食べるお宿浜の湯 おもてなしの神髄

鈴木 良成[著]

2023.12.04

1760円(税込)

幻冬舎

単行本

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書籍内容

“期待を超える感動”で、
リピーターの絶えない人気旅館をつくる

わずか5室の小さな民宿を
部屋数56室の人気旅館に生まれ変わらせた
二代目経営者の経営戦略とは――

旅館はただ宿泊するためだけの施設ではなく、
最高の旅を彩る日本独自の伝統文化の一部として、
長くたくさんの人たちに親しまれてきました。
しかし、近年では外資系の高級ホテルや全国均一のサービスを提供する
チェーン系のホテルなどに埋もれ、旅館は衰退の一途をたどっています。
1980年代には8万軒を超えていた旅館の数は、
2016年には4万軒を切り半分以下にまで減りました。
著者は、旅館衰退の原因は高度経済成長期に団体客に依存し、
個人客をないがしろにしてしまったことにあるといいます。
食事の部屋出しをやめて宴会場での提供に変更したり、
客室係(仲居)をなくしたりするなど効率化だけを追い求め、接客や料理、設備、
サービスは画一化されていきました。旅館らしさのない旅館はただの宿泊施設であり、
ブランド化された外資系高級ホテルや価格の安いチェーン系ホテルと戦っても
勝ち目はない――日本独自の旅館文化を支えるおもてなしの精神を
失ってしまったことこそが、旅館業界衰退の原因だというのが著者の考えです。

著者が経営する伊豆・稲取の温泉旅館「食べるお宿浜の湯」は、
もともとわずか5室の小さな民宿でしたが、創業以来改築や増築を重ね、
旅館の平均部屋数が約18室といわれているなか、
56室という規模にまで拡大してきました。常に多くの宿泊客を迎え、
日本でも有数の高いリピート率と客室稼働率を誇る旅館としての地位を築いています。

業界全体が苦戦しているにもかかわらず、規模を拡大し満室を維持できている理由は、
従業員全員が本物のおもてなしとは何かを追求し、「変わらない感動」と「新たな感動」を
提供し続けてきたことにあると著者は主張します。変わらない感動とは、
最高の接客でお客様をお迎えし、いつ訪れてもすばらしい接客が受けられるという
安心感を得てもらうことです。浜の湯では日本旅館の特徴ともいえる
食事の部屋出しと仲居の担当制に徹底してこだわり、
一人ひとりに合わせた細やかな心遣いで最高の接客を追求しています。
新たな感動とは、訪れるたびに前回までとは違った新鮮さを感じてもらうことです。
季節にあわせてこまめに献立を変えたり、露天風呂付き客室の増室をしたり
といった前回とは違った愉しみを提供する努力と工夫の積み重ねが、
お客様の「また来たい」という想いを生み出すのです。

本書では、浜の湯が実践してきたさまざまな取り組みを通して、
旅館経営に欠かすことのできない「おもてなし」について詳しく解説しています。
旅館経営者をはじめ、観光業・サービス業に興味があるさまざまな人にとって、
ホスピタリティを向上させるヒントとなる一冊です。

目次

はじめに

四季折々の表情を見せる風光に包まれ、のんびり愉しめる温泉と季節ごとの料理、そして心づくしのおもてなしでお客様をお迎えする。

旅館はただ宿泊するためだけの施設ではなく、最高の旅を彩る日本独自の伝統文化の一部として、長くたくさんの人たちに親しまれてきました。

しかし、近年では外資系の高級ホテルや全国均一のサービスを提供するチェーン系のホテルなどに埋もれ、旅館は衰退の一途をたどっています。1980年代には8万軒超であった旅館の数は、2016年には4万軒を切り半分以下にまで減りました。また、コロナ禍では宿泊業全体が大打撃を受け、2021年の旅館の休廃業・解散は過去5年で最多となり、旅館業界の苦戦は続いています。

旅館衰退の原因は高度経済成長期に団体客に依存し、個人客をないがしろにしてしまったことにあります。食事の部屋出しをやめて宴会場での提供に変更したり、客室係(仲居)をなくしたりするなど効率化だけを追い求め、接客や料理、設備、サービスは画一化され、おもてなしの精神を失ってしまったのです。旅館らしさのない旅館はただの宿泊施設であり、ブランド化された外資系高級ホテルや安いチェーン系ホテルと戦っても勝ち目はありません。このおもてなしの欠如こそが、旅館業界衰退の原因です。

私が経営する伊豆・稲取の温泉旅館「食べるお宿浜の湯」は、もともとは父が1969年にわずか5室の民宿から始めた旅館ですが、1995年以降、計6回にわたって改築や増築を重ね、旅館の平均部屋数が約18室といわれているなか、現在は56室という規模にまで拡大しています。常に多くの方が訪れてくださっており、先のコロナ禍においても連日満室で、痛手を受けることなく営業を続けることができました。業界全体が苦戦しているにもかかわらず、これほどまでに規模を拡大しても満室を維持できている理由は、従業員全員が本物のおもてなしとは何かを追求し、「変わらない感動」と「新たな感動」を提供し続けてきたことにあります。

変わらない感動とは、最高の接客でお客様をお迎えし、いつ訪れてもすばらしい接客が受けられるという安定感を得ていただくことです。私たちは日本旅館の特徴ともいえる食事の部屋出しと仲居の担当制に徹底してこだわり、お客様一人ひとりに合わせた細やかな心遣いで最高の接客を追求しています。

新たな感動とは、訪れるたびに前回までとは違った新しさを感じていただくことです。そのために、季節にあわせてこまめに献立を変えたり、露天風呂付き客室の増室をしたりといったブラッシュアップを欠かしません。前回とは違った愉しみを提供する努力と工夫の積み重ねが、お客様の「また来たい」という想いを生み出すのです。

本書では、変わらない感動と新たな感動の2つを融合させることでリピーターの絶えない旅館をつくる私たちの「おもてなしの神髄」について、考え方から実践方法までを詳しく説明しています。それらのすべてが最初からうまくいったわけではなく、予期せぬ失敗を経験して試行錯誤したものも少なくありませんが、そうした過程も包み隠さず記しています。

本書がホテルや旅館経営者、観光業・サービス業に興味があるさまざまな方にとってホスピタリティを向上させるヒントを与え、旅館復興の一助となれば、これほどうれしいことはありません。

著者:鈴木 良成

株式会社ホテルはまのゆ 代表取締役
1964年生まれ。釣り宿「浜の湯」の長男として生まれ、大学卒業後2年間、山形県の旅館で修業を積み家業に加わる。広告宣伝費をいっさい使わず、料理原価につぎ込むことで他の宿泊施設と差別化を図り、ファンを増やす。外部の講師に接客研修を依頼し、学生の新卒採用を開始するなど人材育成に力を入れ、露天風呂付きの高級旅館へと経営を拡大。2008年社長就任。仲居のホスピタリティの高さやリピーターが多い旅館として同業から見学依頼が来るようになり、現在は観光サービス専門学校の講師も務めている。

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  • https://amzn.to/3f3Yc6Z

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