[PR]
【著者インタビュー】一生通い続けられる産婦人科「かかりつけ医」を。より多くの女性が生涯を通して、健康的な生活を送れる医療を目指して
この記事で紹介した本
秋田県秋田市に構える「あきたレディースクリニック安田」。 月経開始前の小児期から思春期、成人期、妊娠・出産、子育て、閉経後まで女性のライフステージに合わせて、県内で唯一産科・婦人科・生殖医療・不妊治療を柱に産婦人科全般にわたる診察を1人の医師が行っています。 その医師こそ、著書『産婦人科医が教える!妊娠・出産と女性特有の不調・病気がわかる本』を刊行した、あきたレディースクリニック安田院長である安田師仁氏。 本インタビューでは、著書に込めた思いや産婦人科とのかかわり方からクリニック展望について伺いました。
怖い、痛い、恥ずかしい。婦人科へのネガティブな思いを払拭したかった
――今回、著書『産婦人科医が教える!妊娠・出産と女性特有の不調・病気がわかる本』刊行されたきっかけをお聞かせください。
「婦人科を身近に感じてもらいたい」というのが刊行のきっかけです。ほとんどの女性が、婦人科に対して、「怖い、痛い、恥ずかしい」とネガティブな印象をお持ちだと思います。
「気になることがあるけれど、恥ずかしい」「もう少し先でもいいかな…」そんな気持ちで、定期的な検診を避けたり、小さな症状を放っておいてしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、そのためらいが、大きな病気を患うリスクを増大させてしまうことになります。
たとえば、子宮頸がんは、がんができ始めてから、実際に見つかるまでに約5~10年かかります。この間に検診を定期的に受けていれば、がんの前段症状を発見し、簡単な処置で完治できる場合がほとんどです。初期であれば、妊娠に必要な子宮を温存することも可能です。
しかし明確にがんと診断できる状態になってしまっていると、治療が大変になるばかりでなく、妊娠出産が難しくなり、場合によっては命にも危険が及ぶことになるのです。
――早期の発見が大切ですね。また、自身の体調の変化に悩んでいる女性も多くいらっしゃると思います。
そうですね。自身の体調の変化を「大きな病気」と決めつけて、一人悩んでいる人にも、本書を読んでいただきたいと願っています。
昨今は、インターネットで専門的な病気や治療についても検索が可能になりました。例えば不正出血があると、受診する前に自身で「何の病気だろう」と検索をするのではないでしょうか。実際には、不正出血にはさまざまな原因があり、病気として扱わなくても良いケースも多分にあります。
しかし、不安を抱えて調べていると、ついつい重い病気のほうへと検索を続けてしまい「がんの疑い」という結論にたどり着いてしまうのです。当然、不安で仕方がなくなりますよね。でも、受診するのも怖い。そうして日々を悶々と過ごしていらっしゃる人が少なからずおられます。
そんなときには時間をあけず、すぐに受診して欲しいのです。病気であれば、もちろん適切な治療へと誘導できますし、治療の必要のない症状であれば、今後の過ごし方をアドバイスしてもらえますから、安心して日々の生活が送れるようになります。
婦人科系の悩みは親しい人にも相談がしづらく、心の中に不安を抱えている人は多いと思いますが、ためらわずに受診する大切さを、本書の中でも詳細に書かせていただきました。
婦人科を一生付き合える「かかりつけ医」にしてほしい
――病院・産婦人科選びのポイントを教えてください。
いざ、受診しようと思ってもどこの医療機関へ行けばいいのか悩むという声はよく聞きます。症状によって総合病院へ行ったほうが良いのか、地元の個人クリニックのほうが良いのかと、悩んでいるうちに時間が経ってしまうケースもあると思います。
単純な考えで言いますと、お産をするなら「産婦人科」、不妊治療なら「不妊科」を設置しているところ、乳がんの疑いなら「乳腺外科」、病気の疑いなら「婦人科」という理解でよいと思います。
ただ、医療機関によって行っている治療に限界があるのは事実です。たとえば「不妊科」をうたっていても、最新の高度医療に対応していないケースもあります。お産も無痛分娩に対応しているのか、入院の際は個室なのか大部屋なのか、母子同室なのかなど、気になる部分が多々あると思います。
ウェブサイトの情報を頼りにするのも一つですが、大きな情報源となるのは「口コミ」でしょう。母親世代や少し年上の女性の声に耳を傾けてみてください。実際に通院した経験のある人たちは、ドクターの人となり、院内の様子、スタッフの対応など具体的な情報を持っています。
――先生は「婦人科のかかりつけ医」を持つことを提唱されていますね。
本来、女性にとって、婦人科は一生付き合う必要のある場所です
20歳になったら子宮頸がんの検診を年に一度受けてもらいたいですし、月経困難症や月経不順、妊娠、出産はもちろん、不妊治療、女性特有のがんの検診、更年期障害の診断や治療と、特別な持病がなくても生涯関わっていくことになるはずです。
そこで、私がおすすめしているのは「婦人科のかかりつけ医」を持つこと。特に、婦人科、産婦人科、不妊症をトータルで見てくれる医療機関であれば、検診から出産、婦人科系の病気治療まで任せられるので安心できます。
人の一生に関われる仕事。それが産婦人科医の魅力
――安田先生が産婦人科医を目指したきっかけを教えてください
私はもともと「人の記憶」について学びたいと医学部に入学しました。学生時代は漠然と、耳から入った音声が記憶につながることへの興味から耳鼻咽喉科、あるいは脳に直接アプローチする脳神経外科を専門にしようと思っていました。
しかし、医学を学んでいくと、脳神経外科というのは脳の病気の治療をするために、脳の一部を取り除く仕事だと気づきました。機能を失った脳は再生しませんから、病気になると手術で悪い部分を切除することがセオリーです。
