フェムテック 女性の健康課題を解決するテクノロジー 

吉岡範人[著]

2023.03.20

1760円(税込)

幻冬舎

単行本

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書籍内容

月経・妊娠・更年期……
女性のヘルスケアをテクノロジーの力でサポート
市場が拡大し続ける「フェムテック」が社会に果たす役割とは――

産婦人科の専門医として女性の健康課題を解決してきた著者が、
フェムテックに秘められたビジネスチャンスを明かす

近年、「女性=Female」と「テクノロジー=Technology」をかけ合わせた「フェムテック」
という言葉が急速に世に出回るようになってきました。
その市場は大きな成長が見込まれ、2025年には世界で約5兆円規模になるとの
予測もあります。

日本では2000年にフェムテックの先駆けとなる月経管理アプリが登場したのち、
膣内で経血をためておく月経カップ、経血を吸収する吸水ショーツなど、
これまでは想像もしなかった商品が発売されてきました。
しかし、フェムテック関連商品がいくつも発売されているにもかかわらず、
フェムテックブームをけん引している欧米と比較すると、日本においては
なかなか広がりを見せていません。
その理由の一つに法令の壁があります。
現状の法令ではせっかく新しいフェムテックの商品やサービスが考え出されても、
医療器具や医療サービスとして認可を得るのに膨大な時間とコストが掛かります。
そのため企業側は医療品としてではなく雑貨として販売せざる得なくなり、
結果市場での信頼を得られずフェムテックが普及していかないのです。
さらに、フェムテック関連商品を消費者側が受け入れる土壌も成熟しているとは
いえません。
例えば、「ピルはあくまでも避妊のためのもの」「膣に異物を入れるなんてもってのほか」
と、画期的な新商品もタブー視されてしまう状況は相変わらずです。
企業や医療者、消費者を含めたすべての人がフェムテックには及び腰なのです。

著者は横浜市のレディスクリニックで院長を務める産婦人科医です。
婦人科疾患の治療や妊婦さんのサポート、不妊治療、更年期障害の治療に加え、
女性にとって長く付き合わなければならない生理の悩みに向き合うことにも
力を注いできたといいます。
診療や治療を通して女性の健康課題を解決するなかで、いろいろな悩みを
打ち明けられるそうです。
最近では月経カップを使っても大丈夫か、月経管理アプリをどう使いこなせばよいか
分からないといった、フェムテックに関連する相談も多く寄せられるといいます。
女性たちが少しでも楽に快適になるために、テクノロジーとその産物が有効である
のなら、それを利用しない手はありません。エビデンスが少ないというのなら、
利用しながらつくり上げていけばよいというのが著者の主張です。

本書では、まず、フェムテックの定義、広まった経緯、フェムテック商品・サービス
の現状を産婦人科医の目で考察しています。
そして、それらの商品やサービスをこれから利用しようとしている人、すでに利用している
人の症状や悩みなど、実際の声を踏まえた改善点や可能性に触れ、産婦人科の医師
だからこそのアドバイスが盛り込まれています。
そしてフェムテックにおいては、一見すると無関係のフィールドの人や企業が
関わり合うことで、新たな商品やサービスが生まれる可能性は大いにあり、
この本をそのきっかけにしてほしいというのが著者の願いです。
フェムテックの大いなる可能性を示す一冊です。

目次

はじめに

第1章 2025年には世界市場規模5兆円突破!?
「フェムテック」は知らないではすまされないテーマ
そもそも「フェムテック」とは?
なぜ急に注目されるようになったのか
フェムテック市場の可能性
〇月経分野 約2400億円
○妊娠・不妊分野 約3000~5000億円
○更年期分野 約1.3兆円
玉石混淆の商品・サービス

第2章 なぜ日本では女性の健康課題はタブー視されるのか?
産婦人科医から見た「フェムテック」の現状と問題点
女性の特有の健康・ヘルスケアの課題をまずは理解する
○体のリズムをつくるのはホルモン
○毎月の月経に伴う問題
○妊娠・出産に伴う問題
○産後の問題
○不妊治療の問題
○更年期の問題
○婦人科系疾患の問題
これまでの 「フェムテック」
「フェムテック」と産婦人科医療
日本の医療制度と「フェムテック」

第3章 拡大する市場を理解するには、
「フェムテック」と「フェムケア」の分類・整理が必要
雑然とした「フェムテック」市場には分類が必要
「フェムテック」と「フェムケア」を区別して考える
「フェムケア」は医療からこぼれ落ちたものをすくい上げる貴重な存在
アプリ=テクノロジーではない
各分野での「フェムテック」と「フェムケア」
○月経関連
○妊活・不妊関連分野
○妊娠・出産・産後関連
○更年期関連
○デリケートゾーン関連
○女性特有疾患関連
○セクシャルウエルネス関連
「フェムケア」が「フェムテック」になる可能性
医療機器の門戸は開かれている
「フェムテック」にも「フェムケア」にも信頼性が不可欠

第4章 信頼性を高めることで市場の底上げができる
「フェムテック」×「医療」で拡がるビジネスチャンス
まずは女性の健康課題を理解してほしい
医療者もフェムテックへの理解を深めることが必要
商品・サービスにはエビデンス、データの積み上げを
副作用やデメリットの検証も
ビッグデータの活用も
更年期問題も医療との連携で現状打破
フェムテック利用のサポートには医療が必要
3割負担の医療とコスト面で共存するには
消費者もリテラシーをもって
医療とフェムテックの両方に精通した人材育成が急務

第5章 進化し続けるテクノロジー
フェムテックが果たす役割は無限大
テクノロジーは今後もっと変化する
フェムテックは新たなニーズも掘り起こす
科学・技術の発展をそのつど取り入れて健康に役立てることがこれからの新常識になる
「フェムテック」だけでなく「エムテック」市場もある
福利厚生とフェムテック
政治・行政に期待すること
男女とも互いの健康を尊重できる社会に

おわりに

著者:吉岡範人

1978年5月31日生まれ、千葉県市川市出身。父親が産婦人科の医師だったことで幼少期からクリニックで診療をしている姿を見て育ち、自身も医師を志す。2005年に聖マリアンナ医科大学産婦人科学教室に正式に入局し、大学院生として臨床と研究に従事。『卵巣明細胞腺癌におけるPOU6F1の役割の解明』をテーマに医学博士号を取得。その後カナダのブリティッシュコロンビア大学への留学も経験し、婦人科腫瘍(悪性疾患や良性疾患を含む)や若年のがん(思春期・若年女性:AYA世代がん)について学ぶ。卒業後、大学の産婦人科に入局して一般診療をはじめ、さまざまな症例を経験し、2019年につづきレディスクリニックを継承。直近では2020年東京オリンピック競技大会の水泳競技に救護ドクター、パラリンピック競技大会にて、水泳競技のドクターボランティアとして参加。現在はさまざまな世代に月経困難症の治療を提供し、スポーツに励む女性や受験生のパフォーマンス改善に注力している。

ネット書店

  • https://amzn.to/3f3Yc6Z

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