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【著者インタビュー】4,000人の子供を指導したカリスマ塾講師が語る「管理しない子育て」のすすめ
子育てや教育に正解はありません。しかし多くの親は「成功法」を求めて、誰かのうまくいったケースに我が子を当てはめようとします。世に溢れるHow to本を読み漁り、ノウハウ探しに没頭するのです。いつの間にか主人公は親になり、子供はそれに振り回されるようになります。 こうした子どもをコントロールしようとする親の考えが、子どもの自立を妨げる原因になっていると警鐘を鳴らすのは、「管理しない子育て」の著者、鈴木久夫さんです。子どもたちがのびのびと成長するために、大人にできることは何なのか。著書に込めた思いとともに、理想の子育てと教育について伺いました。
「子どもを変える」のではなく、「大人が変わる」ことが大切
――改めて、ご著書『子どもを自立させる 管理しない子育て』刊行のきっかけをお聞かせください。
巷では子育てに関する“How to 本”に溢れかえり、我々も教育者としてそのような本に目を通すことは数多くあります。
しかし、子育てや教育に正解がないにも関わらず、多くの親は子どもにより良い人生を送ってほしいと願い、成功法則に当てはめ、「ああしなさい」「こうしたほうがいい」「それはやめなさい」とアドバイスをします。
うまくいく場合もありますが、多くの場合子どもの自己評価をさげ、親の子どもに対する信頼を損なうきっかけにもなります。
本書は子育てや教育に対するノウハウの提供よりも、親自身の考え方を変えるきっかけ作り、親自身がオリジナルの“HOW TO”を創出できるような下地を作ってもらいたいという願いを込めて執筆しました。
――成功方式を無理やり当てはめると子どもにとって悪影響なのですね。
親に管理され続けた子どもは、自ら考えることをやめてしまいます。自主性や当事者意識は埋没してしまい、自立できないまま社会に出ていかざるを得なくなるのです。
こうした子どもの自立を妨げる子育てや教育は、子どもの知的好奇心を奪い、高い学力や教養の獲得にさえマイナスの影響を与えてしまいます。子育てと教育の基本は、子どもが自立して歩めるようにサポートすることであって、手取り足取り教えることではないのです。
「自立した子ども」とは、選択、挑戦ができ、責任感のある子
――「自立した子ども」とはどのような子どもでしょうか。
近年「レジリエンス」という言葉をよく耳にします。日本語では「回復力」や「しなやかさ」と訳されますが、子育てや教育の観点からは「失敗してもチャレンジする強い心」を持つことを指します。
レジリエンスは自立した子どもの代名詞と言ってもよいでしょう。「何をするか、しないのか」を自ら選択し、その選択に責任を持ち、失敗しても何度も挑戦してやり遂げる、そんな心を持っている子どもです。
根底には「失敗しても大丈夫」「何度でもやり直しができる」「自分には力がある」といった、ポジティブな感性が育っている必要があります。
ところが親に管理されて育った子どもは、失敗することに慣れていません。親が先回りして準備を整え、失敗しそうになるとフォローしてしまうからです。しかも、子どもの「できない部分」にばかり目が行きマイナス査定するような言葉かけをしてしまう。それによって子どもたちは自信を喪失していきます。なかには過去に失敗したときの叱られた記憶が蘇り、それに対する恐怖心からごまかしたり、チャレンジすることに躊躇したりする子もいます。
管理しない子育てが子どもの自己肯定感を上げていく
――自立した子どもに育てるためには何をすれば良いでしょうか。
自立した子どもに育ってほしいと願うなら、年齢にもよりますが、小学校高学年くらいからまず管理することを徐々にやめることです。そして子どもを信頼することです。「〇〇ができたら信じてあげる」といった条件つきではなく、何をしても何があっても無条件に子どもを信じるのです。
我が子の乳幼児のころを思い出してみると、笑った、ハイハイができた、言葉を発したなど、小さなことに喜び、褒めていたはずです。つまりプラス査定で接していたのです。何歳になっても同様に、今、子どもができていることを認め肯定してあげしましょう。理想から足りないところではなく、充足している点に目を向ける。親にその姿勢があれば、子どもの自己肯定感は自然と上がっていくのです。
――学力の高い子どもたちの親に共通するポイントは?
