交通事故、労働災害、転倒・転落…… 患者が知っておくべき脊髄損傷リハビリ

柴田 元/[著]

2022.03.22

1650円(税込)

幻冬舎

単行本

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書籍内容

専門性の高いリハビリで
脊髄損傷後でも社会復帰は叶う――

専門医の選び方、リハビリ施設の活用法、公的支援制度の申請法……
身体機能を回復し社会復帰するために知っておきたい基礎知識

交通事故や転倒、転落などで脊髄を損傷した場合、
一命をとりとめたとしても深刻な後遺症は避けられません。
なかでも首の頚髄を完全損傷すると、
重度障害を残し首から下がまったく動かなくなってしまいます。
そして治療を終えた急性期病院のベッドでは
医師から「もう一生寝たきりですよ」と宣告されるのです。
しかし、脊髄損傷は「なったが最後」ではありません。
社会復帰を果たす希望は十分あります。
そこでなくてはならない存在がリハビリテーション科専門医なのです。
本書では脊髄損傷の患者が社会復帰を果たすために必要な
リハビリテーション科専門医主導のリハビリテーションについて詳しく解説します。
また脊髄損傷のリハビリテーションを適切に提供できる施設は全国でも限られており、
その選び方や公的支援制度の活用についても詳説しています。

目次

はじめに

第1章 退院しても社会復帰できない患者たち
今、リハビリの現場で起きている問題とは
突然の交通事故 救急病院に運ばれたまでは良かったが……
寝たきりで病院を転々とする生活に
なしくずしで自宅復帰の機会を逃す
頚髄損傷でも家に帰れる
頚髄損傷の患者を同じ病院でケアできないのか
都市部の病院で進む病床の水平統合
地方都市では病床の垂直統合が進む
病院は収益を見て患者を転院させている!?
脊髄損傷は医療従事者にとってもレアケース
思い込みは本人と家族に伝播する
「次の病院」の選択を間違えてはいけない
言われるがままでは正しいリハビリはできない
重度の障害者は自宅に戻ることが想定されていない
診療ガイドラインは役に立つのか

第2章 社会復帰できない大勢の患者を生みだす
“専門性”のないリハビリ
リハビリテーションはどのように続いていくのか
リハビリテーションができない状態の患者が紹介されてくる
患者中心のリハビリテーションなど存在しない!?
短時間のリハビリテーションしかできない地域包括ケア病棟
回復期リハビリテーション病棟は脊髄損傷の患者も対象にしているが……
現場のセラピストの質もまちまち
頚髄損傷のリハビリテーション専門病院は民間では経営できない
頚髄損傷の患者と向き合えるリハビリテーション病院とは
機能特化に専念すれば自宅復帰・社会復帰までサポートできる
介護保険によるリハビリテーションでの機能回復は期待できない
必要なリハビリテーションが「過剰」と見なされている
高齢者のリハビリテーションが軽んじられている
「根拠に基づく医療」が生んだ制度の隙間
EBMのおかげで医療の標準化は大きく進展した
過剰な医療を抑制する制度が次々に誕生
基準値を根拠にした過剰な投薬が繰り返されている
そもそもリハビリテーションの専門医が少ない
回復期リハビリテーション病棟は専門性がなくても稼げる
循環器専門医からリハビリテーション医に
元結核療養所の病院で当直のアルバイトを開始
なんの目的もないリハビリテーション
本格的にリハビリテーション医療の世界へ
運命を変えた一本の電話
リハビリテーションは人生を変える
病院の機能を次々に拡充
リハビリテーション医療のあり方を北欧に学ぶ
志をともにする仲間で現場を固める
15年かけてリハビリテーション専門病院を作り上げる

第3章 転院先の選び方、病院と施設のリハビリの違い、支援制度……
患者が知っておくべきリハビリの基礎知識
何事も患者を観察することから
予断や決めつけをせず素朴に患者と向き合う
エビデンス主義よりもゴール志向
訓練では無理をさせなければ意味がない
リハビリテーション科の対象は「人間全体」
リハビリテーションの専門性をどこで学ぶのか
二足のわらじ――リハビリテーション科専門医の特徴
リハビリテーション医に必要な「ホーリズム」のスタンス
診療ガイドラインが人間修理マニュアルになっている
診療ガイドラインが医師の保身の根拠に使われている
リハビリテーション医療では医師とスタッフはチームメイト
リハビリテーション科専門医は逆ピラミッドのいちばん下にいる
いいリハビリテーションとは
建物の外観から違いは表れる
病棟の風景から実際の仕事ぶりが見える
患者の痛みや危険を想像できているか
日常生活を取り戻すための場になっているか
リハビリテーション室の設備は充実しているか
セラピストによるリハビリテーションの実践
脂肪を減らし筋肉が増えるように栄養を管理
褥瘡が起きないように体重の分散を計測して管理
コメディカルスタッフのレベルも高い
リフトを用いて安全を確保し、スタッフの負荷も軽減
車椅子は「押すもの」ではなく「乗るもの」

第4章 在宅生活、職場復帰に成功!
リハビリによる社会復帰成功事例
脊髄損傷のリハビリテーションはどこに行くべきか
久留米リハビリテーション病院では何ができるのか
本人も家族も呆然とするなかで
自分の状況を正しく受け入れるサポートが必要
リハビリテーションにおける措置
杉山哲哉さん(仮名) 50歳・男性・会社員の場合
山下澄夫さん(仮名) 62歳・男性・会社役員の場合
クリシュナ・ラジャンさん(仮名) 26歳・男性・学生の場合
稲元幸雄さん(仮名) 43歳・男性の場合
川田国吉さん(仮名) 47歳・男性の場合
星たか子さん(仮名) 69歳・女性の場合
小山正三さん(仮名) 83歳・男性・自営業の場合
古村キヨコさん(仮名) 73歳・女性の場合

第5章 症状に合った専門性の高いリハビリが社会復帰を可能にする
これからのリハビリテーションに必要な「目標」と「一貫性」
医療提供側に求められる一貫したメッセージ
2025年に向けてリハビリテーションはどう変わるのか
リハビリテーションは質の時代へ
各種施設と患者はどのようにつながるべきか
「ヒュッゲやまもと」という答え
交通事故後の重度障害者を一貫サポートするNASVAの事業

おわりに

著者:柴田 元/

医療法人かぶとやま会 理事長/久留米リハビリテーション病院 院長
1977年、久留米大学医学部卒。同第III内科(元:心臓・血管内科)入局。
1979年、門司市民病院勤務を経て、1980年、大阪国立循環器病研究センター勤務。
1983年、久留米大学医学部第III内科助手。
1985~1987年、産業医科大学リハビリテーション科非常勤講師。
1995~1996年、デンマーク、ドイツ、イギリスなどで医療・介護・福祉研修。
1996年、医療法人かぶとやま会久留米リハビリテーション病院病院長に就任。
日本循環器学会認定循環器科専門医、
日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医/指導医。
公益財団法人日本医療機能評価機構 評価調査者 評価部会員。

ネット書店

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