ふるさとの笑顔が、咲き始める場所 地域包括ケアシステムを実践する、とある病院のチャレンジ
書籍内容
これからのまちづくりを担うのは「病院」だ!
群馬県沼田市。人口約5万人の小さなまちで医療・介護・福祉を一体化させ、
子どもから高齢者まで安心して暮らせるまちをつくりあげた内田病院。
ふるさとを思う強い気持ちから生まれたユニークな取り組みの数々とは――。
2015年、群馬県沼田市は、日本全体よりも10年ほど早く高齢率化30%を超え、
「超・超高齢社会」に突入しました。
このまちでいち早く地域包括ケアシステムの構築に着手したのが、著者の病院です。
本書では、著者がどのような考えをもとに行政と連携し、
職員や地域住民と協力しながら「まちづくり」を担っていったのか、
その過程と現在の活動を解説します。
認知症のある患者の「身体拘束ゼロ」を掲げた病院経営、
介護老人保健施設やグループホームの運営、
障がい児と高齢者や保育園児が同じ空間で過ごせる福祉・介護施設の開設、
過疎地域への移動型コンビニ事業、
障がい者施設と商業施設を組み合わせた地域共生型施設の開設など、
地域住民や職員のために取り組んできたことは、
そのまま沼田市の「まちづくり」につながっていきました。
「病院を中心とした、医療・介護・福祉の一体化によるまちづくり」という著者の発想は、
これから「超・超高齢社会」を迎える日本の地方都市における
医療のあり方やまちづくりを考えるうえで、大きなヒントとなるはずです。
目次
はじめに
第1章 医療・介護・福祉 暮らしの安心を支えるサービスを地域に
・安心と笑顔のまちづくり
・きっかけは高齢化による社会問題の解決
・介護制度から漏れた人たちのためにNPO 法人を設立
・誰もが同じ空間で“ごちゃまぜ”の笑顔の交流
・院内にオシャレアイテムを扱うセレクトショップをオープン
・買い物難民を救う移動型コンビニ事業
・15年越しの約束を果たしたヘルシーパーク
第2章 医療と介護の連携に早くから取り組んだ「まちのかかりつけ病院」
・最初は弁護士を目指していた父
・執筆した痔瘻の専門書が思わぬ反響を呼んだ
・退院できない高齢者の受け皿になる介護施設の必要性
・駆け込み増床と誤解され申請が却下に
・県内初の認知症専門棟が開設
第3章 看護師の意識を変え「身体拘束ゼロ」を実現
・私が医師になった経緯
・衝撃的な光景に立ちすくむ
・病棟全体の雰囲気がガラリと変わった
・慢性期医療ならではの楽しさ
・縛らない医療・看護・ケア
・「ここに転院してきて良かった」という人も
・身体拘束ゼロのためのケアマニュアル
・暴言暴力の症状が一カ月で治まる
・何歳になっても生きがいはつかめる
・認知機能が衰えた高齢者のためのドライバーリハビリ
第4章 職員が安心して働ける環境づくりがサービスの質を向上させる
・健康経営に取り組む理由
・夫婦そろって転職し、そのまま群馬に永住
・男性も気兼ねすることなく育休が取れる風土づくり
・自身の世界を広げるために沼田市へ
・医師になることを選んだ三人の子どもたち
・地域の人の声
第5章 事業拡大から見えた「地域づくり」という病院の役割を担って
・国が推進する「地域包括ケアシステム」
・どれか一つではなく、すべてを
・まちづくりの取り組みへの評価
・まちづくりではなにを優先するか
・行政との連携による認知症ネットワーク
・病院だからこそできるまちづくり
おわりに