増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない 隠れ認知症

旭俊臣[著]

2022.02.15

1650円(税込)

幻冬舎

単行本

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書籍内容

認知症は絶望の病ではない!
認知症の重度化を防ぐためのチェックポイントと
リハビリの方法を専門医が徹底解説

認知症は、基本的には一度進行すると改善できない不可逆性の病です。
そのため早期に医療機関を受診し、一刻も早く専門的なケアを開始することが
何よりも重要になります。
認知症が疑われるからといって、目をそむけたり絶望したりする必要はありません。
しっかりとケアをすることで進行を遅らせ、人間らしい生活を送ることができるのです。
(「はじめに」より抜粋)

近年、日本では高齢化に伴って認知症患者が増えています。
罹患を疑われる高齢者やその家族の間では進行防止や早期のケアに対する関心も
高まっていますが、本人の自覚もなく、家族も気づいていない「隠れ認知症」については
あまり知られていません。
患者自身も家族も認知症の症状を単なる老化現象と認識してしまっている、
自分が認知症であることを受け入れたくないがために医師の診断を避けている
などの理由で、認知症の発見が遅れてしまうのです。
しかし、認知症は早い段階で適切なケアを行うことで進行を遅らせたり、
重症化を防いだりすることができます。
本書では、40年以上にわたって認知症患者と家族のケアを行ってきた著者が
「隠れ認知症」に着目し、認知症のメカニズムと治療の基礎知識、
認知症を見抜くポイント、重度化を防ぐために家族と取り組むケアなどを解説します。
また、新型コロナウイルスによって、患者自身が通院やリハビリ、
外出を控えるようになったことで認知症の進行に影響を及ぼしているだけでなく、
介護者の心身の負担も増加しています。
コロナ禍以降、どのように認知症と向き合っていくべきかなど、最新情報を加えた
増補改訂版です。

目次

はじめに

第1章 本人も家族も気づかず、医師の診断も受けていない……
隠れた認知症患者250万人の時代
日本は認知症大国になりつつある
高齢になるほど高まる認知症発症リスク
長寿大国・日本で、認知症は避けられない病気
250万人超ともいわれる「隠れ認知症」の脅威
隠れ認知症はなぜ“隠れている”のか
認知症患者を介護する家族の負担も問題に
介護の終わりが見えない不安
高齢化による老老介護の増加
認知症患者が認知症患者をみる認認介護
老老介護、認認介護の背景にあるもの
認知症をひとごとにしてはいけない
コロナ禍で認知症を取り巻く環境は急激に悪化
施設等のサービス、サポートも希薄に
家族の負担増も深刻
高齢者の感染症対策と今後の課題

第2章 早期発見・早期ケアで進行を遅らせる!
押さえておくべき認知症のメカニズムと治療の基礎知識
さまざまな機能、性質がある「記憶」
認知症ともの忘れ、4つの違い
認知症の症状は、もの忘れだけではない
アルツハイマーだけではない、認知症の4つの種類
進行が早く、対策が急がれる若年性認知症
「重度化」しにくい超高齢者の認知症
なかには「治る認知症」もある
アルツハイマー型認知症の発症機序
アルツハイマー型認知症の病期と経過
認知症の治療には早期発見が重要
入所評価でも、早期発見の重要性が明らかに
早期発見を阻む「取り繕い」の行為
認知症予防のためにできること
認知症の予防は世界的な関心事
「予防」に踏み込んだ新政策「認知症施策推進大綱」

第3章 症状の具体例でチェック
初期から中期の認知症を見抜くポイント
隠れ認知症を早期発見する2つの指標
認知症の特徴は「病識がないこと」「だんだん重度化すること」
高齢者の運転免許更新も早期発見の機会に
せん妄やうつ病は認知症と間違えやすい
「認知症前夜」といわれる軽度認知障害(MCI)とは
MCIが疑われる主な兆候4つ
認知症移行の予防1 コグニサイズのすすめ
認知症移行の予防2 FINGER研究
認知症移行の予防3 通所型「元気応援くらぶ」
薬を使った根本療法も検討されている
「認知症かもしれない人」は病院に行きたがらない
「絶望させない」告知の仕方
期待される認知症初期集中支援チームの働き

第4章 患者の半数に効果あり
早期の認知症リハビリで進行を遅らせる
認知症には「心技体」の医療が必要
認知症初期におけるケアの問題点
いま注目されているのは認知症「リハビリ」
認知症の進行を遅らせるリハビリの重要性
病期別に見るリハビリの有用性
認知症リハビリは「きわめて有効」との研究結果も
根強い認知症リハビリへの誤解
デイケア、短期入所……認知症リハビリの取り組み
回想法、ROなどが代表的
デイケア施設でのリハビリの成果
生活行為向上リハビリの取り組み
生活行為向上リハビリによる認知機能改善
認知症リハビリ病院だからできる生活行為向上リハビリのアレンジ
症状が進んだら、定期短期入所と入院デイケアも有効
家庭でリハビリを行う際のポイント
リハビリ以外の日常生活で、家族が注意すべきこと
嫌がる患者にリハビリを促すには
コロナ禍でも早期のリハビリ再開を

第5章 中期には「パーソンセンタードケア」で
周辺症状“BPSD”を軽減する
認知症中期には徘徊、暴力などが始まることも
患者目線でケアをする「パーソンセンタードケア」
中期から出現しやすいBPSD
「患者の欲求を満たす」ことでBPSDを和らげる
その人らしさを尊重する「センター方式」という指標
チェックシートの活用で、患者の人となりが見えてくる
介護者同士の情報共有にも有用
高齢者は複数のさまざまな病気を起こしやすい
身体症状を併せ持つ認知症患者は増えている
身体合併症はBPSDを発現、進行させやすい
一般的に用いられる認知症の薬物療法

第6章 万が一、重度化したら――後期・終末期に備えて
身につけておくべきリハビリのポイント
終末期には患者と「心の会話」を
「終末期」とは何か
自宅で終末期を過ごすために
終末期には延命治療についても話し合いを
終末期であってもリハビリは必要
表情を読み取るというリハビリ
終末期における医療機関の連携
患者を看取った家族の心理ケア
尊厳ある“しめくくり”を

第7章 認知症になっても自分らしく人生をまっとうするために――
地域との連携で認知症患者を支える
「共生」が国の認知症政策のキーワードに
医療も介護も、住み慣れた地域で
海外の例――イギリス「認知症フレンドリーコミュニティ」
オランダ「認知症の街」
日本の例――武豊町「憩いのサロン」
都市型の介護予防モデル「松戸プロジェクト」
認知症予防プログラムを地域に提供
高齢者も街づくりの一員に
初期集中支援チームの充実で早期対応も万全に
認知症の人とともに生きる、ポジティブな社会へ

おわりに

著者:旭俊臣

千葉大学医学部を卒業後、銚子市立病院精神科、松戸市立病院神経内科を経て、
旭神経内科医院を設立、院長に就任。
介護老人保護施設栗ヶ沢デイホーム施設長、
千葉県東葛北部地域リハビリテーション広域支援センター長を兼任。
2002年には、回復期リハビリテーション病棟を開設。
2004年に旭神経内科リハビリテーション病院に改称。
認知症、寝たきりになっても、住み慣れた地域で長く暮らせる街づくりに取り組んでいる。
日本神経学会認定神経内科専門医。
日本老年精神医学会専門医。
日本認知症学会専門医。
日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医。
日本認知症ケア学会平成26年度奨励賞、2016年第25回若月賞受賞。

ネット書店

  • https://amzn.to/3f3Yc6Z

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