ハート型の雲
書籍内容
「アノ家は貧乏だからよ。貧乏すぎるからよ」
――順風満帆かと思われた東大卒官僚との縁談に対する、「鬼婆」と言われた母からの反対。
箱入りで育てられた家を飛び出した恵美子の運命は。
昭和30年代、浅草。
「株式会社菱川」の令嬢・恵美子は子どもの頃から何一つ不自由なく生活していた。
「鬼婆」のように厳しかった母親は恵美子の尊敬する兄にいつも辛くあたっていた。
そんな恵美子も年ごろになり兄の友人からプロポーズされるが、母に猛反対されてしまう。
果たして恵美子の運命は!?
そして、実家の会社から造反し独立した兄・貞夫を待つのは成功なのか、破滅なのか……。
時代を駆け抜けた家族の息遣いを生々しく描く、芥川賞作家渾身の一作。