⁉
中小建設業に未来はないのか
建設需要増加で大企業と中小企業の二極化が進む
「どんぶり勘定」経営が多い中小建設業
人手不足も建設業界の悩み
建設キャリアアップシステムの本格導入で起きる中小から大手への人材の流出
2024年4月から建設業にも残業上限の規制が始まる
新型コロナウイルスによる影響は未知数
インボイス制度は消費税の負担増?
インボイス制度は小規模会社・一人親方に影響大
「電子帳簿保存」が追い風になる会社、足かせになる会社
業務改善はチャンスと捉える

第2章 案件発生から工事完了後の支払いまで、
建設業にはびこるコストの無駄を洗い出す
業務効率化で無駄をなくそう
社内ルールがあいまいで事務作業のコストがかさむ
いまだにIT投資が低調な建設業界
実行予算をつくらないから無駄が多い
雑な見積り提示で利益を損なう
完成後のアフター管理が不足し、売上獲得の機会を失う
適当な請求管理で赤字を出す
支払管理がおろそかで黒字倒産に至る
工事ごとの成果が数値化されないため、取引先の選別ができない
利益が出ない会社に人は残らない

第3章 コストの削減と利益の「見える化」が生死を分ける!
原価管理で工事ごとの収支見込をタイムリーに把握
原価管理の目的は利益を生み出すこと
原価管理を徹底し、無駄を省く
原価管理ができて初めて、会社が儲かっているかが分かる
原価管理はできるだけシンプルに
原価集計の第一歩は労務費から
実行予算は粗利率ルールを基準に
受注予測はシンプルに
原価管理を資金繰りに役立てる方法
財務会計だけでは不十分である根拠
原価管理で効果的なPDCAが可能に

第4章 原価管理の手間を一掃!
会社存続の危機はデジタルツールで脱却できる
なぜ原価管理は嫌がられるのか
単なるIT化ではなく、業務全体をDXで効率化
業務をシステムに合わせる
会社の業務全体の一元化を目指す
一元化のために行うべきマスター登録
原価管理システムは必要ない?
長期的な会社の成長に対応するシステム選び
クラウドサービスのメリット
データは会社に置かずに守る時代
失敗しないデジタル化の進め方
社長のリーダーシップで原価率が20%向上
トラブルが起きたときのサポート体制を作る
複数のシステムを連携し、さらなる業務効率化

第5章 労務、発注・支払い、請求……
業務別 原価管理システム導入のポイント
業務効率化は、業種の特性に合わせる
施工中の労務管理や原価集計を効率化したい
外注先への発注・支払い管理を効率化したい
見積り管理・請求管理を効率化したい
メンテナンスの受注を増やしたい
会計システムと原価管理システムを連携させたい
原価管理とバックオフィスを連携させたい
テレワーク化を進めたい
外注主体と自社施工主体の収支管理の違い

第6章 徹底した原価管理で赤字体質から脱却し、
成長スピードを加速させよ
シンプルな原価管理で建設会社は変われる
経営者が押さえるべき「3つの数字」
利益検討会で、社員の納得感を高める
期中予想利益をどう導き出すか
年間利益計画と限界利益
ローカルベンチマークを意識
データ分析を基にした経営改善を

おわりに

著者:三國 浩明

1960年生まれ。石川県金沢市出身。
株式会社建設ドットウェブ代表取締役。一般社団法人原価管理研究会代表理事。
高校卒業と同時に土木建築会社に就職するも、コンピュータ業界に未来を感じ退職。
その後、松下電器産業(現パナソニック)グループのコンピュータ販売部門で営業職として入社し、
松下幸之助の提唱する理念に影響を受けながら、
30年にわたり建設会社へのシステム化を行い建設業原価管理ノウハウを培った。
2001年に、原価管理システムの建設会社への必要性と将来性を感じ、建設ドットウェブを創業。
原価管理システム「どっと原価シリーズ」の原型を作り上げた。
経理・営業・工事すべての部門の業務合理化と原価管理の両立をコンセプトに
さまざまなソフトメーカーとの連携によるシステム導入満足度向上を目指す。
また、2019年に税理士や金融機関などに中小建設会社の経営ノウハウをeラーニングで発信する原価管理研究会を発足。現在に至る。

ネット書店

  • https://amzn.to/3f3Yc6Z

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