コロナと闘った男 感染対策最前線の舞台裏
書籍内容
「新型コロナウイルスを収束させ、日本の威信を取り戻す」──。
たった一度の失敗も許されない除染作業現場での奮闘の軌跡。
「ダイヤモンド・プリンセス号の除染作業を援護してほしい」
先立って作業に徹していた同業者からの依頼だった。
「我々でよければ、ぜひ協力したい」
私は二つ返事で引き受けた。不安がなかったといえば嘘になる。
しかし、日本の威信をかけて何がなんでも成功させたい――。
その想いが私を突き動かした。
2019年12月、中国の武漢で未知のウイルスが発見された。
ウイルスは新型コロナウイルスと名付けられ瞬く間に蔓延、
専門家ですら対策の分からない未曽有の危機に、世界中がパニックに陥った。
そして2020年1月、ついにウイルスが日本にやってくる。
横浜港を出港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で感染者が出たのだ。
あらゆる特殊清掃業者が怖気づくなか、国は著者に除染作業を依頼する。
自分たちの命さえ危ぶまれる状況で、
著者は自らの技術とWHOから得られるわずかな情報を駆使して
ダイヤモンド・プリンセス号の除染を、スタッフに感染者を出すことなく完遂した。
これを皮切りに全国からの依頼が殺到し除染作業にあたった。
そしてこの実績を買われ、宿泊療養施設の運営マニュアル作成や、
戦没者追悼式ガイドラインの作成等、国ぐるみの感染対策に携わっていった。
本書は、命を懸けて闘った特攻隊ならぬ特掃隊としての著者の取り組みをまとめ、
新型コロナウイルス拡大の裏で繰り広げられていたリアルな感染対策の闘いを描く。
目次
【目次】
はじめに
第1章 未知のウイルスが蔓延するダイヤモンド・プリンセス号船内――。
2020年3月19日、「特掃隊」集結
・未知のウイルス
・悪夢が現実になるとき
・絶望の淵への誘い
・日本の威信を取り戻したい
・ダイヤモンド・プリンセス号を救え
・死と隣り合わせの現場へ
・5日間の闘い
第2章 特殊清掃依頼、1日最大300件
感染拡大でパニックに陥った日本
・大スターの死
・パニックに陥った日本
・明日、死ぬ覚悟はあるのか
・誰かのために働くということ
・新型コロナウイルスは人を「悪」にした
・「特殊清掃人」であれ
第3章 崩壊寸前の医療現場――。
現場の知恵から作成した、感染防止の「宿泊療養施設ガイドライン」
・史上初・オリンピック延期決定
・逼迫する医療現場
・緊急事態宣言、発令
・医療現場を救え! 宿泊療養施設の運営
・希望の光
第4章 天皇が臨席する「戦没者追悼式」
国の威信を懸けて行った感染対策
・押し寄せる第2波
・国を背負う覚悟はあるのか
・伝わらない思い
・たくさんの思いをのせた夜
・闘いの幕が上がる
・首相、辞任
第5章 命を落とす現場作業員を救え
全国を飛び回り伝えた、正しい除菌作業
・第3波より怖いもの
・正しい情報を伝える
・「Re―BORN」 、始まる
・最後の乾杯
第6章 1日最大7000人超。過去最多を更新し続ける感染者数
命を懸けて挑んだ第3波との死闘
・想像を超えた第3波
・世論に訴え掛ける
・変異株の出現で増幅する恐怖
・2度目の緊急事態宣言
・諦めずに前を向く
第7章 2021年2月17日、新型コロナウイルスワクチン接種開始へ――。
しかし特掃隊の闘いは続く
・人類の勝利
・3度目の緊急事態宣言
・特殊清掃業を社会インフラに
・新型コロナウイルスが示すもの
おわりに