「医薬分業」への挑戦 86年続く調剤薬局奮闘記

前納 秀夫[著]

2022.05.06

1650円(税込)

幻冬舎

単行本

ネットで買う

書籍内容

薬剤師は“薬を渡すだけ”が仕事ではない!

医師への直談判、薬剤師会運営の薬局設立、若手薬剤師の育成……
医薬分業を世に広めるために分業率0.5%の時代から取り組み、
東京都・赤羽から全国にその輪を広げる――
薬剤師の職に人生を懸けた男の50年の軌跡

医薬分業は患者のためにもこれからの医療業界のためにも成し遂げなければならない――。
1972年に家業であるマエノ薬局に入社した著者は、
患者が安全に薬を使用するために医薬分業の必要性を強く感じていました。
しかし、当時の医薬分業率は全国でもわずか0.5%であり、
赤羽西地区に至っては0%でした。
そこで著者は赤羽西地区の医院を1軒ずつ訪問し、医薬分業を広げる活動を開始します。
その後、診療報酬の改定による処方箋料の引き上げが追い風となり、
4年後には赤羽地区100%分業をほぼ達成することができました。
これがきっかけとなりマエノ薬局は処方箋薬局として業績を拡大。
今では東京都内に13店舗、埼玉県に2店舗を構えるまでに成長しました。
本書は、著者が50年以上「医薬分業」へ奔走したストーリーを描き、
薬局・薬剤師が果たすべき役割とは何かを問いかける一冊です。

目次

はじめに

第1章 天命――医薬分業を通して医療に貢献する
医薬分業は薬剤師にとっての長年の悲願
実は明治期に制度化されていた日本の医薬分業
有名無実化した「形だけの医薬分業」
「薬律」の改正を求めるも実現は遠く……
100年後、ついに「医薬分業元年」がやってきた!
私が薬剤師になって家業を継ぐまで
国民皆保険制度で医療が身近に
「街の薬局」だからこその強みとは
父の時代に達成できなかった医薬分業に挑戦!
地域全体で分業化を目指す

第2章 真価――そもそも、なぜ医薬分業が必要なのか
私が医薬分業活動を始めた理由
投薬による事故を防ぐのが薬剤師の務め
「医薬分業の7つのメリット」で地元の医師を説得
処方箋発行技術料の引き上げが活動を後押し
医薬分業のムーブメントを赤羽から発信し、北区全域へ
会営薬局を設立し地域ぐるみで理想を追求

第3章 奮闘――医師と薬剤師が専門性を発揮する、医薬分業を広めるために
医薬分業を北区から全国へ
全国に広がる同志の輪
理想とはほど遠い「分業バブル」が到来
相次ぐ薬局の不祥事でバッシングの標的に
鎮火したはずの議論がまたしても再燃
外からは見えづらい薬剤師の奮闘
薬剤師の専門性をいかに見せていくか
薬局の専門性と機能の多様化

第4章 信念――「最大」よりも「最良」のかかりつけ薬局を目指して
難しくなりつつある薬局・薬剤師の生き残り
患者にとって最良のかかりつけ薬局を目指して
協励会のスローガン「最大よりも最良の薬局たらん」に学ぶ
経済原理のなかで、個人経営の薬局が生き残るには
医食同源に基づく新しい薬局の形
人材を育てるコストを惜しまない
5つの信念をもった社員を育てる
管理栄養士の活躍できる環境を整える
ケアマネージャーやヘルパーの重要性
最初の3年がその後のキャリアや人生の基盤となる
漢方薬・西洋薬それぞれの長所を生かした融合医療
在宅医療や介護事業ができる薬局を社会は求めている
医療を担う一翼としての責任を果たす
損得を超えて、正しい目標に挑戦できる会社でありたい
私の生き方の指針「公平・謙虚・積極性」

第5章 未来――これからの薬局、薬剤師に求められること
世の中が変わるには何十年も掛かる
人を育てることの難しさとやりがい
人を育てるコツは「成長を期待して温かく見守る」
人間は基本怠け者、だから計画的に行動する
うまく行っているときほど足元に注意する
まずサービスの追求を。数字はあとからついてくる
薬剤師としての「一人前」とは
これからの薬局・薬剤師に期待されること

おわりに

著者:前納 秀夫

1945 年、東京都生まれ。
千葉大学工学部に進学するも家業を継ぐことを決意し、学士入学で薬学部へ入学。
薬学部の恩師から漢方を学ぶ。また、千葉大の東洋医学研究会などでも研鑽を積んだ。
1972 年、実家のマエノ薬局に入社、漢方薬を中心とした相談薬局の特色を打ち出す。
1974年、医薬分業の普及活動を開始。
東京・赤羽からスタートした活動は現在、全国的な取り組みとして広がっている。
マエノ薬局グループは、赤羽を中心に都内・埼玉に14店舗を展開中。
「処方箋調剤」「セルフメディケーション」「在宅・介護業務」を3つの柱として、
地元密着型の経営を追求している。
2016 年 旭日双光章受章

ネット書店

  • https://amzn.to/3f3Yc6Z

オススメ書籍

救えない地方のペットたち 獣医療格差への挑戦の軌跡

川西 航太郎

異端の福祉 「重度訪問介護」をビジネスにした男

高浜 敏之

心不全と診断されたら最初に読む本

大堀 克己

患者が知っておきたい正しい糖尿病

金崎 聖伸