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『子育てママに知ってほしいホンモノの自己肯定感』Five Keys・井上顕滋氏|子どもの未来を左右する「ビリーフ」とは
2023年、何らかの問題を抱えて学校に行けなくなった子どもが過去最高の人数に達したと報じられました。不登校だけではなく、いじめや引きこもりなど子どもに関する問題は年々深刻になってきています。それらの問題に根底にあるキーワードのひとつが子どもの「自己肯定感」かもしれません。 そこで今回は日本初の非認知能力専門塾「Five Keys」の代表であり、著書『子育てママに知ってほしい ホンモノの自己肯定感』を刊行した井上顕滋氏にインタビュー。ホンモノの自己肯定感を育てるために家庭でできることについて伺いました。
叱らない子育てによって生まれた問題
――『子育てママに知ってほしいホンモノの自己肯定感』を執筆するに至った思いを教えてください。
1980年代の後半頃から子育てのスタンダードが変わり、「叱らない子育て」というものが主流になりました。子ども自身の気持ちや主体性を尊重しましょうという考えそのものは悪いことではありませんが、それが行き過ぎることでワガママと主体性の境界線がなくなってしまったように感じます。それによって社会に適応できない子どもが増加しました。
――不登校やいじめなど、子どもに関する社会問題とも関係がありそうですね。
子育てで悩んでいるお母さんから、本当にたくさんの相談をいただきます。皆さんしっかり勉強をして、ある意味テキスト通りに育てたという方がほとんどです。でもうまくいかない。それは本当の意味で原因を理解していないからなんです。これは正しく伝える必要があるなと感じました。
子ども時代のビリーフが人生を左右する
――著書では「父性愛」と「母性愛」の重要性が強調されていましたが、この2つについて教えていただけますか?
子どもの人生を家に例えると地盤にあたるのが母性愛と父性愛です。人が生きていく上で欠かせない心の安定性や社会性といったものを作るのがこの2つの愛情なんです。それと重要なものがもうひとつあって、それがビリーフです。
ビリーフは家で例えると基礎の部分。地盤の上に作るものです。基礎にヒビが入っていればちょっとしたショックで家は壊れるし、地盤が弱ければ基礎ごと傾きます。母性愛、父性愛とビリーフは、子どもの人生を築いていく上でどれも大事ですが、階層が違うといったイメージですね。
――ビリーフについてもう少し詳しく教えてください。
ビリーフとはその人が正しいと信じていることで、人生においてブレーキになるビリーフとアクセルになるビリーフがあります。
ブレーキビリーフとは簡単に言えば、望ましくない方向に人生を引っ張っていく思い込みのようなもの。それに対してアクセルビリーフは、挑戦をする人の背中を押してくれたり成功に導いてくれるようなポジティブなビリーフです。人はこれを両方とも持っています。
子どもに対して「あなたのすべてが大好き、かわいい」といった愛情が母性愛で、これが不足するとブレーキビリーフができる可能性が高まります。
――具体的にはどういったものでしょうか?
子どもの意味づけ次第で変わってきますが、例えば「自分は愛されていない」「大事な存在じゃない」といったものです。一旦こういうビリーフが付くと、これが正しいと認識する情報を取りに行くようになるんです。例えばお母さんが体調が悪くて少しイライラしているとしますね。するとブレーキビリーフが付いている子は「お母さんは自分のことが大事じゃないから」と解釈します。さらに次々と同じような場面ばかりが目についてしまう。お母さんが優しく抱っこしてくれても、これは本音じゃないと考えるので、ビリーフがどんどん強化されていく。
そもそも大人なら「お母さんが機嫌が悪いのは体調が悪いから」と考えますが、小さな子には分からない。間違ったことでも信じてしまうケースがあるんです。
――父性愛の不足は子どもにどのような影響を与えるのですか?
父性愛というのは社会に出るために厳しく育てる愛情。基本的なしつけはもちろん、忍耐力、最後までやり抜く力なども父性愛によって訓練される能力です。これによって子どもの頃に身につけておきたい基本的な社会性を養うことができます。
一般的には組織の最小単位が家族と言われ、子どもはそこで初めて組織のルールを学びます。例えば自分の意見や要求が認められるラインがどこなのか、それを通すためにはどうしたらいいか、欲求や感情をコントロールする方法なども学びます。
仮に父性愛が不足した家庭環境、つまりどんな欲求も認められ、好き勝手に振る舞うことが許されている家庭で育ったら子どもはどうなるでしょうか。自分が一番偉いという勘違いをして、周りが誰も認めてくれなくても自分に非があるとは思わずに悪いのは周りの方だと考えます。
大人になってから様々な問題が発生することは必然と言えます。
――母性愛と父性愛の役割は全く違うのですね。
全く別物ですし、どちらも本当に重要です。母性愛によって子どもは「自分が受け入れられている」という感覚を身につける。でも家族の中であっても何もかもがオーケーではない。その線引きの感覚を養ってやるのが父性愛の役割です。
――先ほどビリーフにはポジティブなものもあるとおっしゃっていましたが、それはどういったものですか?