私は30年近く教育活動を行ってきましたが、知的好奇心とチャレンジ精神旺盛な子どもの親は「助言はするけれど介入はしない」というスタンスを取っているケースがほとんどでした。子どもを一人の人間として尊重しているのです。
「汚い」「危ない」「みっともない」と子どものやることを否定するのではなく、子どもが興味を持ったことに共感し、応援する。探求心を摘まなければ、子どもは自ら学習し知的レベルを上げていきます。
私たちの塾で行う親との面談で、進学先について母親の希望を聞いたところ「それは子どもと話してください。進学するのは子どもです。私は子どもの決断を応援するだけです」と話された人がいました。
本当にその通りです。その子は、塾の講師との面談で自分の進学希望を自分の意志で明確に伝え、それに向けて努力し希望した道へ進みました。この事例だけでなく、私たちの塾に通う子どもの多くが、何を目指すのか、そのためにどこを進学先として選ぶのかを自ら考え、目標にしています。
もうひとつ、自立した子の親に共通するのは、親が親自身の人生を謳歌している点です。仕事であれ趣味であれ、日々を充実して過ごしていると、子どもは親を誇りに思うようになります。そして、同時に「自らやりたいことを見つけ努力する」ことが、人生にとってどれだけ幸せで重要であるかを親の姿から学んでいくのです。
本書の中には、子どものために何かをする「doing」ではなく、子どもに対してどうあるべきか「being」を考え、理想的な親子関係を築いた実例も紹介しています。
学びを通して自立を促す塾「クセジュ」
――鈴木様が経営されている「クセジュ」はどのような塾なのでしょうか。
塾名の「クセジュ」はフランス語で「私は何を知っているのか。何も知らない」という意味を持ちます。学ぶことを通して自らの無知を自覚し、いつまでも謙虚に学び続けてもらいたいという願いが込められています。
カリキュラムは他の塾と一線を画すものになっています。問題を解き正解を得るための学習ではなく、学ぶことそのものの面白さを伝え、学びを通して自立を図ることが根本です。知識や公式を覚えるだけでなく、その背景にある歴史に触れることで、子どもたちの知的好奇心を揺さぶり、生涯学び続けたいと思えるような教育を心がけています。
特に国語はすべての教科の原点として捉えています。死生観や倫理観を育み、多角的で多面的な思考の礎をつくります。1冊の小説を題材に、数カ月にわたって深く思考し、自ら調べ、最終的には自分の考えを発表するような授業も行っています。
――「クセジュ」で行っている自立を促す教育方法を教えてください。
最も重要視しているのは「教えすぎない」ことです。テーマは与えてもすぐに正解は教えません。その結果、子どもたちは自ら調べ、学ぶようになります。私たち講師はテーマに関する多様な話題を提供していきます。背景を知ることで一夜漬けの勉強とは違う、本当の学習につながるのです。
講師のアプローチに対して、子どもたちは柔軟な発想で意見や感想を返してくれます。彼らのポテンシャルの高さに講師も敬意を払い、「もっと学ぼう」「さらに深めよう」と講師の側も知的意欲が高まります。それによって授業の質がさらに高まっていきます。互いに学ぶことで成長し、それぞれが独自の考えや学びの目標を持てるようになる。これこそが「教育の本質」であり、自立を促す教育と信じています。
自立を促すには「子どもの人生」と「親の人生」を切り離す
――これからの「子育て」はどうなっていくべきだと考えていますか。
親が子育てを楽しみながら、親自身の人生をしっかりと考えられるような風潮を作っていきたいですね。「子どもの人生が自分の人生」という考えから脱して、親が子どもを一人の人間として捉え、「子どもの人生」と「親の人生」をうまく切り離すことができるようになってほしい。
私の役目は、その筋道を打ち出し、教育システムの中に取り入れていくこと。その結果、子どもは学ぶことに対する意欲を高め、自分の力で生きていくための技術や教養を主体的に身につけるようになります。
一方で、親はさまざまな学びの場から人生を楽しく送っている見本を、子どもに見せられるようになる。このようなサイクルが出来上がれば日本の将来は非常に明るいのではないかと思っています。
――最後に、子育てに行き詰まりを感じている方へのメッセージをお願いします。
もし、今、子育てで悩みや心配事があっても、時間が経てば杞憂に終わることはたくさんあります。まずは、「今はこういう状況だけれど、この子なら何とかやってくれる」と信じてみましょう。
子どもは親の想像以上に、親の見ていないところでたくましく育ちます。一方で、親の良い部分は、言葉にしなくても見て学び、感じ、踏襲してくれます。「あなたなら大丈夫」という全幅の信頼を置いて見守ってあげることで、子どもは自ら壁を乗り越え、自分の人生を切り開いていくはずです。
書籍の中では、マイナス査定からプラス査定の思考に切り替える方法を丁寧に解説しています。失敗よりも上手くいったことに目を向けられる親になるために、ぜひ活用してみてください。
そして、「子どもの人生」と「親の人生」を切り離し、親が自身の人生にフォーカスしてやりたいことをできるように思考を方向転換させましょう。それが、子どもの自立を促す子育てへの第一歩です。
学習塾クセジュ 公式サイト