どうも自分の考えていることとは違う。それなら脳の発達について学ぶのも面白いかもしれない。そうした思いから赤ちゃんの脳へ興味が移り、産婦人科を目指すきっかけとなりました。
――産婦人科の魅力をどのように感じたのでしょうか。
学び始めると、産婦人科は人の一生、すべてのライフステージに携わり続けられる素晴らしい仕事だと気づきました。
たとえば内科や放射線科で胃がんを見つけても手術するのは外科。一つの病気であっても、診断、検査、治療に関わるドクターが次々と変わっていくのが一般的です。その点、産婦人科は診断、治療、お産、その後のケアなど、一貫して一人のドクターが患者さんを診続けられます。
もちろん、大学病院など大きな医療施設では、妊婦健診を担当するドクターと、お産に立ち合うドクターが異なるケースもありますが、少なくとも私のクリニックでは、妊婦健診や検診もお産も私が必ず行います。出産後のケア、その後の検診も含め「かかりつけ医」として、一生、その患者さんの体調を見守る医師でありたいと考えています。
「すべては患者さんが幸せ」のために。あたたかい検診と最新機器の提供
――安田先生が患者さんファーストのために実践していることを教えてください
産婦人科や婦人科の診察、検診では「冷たい椅子に座り、冷たい器具を使われるのがイヤ」といった声がよく聞かれます。「婦人科あるある」で、我慢しなければならないと思われている人も多いと思います。
しかし、それは医療機関側の怠慢でしかありません。当院では器具はすべて温めて使用しています。革張りの診察用の椅子にもヒーターが内蔵されています。超音波検査でお腹に塗布するゼリーやタオルも温かくしています。
また、受付や診察室から患者さんをお呼びする際には、他の患者様の前では絶対にお名前は呼びません。診察券番号を読み上げる形で、個人情報を守っています。妊婦さんもそうですが、不妊治療や婦人科系の病気で来院されている人は、特に人に知られたくないという思いをお持ちですから、当然の配慮だと考えています。
また、診察室でのプライベートな会話を守る「会話保護システム」も導入しています。診察室で話した内容が外に漏れないための工夫です。
――患者さんへの優しい配慮が徹底されていますね。クリニックの設備にも力を入れているとお聞きしました。
会話保護システムだけでなく、最新機器を導入する努力も続けています。4D超音波機器でお腹の赤ちゃんが動く様子を立体的に見ていただきます。
里帰り出産で来院されている患者さんの中には「首都圏では1万円近く料金がかかるので4Dはしてもらっていなかった」とおっしゃる人もいますが、私のところでは採算度外視で実施させていただいています。妊娠を楽しみ、出産への期待を膨らませてもらうために、できることは何でもしてあげたいと思うからです。
他にも、乳がん検診のためのマンモグラフィ、骨粗しょう症を測定するための骨密度測定装置、ホルモン測定器など、女性特有の体の不調に対応するために必要な準備を整えています。
最新であるがゆえに、診断はより正確になるのは当然ですが、患者さんが体に受ける負担も最新機器は軽減されています。「すべては患者さんが幸せである」ことがベースです。
すべての年代の女性へ、産婦人科医からメッセージ
――女性特有の体調の変化の悩み・不安を抱える方や妊娠中の方にむけてメッセージをお願いします
私のクリニックでは10代の患者さんに対しては、基本的に内診はしません。10代であれば超音波検査でほとんどの診断が可能だからです。診察台をイメージして恐怖を抱いているかもしれませんが、そこは安心していただき、気になる症状があるようでしたら親御さんと一緒に相談にいらしてください。
また、不妊で悩まれている女性には、自分のせいだと思わないで欲しいというのがいちばんの願いです。不妊の原因の1/2は男性にあります。もし女性の側に排卵障害などの原因があったとしても、それは「排卵が苦手」なだけ。誰の身体にも得手不得手はあります。
走るのが早い人、遅い人、手先の器用な人、そうでない人など、個々の特性はそれぞれです。たまたま排卵が上手ではなかっただけですから、自分を責める必要はまったくありません。さまざまな治療がありますし、国や各自治体の補助も提案されていますから、できるだけ早い時期に相談にいらしてください。
妊婦さんには、とにかく妊娠を楽しんでもらいたい。そのためにも、妊婦健診時は小さなことでも不安や疑問があれば何でも聞いてください。何もおっしゃらない患者さんの場合には、私から2回以上は「聞いておきたいことはありませんか?」と尋ねるようにしています。聞きたかったこと、気になっていることをそのままに、足取り重く帰宅はして欲しくありません。健診を終えて、ますます出産楽しみになるような、そんな診察を目指しています。
中高年の女性には「自分の健康を一番に考えて欲しい」というのが切なる願いです。家庭を守る気持ちの強い女性は、自覚症状があっても家族を優先にしてしまい、治療の時期を逸してしまうケースが少なくありません。お母さんが健康であることが、家族を守る最大の条件です。年に一回、誕生日や記念日などに検診を受ける。そんなルーティンをつくってもらえたらと思います。
――最後に、今後の展望をお聞かせください
有難いことに多くの患者さんに来院いただいています。現在のクリニックでは手狭になってきましたので、2022年8月を目途に、移転を計画しています。秋田市中心部への移転も考えましたが、地元に根付いた医療を続けたいとの思いから、今のクリニックから比較的近い場所(秋田市土崎)になります。
密を避けられる待合室や個室、雪対策を施した駐車場、待ち時間の短縮など、今以上に患者さんがリラックスして過ごせるクリニックにしたいと考えています。今後も、地元の女性たちの健康と幸せを守る医師であり続けたい。著書を書き終えて、ますますその思いが強くなっています。