「精神病」の正体

書籍内容
患者本人ばかりか家族、周囲の人々、
さらには医師さえも混乱させてしまう
「精神病の正体」とは、いったいなんなのか――。
私は千葉大学医学部を卒業後、同学部附属病院精神科神経科に入局。
以来、50年の長きにわたり、精神医療の現場に身を置いてきました。
1983年には、千葉県内で二番目となる精神科外来の診療所を開設し、
以来のべ10万人を超える多くの患者さんと向き合ってきました。
こうした経験の末、いまだ解明されていない「精神病」の核心に、
私はついに触れることができたと考えています。それはまさに精神病の「正体」といえるものです。
私が考える精神病の正体とは、たとえるなら木に成長する前の“種”のようなものです。
種から幹や枝が伸びていき、その先に色とりどりの花や果実を実らせます。
複雑で多様に見える精神病も実は元をたどれば同じであり、
さまざまな症状となって現れているにすぎないというものです。
この表層的な症状につけられた病名に振り回され、
種=根本的な正体に迫ることができていないのが、精神医療の現状なのです。
正体が明らかになれば、精神科医が的確な診断を下し、適切な治療を行うことができるようになり、
長く精神病に苦しんでいた人がその人らしい人生を取り戻せるようになるはずです。
本書では、長年にわたる臨床経験と医学的根拠をもとに、
「精神病の正体」をつまびらかにしていきます。
(「はじめに」より)
目次
第1章 精神医学の常識は、100年前から変わらない
第2章 多様な症状と次々につけられていく病名。古い常識が精神病を正体不明にする
第3章 進む「薬の単一化」に隠されたヒント――多様に見える精神病も根は一つ
第4章 「精神に異常がある」とはどういうことか――人間の「五感」「感受性」を手がかりに突き詰めていく
第5章 感覚器官の発達段階に潜む「正常」と「異常」の境界――突き止めた「精神病」の正体
第6章 100年前の“常識”が覆れば、すべての患者、医師が「精神病」から解放される