[PR]
【著者インタビュー】高収入なのに、金融資産を持てていないケースも。マネーリテラシーを高め、ライフプランに合った資産形成を実現するための心構えとは
「貯蓄から投資へ」の移行が叫ばれても、日本では資産形成への取り組みがあまり増えてこなかったのが現状です。それを知ってか知らずか、年収1000万前後といった高所得者でも十分な金融資産を持たない人が少なくないといいます。 しかも日本の税制度は、収入の高い人に対して非常に厳しいものになっています。そうなると高収入を得ているにもかかわらず、突然のリスクに対応できないばかりか、果ては老後の資金が不足してしまう危険性とも無関係でいられないのです。 これらの原因には、日本人のマネーリテラシーの低さがかかわっています。こうした状況を打開するにはどのようなことが必要なのでしょうか。独立系ファイナンシャルプランナーとしてライフプランの設計から、投資や保険のアドバイスなどまで携わってきた永田智睦氏に、マネーリテラシーを身につける方法やお金の育て方のポイントをお聞きしました。
自ら行動を起こして「マネーリテラシー」を身につける時代に
――著書「脱・高収入貧乏」刊行のきっかけをお聞かせいただけますか?
不安定な経済状況が続く中、SNSなどを見ていると副業をお持ちの方も多いですし、お金について学ぼうとする人は多くいることや金融関係の知識が必要とされているのを実感します。
一方で、お客様向けにセミナーを行い、その半年後や1年後に改めてお話を伺ったりすると、お伝えした内容をすっかり忘れてしまっていることも多いのです。自分自身で基本的な知識を持つことは大切なことですから、書籍の形になればそうした知識の復習にも役立つツールになるのではないかと思ったのです。
――お金に関する知識や判断する力である「マネーリテラシー」がきちんと備わっていない人が多いのですね。
多くの人が漠然ともっている知識には、親や会社、あるいは国が「なんとかしてくれる」というのが前提になっているように思えます。日本経済が成長を続けていた時代はそれでもよかったのですが、今は状況がすっかり様変わりしています。
さらに人生のあり方も多様化してきていますし、それにあわせた「お金の育て方」を知る必要があります。そして、今は自分で行動していかなければならない時代に変わってきています。それがいいか悪いかといえば、私はいいことなのではないかと思うのです。
お金のしくみを知り、現状の家計を見直すことから始める
――マネーリテラシーを高めるために大切なことは何でしょうか。
お金に関する基本的なしくみを知り、国や会社からどんなことをしてもらっているのかを知ること。そして、書籍でも確認すべき項目を紹介していますが、現在の家計の状況を「客観的に見直す」ことです。
以前から日本人のマネーリテラシーの低さ、そして金融教育の必要性が指摘されており、現在は小学校から授業でお金について学ぶ機会があります。一方で大人はどうでしょう。子どもから何か聞かれた時に親が答えられるかどうか。それによって子どもの将来にもかかわってくるかもしれません。
――実際に資産形成に取り組むにあたっては、どんな点に注意すべきですか?
「資産形成をしたい」「お金を増やしていきたい」という方々にお話ししているのは、「無理をしない」こと。それから「相場感を知る」ことも重要です。
例えば、日本の銀行の金利は低い、でも海外の銀行なら高い、だから海外にしようと短絡的に考える人がいます。「○○がだめなら××」というような「0か100か」の考え方は危険です。
日本の銀行金利が低いのは、低いなりの理由がありますし、金利だけでなくさまざまな要素がかかわっています。たとえば海外とは何がどう違うのか、平均はどのぐらいなのかといったことについてある程度知らないと、状況によっては金融詐欺みたいなものに引っかかってしまうかもしれません。
投資にはリスクがあるといっても、ギャンブルではないのです。自分なりにできることから始めて知識を広げ、その中から「相場」を判断する力を身につけていくとよいのではないでしょうか。
複数のプランの中から、個人の状況に合わせて選択してもらう
――お客様が資産形成の相談にこられるきっかけにはどのようなものがありますか?
多いのは2人目、3人目のお子様がいらっしゃる場合です。教育費などに関しては、お子様が増えれば、計画的に考えていく必要があります。もう1つは「家」に関するご相談で、それぞれのライフプランにあわせてアドバイスをしています。
たとえば教育資金などの場合、お金の借り方にもさまざまな種類があります。そこで複数のパターンを明示させていただくことで判断もしやすくなるようで「選択肢が増えてよかった」というお声をいただくことは多いですね。
――今回の書籍にはさまざまなパターンでライフプランニングの事例が具体的に紹介されていて興味深いですが、最近の傾向はありますか?
海外移住を考えるケースがここ半年から1年ぐらいで増えています。最近の傾向としては東南アジア方面が増えていて、マレーシアやタイを移住先に選ぶ方が多いようです。私はフィリピンの不動産の会社を経営していまして、海外の状況に関する知識もありますので、世界全体でどうなっているかも見ながらアドバイスをしています。
自分なりの生活スタイルを見つけ、未来に向けて行動を起こすこと
――ご自身も経営者として、大切にしていることはどんなことでしょうか。
事業を大きくするというより、担当するお客様にきちんと目が届くような規模感を維持していきたいという思いがあります。しっかりと地に足をつけて、長く継続できるような立ち位置を大事にしています。
また、日本という国を良くすること、子供たちの教育の状況も見守っていきたいですし、金融の問題は世界全体の状況も踏まえながら取り組んでいきたいと考えています。
――最後に、お金の不安を感じている方へのメッセージをお願いします。
お金の不安の多くは、よくわからないことからおこっているのではないかと思います。今はまわりと比較するのではなく多様性の時代です。選択肢は1つではなく、海外なら日本で得ている所得で十分快適な暮らしができる国もたくさんありますし、日本国内でも東京に住むのと沖縄など地方に住むのでも暮らしはだいぶ違ってきます。
自分なりの生活スタイルを見つけようと思えば見つけられる時代なのです。もちろん中長期のスパンで資産運用に取り組んだり、老後のためにお金を育てていくのもその1つです。
不安だからととどまっているより、未来に向けてできることを知り、行動を起こすことで変えていけると思いますし、そのお手伝いをしたいと思いますね。