「人が辞めない」病院をつくる スゴイ人事考課制度

書籍内容
病院経営の鍵は「人」にあり
職員のモチベーションを高め、離職率を低下させるための
人事考課制度を徹底解説!
少子高齢化によって多くの医療機関が慢性的な人手不足に悩まされています。そんななか、人材の確保・育成、定着率向上などを目的として、職員の貢献度や業績を評価し処遇に反映する「人事考課制度」の導入が進んでいます。
自身も医療法人の理事長を務める著者は、売上や数値目標で個々の成果を明確に評価することが難しい医療機関では、この制度を期待どおりに運用することは簡単ではないと述べています。また「評価基準が曖昧」「公平性に欠ける」といった不満によって職員の士気低下や離職率上昇を招いたり、制度自体が形骸化し、時間と労力が無駄になるリスクも指摘しています。
著者の病院でも、制度の導入当初は評価基準の透明性や公平性の確保が大きな課題でした。しかし、評価者となる管理職向けの定期的な研修や評価結果の比較検討を通して評価スキルの向上・標準化を図るとともに、定期的なアンケートや面談で職員の声を制度改善に反映させることで信頼と納得感を獲得していきました。その結果、職員の業務に対するモチベーションアップやスキル向上、長期的なキャリア形成の促進につながり、2018~24年の新入職員5年以内離職者ゼロを達成しました。
本書では、著者のこれまでの取り組みを基に医療機関において人事考課制度を機能させるための重要なポイントについて詳しく紹介しています。また、著者が制度の立ち上げ時に直面した課題や失敗、そこから得た教訓をもとにした改善案など、単なる制度の導入にとどまらずそれをいかに継続的に改善し、組織全体の成長につなげていくかについても具体例を交えて解説しています。
人材不足が深刻化する医療業界において、職員のモチベーション向上と定着率の改善は喫緊の課題です。人材確保や経営に悩む病院管理者層が問題解決に向け新たな一歩を踏み出すヒントになる一冊となっています。