フツーの主婦だからこそつくれた 入居者が殺到する非常識な介護施設
書籍内容
「夫のために、介護施設をつくる! 」
一人の主婦が決意し、15年かけて実現した、
入居者の幸せを追求する施設とは
食事は施設で手づくり
添い寝で眠れない人の心に寄り添う
介護施設ではタブー視される晩酌も許可
業界の非常識が、
入居者の笑顔と長生きにつながる
介護業界は現在、介護を必要とする高齢者の増加、介護職員の人手不足や待遇への不満、
施設不足による介護難民の発生など、さまざまな問題を抱えています。
多くの施設が「業務優先の一律なケア」に偏り、
入居者はもちろんスタッフの満足度も下げていると考えた著者は、
「誰もが自分の家で過ごすように暮らせる」理想の介護施設をつくることを
決意しました。
「薬は減らせばいい」
「認知症でもどうってことない」
「塩分は気にせず好きな物を食べればいい」
主婦、薬剤師、ケアマネージャーなど、さまざまな顔をもつ著者の、
型破りながら入居者に寄り添った介護施設はやがて注目を集め、人気を博していきます。
本書では、著者の視点から介護施設経営の歩みと理念をつづるとともに、
本当に必要とされる介護、あるべき介護施設の姿について論じます。
目次
はじめに
第1章 〝誰にでも一律なケアをする介護施設〟が入居者を不幸にする
効率的で合理的を重視する「一律なケア」とは
高い離職率が「一律なケア」を生む
「人間関係」と「施設の運営」が離職の大きな理由に
「入居者優先」ではなく「業務優先」の現状
ドイツから帰国後に宣告された余命10年
大黒柱になるべく41歳で調剤薬局を作る
「一人ひとりに寄り添う介護」の源泉はドイツ
培われたオープンマインドが今に活きる
料理へのこだわりもドイツ時代のたまもの
調剤薬局で感じた患者の〝異変〟
必要なのは薬にとどまらない「援助と介護」
ケアマネージャーの資格も取得しデイサービスを開設
父の言葉と母の〝わがまま〟に支えられて
最期までご飯を口から食べさせてあげたい
質の高いケアを低価格で提供するために
55歳での新しい挑戦に周囲からは不安と激励の声
入居者は家族と知人、5人だけという1年半
大切なのは派手なイベントではなく、自宅の再現
一人ひとりに寄り添うためには医療と介護の連携が不可欠
第2章 「薬は減らそう。塩分なんか気にしなくていい」
入居者が殺到する〝非常識〟な介護施設
人間が口から入れるのは食べ物と薬だけ
「利用者ノート」にも食事と投薬を記録
薬剤師なら落ちている薬も誰のものか分かる
「薬でボーッとしてもらったほうがラク」は間違い
グレープフルーツと納豆を提供しない理由
入居者が「薬飲まない」と言い出したら……
下痢になっても下痢止めは飲ませない
便秘は下痢よりもリスクが高い
「朝起きたらまずうがい」を習慣化
「健康で長生き」の秘訣はおいしい食事
国産、無農薬の食材で全部手作り
認知症の方だっておいしいのは分かる
糖尿病でも高血圧でもおいしく食べる
味覚というのは、いかに五感で感じるかが大切
厨房の腕と私の意識を上げた「母のわがまま」
利用者一人ひとりに薬剤師
「眠れないから睡眠薬」には工夫が必要
病気が改善しないのは薬のせいかも
どんどん減薬をして身軽に
ドクターは薬剤師の提案を嫌う
医療に強い介護グループを形成する
第3章 「入居者が喜ぶことだけ考えていればいい」
スタッフがいきいきと働くたった一つの教育
家庭での介護が難しい入居者を看る
家族の手に負えない入居者が回復して長生きに
「私があの人だったら何をしてほしいか」だけを考える
画一的ケアから、「願いを叶えるケア」へ
「ブルーハワイを飲みながらフラダンスをもう一度……」を叶える
夜間徘徊が始まったら一緒にすること
「あなただけの時間」をつくってハンドマッサージでスキンシップ
機械入浴より檜風呂が気持ちいい
亡くなると笑顔で見送るセレモニー
オープンな設計で、食堂の様子は丸見えに
私が同じ屋根の下で暮らす理由
「食べられない」は入れ歯をチェック
介護職の離職率が低いわけ
トラブルには数名一組で対処してつらさ半減
介護職員に厳しい決まりはなし
ボランティア精神はなくす
光熱費はカットし、気遣いはカットしない
大切な時間に、どこで、誰と、どんな仕事をするのか
薬学部の実習生や技能訓練生を積極的に受け入れる
第4章 「介護施設には薬局とデイサービスが絶対必要! 」
入居者がもっと安心して生活できる介護ネットワーク
半径5キロ圏内に多職種を衛星のように配置
私を突き動かしたのは「過疎化と高齢化」
「地域の見守り隊」を実現
医師だって処方箋を間違える
第5章 入居者の真の幸せは常識の非常識にある
心と体の両面から高齢者を支える
一生働こうと思ったら介護施設へ
入居者と一緒に暮らしをつくっていくという発想を持つ
主婦だってたくさんのものを残せる
おわりに