これからの高齢者医療・介護を考える 超高齢社会における5つの提言

2022.12.02

1760円(税込)

幻冬舎

単行本

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書籍内容

超高齢社会で危機的状況にある日本医療――
医療・介護業界が今取り組むべき課題とその解決策とは

かかりつけ医と病院の連携不足、医療と介護の複雑な役割分担、
不足する医療・介護従事者――
医療法人社団の理事長として地域医療に携わる著者が、
高齢者が最期まで幸せに人生を全うするための
医療・介護体制のあり方を語る。


日本は今、超高齢社会に突入しています。そしてそれを背景に、医療や介護ニーズの増大に対応可能な体制の整備が国の喫緊の課題となっています。2014年以降、自治体が中心となり、かかりつけ医や病院、介護施設等が連携する地域包括ケアシステムを構築し、推進しています。地域包括ケアシステムの目的は、高齢者が幸せに人生を全うすることを目指して、高齢者に必要な医療や介護サービスを途切れることなく提供することです。
しかし、現実はその理想とかけ離れてしまっています。かかりつけ医や在宅医と病院の連携不足、地域の介護人材不足などの問題で、地域包括ケアシステムが機能せず本当に高齢者が望むケアを行えていないのです。
本書では、医療法人社団の理事長として40年あまり地域医療に携わってきた著者が、高齢者医療・介護の実態と問題点を語ります。さらに、地域包括ケアシステムを円滑に機能させることで、高齢者が必要とする医療や介護を受けながら、幸せに人生を全うするための解決策を提示します。
危機的状況にある日本の医療介護の問題を踏まえ、真に国民のためとなる医療・介護はどうあるべきかを考えるきっかけとなる一冊です。

目次

はじめに

第一章 危機的状況にある高齢者医療の実態
未曾有の超高齢社会で医療・介護はどうなる
高齢者医療・介護の問題1 救急の受け入れが困難に
高齢者医療・介護の問題2 急性期病院以降の行先がない
高齢者医療・介護の問題3 医療と介護の連携が不十分

第二章 現場を疲弊させ、患者を混乱させる高齢者医療の諸問題
高齢者に多い疾患の受け入れ先が少ない――診療科偏在の問題
介護施設では「サービス」扱いになる救急搬送
情報の少ない独居高齢者は受け入れが難航
出口問題――退院後の行先探しに疲弊する急性期病院
医療的ケアができる介護施設が少ない
受け入れ施設に苦慮する認知症高齢者
複雑化するリハビリの受け入れ条件
行先探しは難解なパズルのよう
自宅へ戻れれば一件落着、ではない
誰も触れたがらない「終末期をどう迎えるか」
増えない訪問診療医――弱い訪問診療医療体制
心のケアと生きがい
このままでは地域包括ケアシステムは機能不全に!
介護施設における諸問題
高齢者の問題に立ち向かわずして、国全体の医療・介護問題は解決しない

第三章 超高齢社会にあるべき医療・介護体制①
――地域で継続性のある適切な医療を受けるためには「医療・介護の連携強化」が必要
医療と介護の相互理解は、施策の連携なくして進まない
介護医療院が増えやすい環境を
介護医療院とそのほかの介護施設との違い
矛盾だらけの老健は、「医療と介護をつなぐ」施設への見直しを
かかりつけ医がもっている患者情報の共有化を
後方支援体制の整備
救急搬送先 当番医の体制整備
精神科との連携
認知症を診る体制の整備は急務
精神科リエゾン 当院の取り組み
精神科医の育成
コロナ禍が教えてくれた「病床は、数ではなく機能」

第四章 超高齢社会にあるべき医療・介護体制②
――患者、家族、医療現場ともに望む「終末期」実現には「ACPの普及」が必須
死まで人任せでは、悔いが残る
終末期の話し合い「ACP」の啓発が重要
医療・介護従事者はどのようにアプローチしたらよいか
ACPは何度でも見直せる
ACPを決めたら、本人の意思を尊重すべき
介護休暇は「看取り休暇」でもある
章の終わりに――穏やかに死を受容することが本人の幸せに――

第五章 超高齢社会にあるべき医療・介護体制③
――高齢者が最後まで安心して暮らせるように「地域医療の充実」を
高齢者の一人暮らしが増加、孤独死の問題も
訪問診療医の地位向上と役割の明確化
カルテ共有化の仕組みを構築し、訪問診療医のネットワークづくりを
連携が進めば、医師偏在の緩和にも
介護施設と訪問診療医との連携
介護人材の不足――介護体験、有償ボランティア制の導入を

第六章 超高齢社会にあるべき医療・介護体制④
――高齢者を孤立させない「心のサポ―ト」を医療現場に導入すべし
高齢者の「心」の問題
老年期の主なストレス要因
話を聞くだけでも心のサポートに
AIを応用した話し相手のインフラ普及を
地域での世代間コミュニケーションを活性化
個人のやりがいにつながるプログラムの提供を地域との連携で
地域全体で高齢者を見守る仕組みを

第七章 超高齢社会にあるべき医療・介護体制⑤
――老いへの備え、寝たきり回避のために「予防の啓発」を
介護が必要な時期を遅らせるために
身体のフレイルは「予備力」の低下で起こる
ロコモティブシンドローム予防の強化を
“いつのまにか”歩けない、“いつのまにか”要介護にならないために
介護負担を減らすには、若いうちからの健康管理を
健診や検診は途切れないことが大事
家系の傾向をないがしろにしない
検査データの一元化なくして、地域住民の健康は守れない
コロナ禍および今後における高齢者医療の課題

おわりに

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