理念ドリブン 旧態依然とした会社を継いだ3代目経営者の組織改革
書籍内容
ワンマン経営から理念経営へ舵を切る!
旧態依然の会社を北陸屈指の成長企業に導いた社内改革とは
受け継いだ会社は、目の前の注文をこなすことに精一杯で
長期的な目標を見いだすことができず、成長の展望もないような状態でした。
今すぐにでも会社を変革・再生し、
社員が自ら考え動くような体制を整備するために必要なものは、
組織を一つにまとめる軸、つまり理念だったのです――。
著者の父である先代社長は自他ともに認めるワンマン経営で、
北陸の小さな段ボール会社を中堅企業にまで大きく成長させました。
しかしリーマンショック後、そのワンマン経営にほころびが出始めます。
他社が生き残りをかけて懸命に知恵を絞り戦っているなか、
社員はトップからの指示待ちばかりで、どんぶり勘定やマニュアル営業、
工場ではミスが多発するなど危機感も進歩もありません。
幹部社員さえもそれらを改善するといった発想すらもち合わせていない状態でした。
このままでは会社は潰れてしまう、今すぐにでも会社を変革・再生し、
社員が自ら考え動くような体制を整備しなければならない――。
そう考えた著者は経営について学び続けるなかで、
たった一つサクラパックスに足りないものがあることに気づきます。
それが本書のテーマである、組織を一つにまとめる軸、つまり「理念」です。
その後、幹部社員50人と徹底的に議論を行い経営理念をつくりあげ、
一人ひとりの行動に落とし込むためにあらゆる機会に話し合いました。
そのような地道な取り組みを続けること約10年、
サクラパックスは理念の実現のために社員一人ひとりが主体的に考え行動する組織へと
生まれ変わることができたのです。
社長就任時の売上は約65億円でしたが2020年は約94億円まで拡大するなど、
変化は数字にも見てとることができます。
先代社長からの引継ぎをきっかけに孤軍奮闘してきた著者の取り組みから、
組織改革のヒントを得られる一冊です。
目次
はじめに
第1章 どんぶり勘定、マニュアル営業、ミスが多発する工場
親父から継いだ会社は成長の展望が見えない組織だった
3代目社長に就任するまで
このままでは会社は潰れる
段ボール製造でやりがいを見いだすのは難しい
会社を経営するとはどういうことか
第2章 「理念ドリブン」で組織を改革せよ!
人事の刷新で理念浸透の下地作り
東日本大震災でのボランティア活動での出会い
「100年後の会社」を議論し浮かび上がったもの
立ちはだかったダブルスタンダードの壁
ともに経営を担う役員がいない
外部から高度人材を招くことを決断
10時間を超える面談で理念を共有
第3 すべてを「仕組化」しPDCAを回せ――
理念を軸に社員が自ら考え動く体制を整備
理念を腹落ちさせる仕組みづくり
“バイブル”こそが理念浸透の下地
社員の理念浸透のためにテレビCMを打つ
インナーブランディングとして位置付けた広報活動
理念ドリブンの素地が3年がかりで整う
理念を実践に移せる人材を見極める
社員の「基礎力」を高めることからスタート
環境整備で社員の考える力を養う
約1000通りのマニュアルをつくり、すべてを仕組化
全社合計約170のプロジェクト目標を立てる
モノづくりの現場で進める改善活動
PDCAサイクルは週単位で回し続ける
PDCAの肝は“C”の精度を上げること
役割をしっかり分担し個々の力を発揮
第4章 「顧客本位」の姿勢を貫け――
理念の浸透が売上アップのカギとなる
人事評価も経営理念を基準にして社員のやる気をアップ
人事面談は1年に12回実施
給与体系や賞与の計算式も公開して納得性を高める
「利他の心」をもっている人だけを採用
顧客本位が浸透したからこそできた提案営業
取り扱い商品数は5倍、売上高50%アップ、利益は4倍に
顧客本位を追求しついにBtoCに乗り出す
第5章 思いが一つになれば組織は強くなる
「理念実現」を目標に社員の成長を促す
顧客第一から社員第一へ
「自分は成長できた」と振り返ってほしい
社員に会社での存在意義を感じてもらう
社員同士の「ありがとう」を形に残す
“田舎枠”という知恵に学ぶ
人を育てることは公器としての会社の責任
会社は儲けのための道具ではない
公私混同をしない
良き社風を守り抜く
経営者自身が経営を真剣に学ぶ
社長がいなくても回る会社にする
コンサルは会社に付けず、自分に付ける
15年のスパンで考えた人事計画
社会を笑顔にするアイデアが500も集まる
社員の設計力が向上! 世界一の夢実現「持ちやすい段ボール」を開発
第6章 事業の拡大、生産性向上、新規事業の創出
理念ドリブンで成果は必ずついてくる
社員が発案した熊本城プロジェクト
「被災地を想う時間をつくる」という支援
「ベイビーボックス」贈呈を富山市と共同で実施
段ボール製造会社だからこそできる社会貢献を
おわりに