父性愛と母性愛がバランスよく与えられていると、子どもは自己肯定感が高くなり、色々なことに挑戦するようになります。例えば補助輪なしの自転車に初めて乗るとき、最初は怖いけれど何度もやっているうちに乗れるようになる。そういった成功体験を積み重ねると自己効力感が増すので、さらに難しいことにも挑戦するようになってポジティブなビリーフのスパイラルに入ります。
ポジティブなビリーフには証拠が必要なんです。「あなたならできる」といった声かけでは、残念ながら証拠にはならないんです。何かを乗り越えた、できるようになった、達成できた。これが全部証拠になります。
一般的にビリーフに関しては、ブレーキビリーフをどう取り除くかという話になりがちですが、実はアクセルビリーフをつけることもとても大事。本書を読んでいただいて、本物の自己肯定感を身につけることができれば、アクセルビリーフは自然についてくるものです。
――ビリーフを意識しながら子育てをしている親御さんは多くないかもしれませんね。
そうかもしれません。母性愛が不足するとどんな問題が起こるのか、父性愛が不足するとどれほど子どもの将来に影響を及ぼすのか、それを理解している方は少ないと思います。特にブレーキビリーフに関しては子どもの解釈次第なところもあって、いくら親御さんが頑張っても付いてしまうことがあるんです。
本書では特に子どもを不幸にしてしまう12のブレーキビリーフとその対処方法をご紹介しています。これを知っているだけでも、お子さんの人生は大きく変わってくるはずです。まずはお子さんに12のブレーキビリーフが付いているかどうかを見極め、その可能性があればなるべく早く手を打っていただければと思います。
正解のない問題に向き合う力を育てたい
――井上先生が代表を務めているFIVE Keysについて教えてください。
私は長年企業経営者や幹部、アスリートの指導やサポートを行ってきました。経営者にしても一般社員にしても、どのような人が成功して、どのような人がうまくいかないのかという事例を人よりも多く見てきました。そこには共通するものがあるんです。それは人間的に魅力があり、コミュニケーション能力が高くて、努力する力を持っている。セルフイメージが高く、効率的に結果を出す力がある。これこそがFive Keysが伸ばしていきたい5つの資質です。
「教育の目的は何だと思いますか」と保護者の方によく質問をします。色々な考えがありますが、「社会に出るための準備」というのが皆さんに共通する答えではないでしょうか。しつけも勉強も体づくりも何もかもが、子どもが社会に出てから自分一人の力で人生を生きていくための準備のはずなんです。だとしたら、社会に出てどんな人生が送りたいのか、そのためにどんな能力が必要なのかということが教育につながっていないといけませんよね。
社会に出るとコミュニケーション能力がとても重要だということを誰もが知っているのに、学校でそのような授業はあったでしょうか。自分で思い描いたことを形にしたり成果を出していくためのスキルを身につける授業もなかったですよね。
――Five Keysは日本初の非認知能力専門塾と言われています。これまでそのような教育をする場はなかったのですか?
私の子どもがまだ小さい頃はなかったですね。強いて言えば習い事でスポーツをさせるくらいでしょうか。
例えばゴルフというのはマナーや周囲への気配り、計画性や考える力なども養える競技で、北欧では教育として取り入れている人も多いそうです。それを知っていたので僕の子供にもゴルフを習わせました。他にもコミュニケーション力が育つようにサッカーをやらせたり、礼儀作法を学ぶために剣道をやったり、水難事故を防ぐためにスイミングもやらせていました。
これだけ色々とやればそれなりには能力が高まるんですが、どれかひとつだけに集中しているような子にはやっぱり勝てないんですよね。子どものためにも「勝った」という経験はさせてあげたいので、どれかを諦めてどれかに集中させる必要があったんです。
でも大人になって社会に出てから成功するためには、全部必要な能力だし全部高めてあげたい。どうにかして全部を高められないかと何年も悩みましたね。それであるときふと、経営者やアスリートをサポートしてきたノウハウを活かせば、自分で作れるかもしれないと思い立ったんです。
――ご自身の子育ての経験から生まれた塾なんですね!
今の教育環境への想いと両方からですね。僕は社会に出てから頭がいいと言われる人になるための教育をしたいと思っています。大学生くらいまで頭がいいと言われる子はたくさんいるんです。でもそんな短い期間だけではなく、大人になってからも評価される人になってほしい。どちらかと言えば、大人になってからの頭の良さがその人の人生を作りますからね。
そのためには幼少期にしか身につかない能力があるんです。Five Keysではそのことを親御さんや子どもたちに伝えていきたいと思います。
――ありがとうございました。子育てに疑問のお持ちの親御さんたちには、ぜひ本書を読んでいただき、ご自身の子育てに対するビリーフも書き換えていただければと思います。