医療的ケア児の命をつなぐ

金沢 貴保[著]

2024.06.04

1760円(税込)

幻冬舎

単行本

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書籍内容

医療的ケア児とその家族のために必要なサポートとは何か?
医療の進歩によって救えるようになった命。
一方で、救われた命とその家族が直面する困難。
医療的ケア児と家族の現実を前に、それを支える医療の在り方を問うた現役小児科医の取り組み。


2018年、258グラムの世界で最も小さな男児が長野県で誕生しました。
医療の進歩により、その小さな命は救われたのです。
しかし、小児医療の世界にはこうした救命率の向上という輝かしい「光」がある一方で、
その裏側には大きな社会問題ともいえる「影」が存在します。
それは救命された赤ちゃんの大半が、その後もなんらかの医療的ケアを必要としながら人生を過ごしているということです。
日常的な重度のケアが必要な子どもの生活は、
本人はもちろん家族にとっても通常よりも多くの困難が伴います。
そもそも受け入れ施設が不足しているため必要なケアが受けられず、
家族が24時間休む時間がなかったり、介護疲れによって家族全員の日常生活が困難になってしまったりといったことが起こっているのです。
この本は、小児医療の現場から一人の医師がそんな医療的ケア児とその家族が直面する困難に焦点を当て、
その解決に向けた具体的な取り組みを紹介しています。

小児科医である著者は、医療的ケア児が社会の一員として尊厳を持って生活できるのはもちろん、
家族が介護によって日常生活が困難になってしまうことがないよう、医療型児童発達支援や放課後等デイサービス、相談支援事業所を含む複合施設の設立に尽力しました。
著者は医療的ケア児の支援には本人だけではなく、
家族のケア、いわゆるレスパイトケアについても考えることが重要だと言います。

医療的ケア児の数は2005年の9987人から2021年には2万180人へと、約2倍に増加しています。
この増加するニーズに応じるためには、著者は医療従事者や社会全体による支援を拡充する必要があると言い、
小児科医として全ての子どもと家族が適切な支援を受けられる社会を目指してこの書籍を執筆しました。
医療的ケア児とその家族、そして医療・介護の現状を具体的に知ることができる一冊です。

著者:金沢 貴保

1977年7月14日生まれ、大阪府大阪市出身。京都府立医科大学卒業。
小児科領域の1次から3次医療、急性期から慢性期医療まで幅広く臨床経験を積み、多くの助かる命を診てきた。小児科医を続けるなかで、後遺障がいが出てしまう患児がいる現実を目のあたりにしたこと、また、後遺障がいをもつ子どもは退院後に受け入れ施設があまりないことから、医療的ケア児を取り巻く現状を打開したいと強く思い、2023年4月に条件付き通所施設ではない、すべての医療的ケア児を受け入れるための小児クリニックと多機能型児童発達支援センターの併設を実現させる。

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