医療崩壊前夜

書籍内容
崩壊寸前、日本医療の現実
ベテラン医師が切り込む!医療費削減政策の問題点とは?
日本の医療崩壊を防ぐために、今何をすべきか?
1961年に導入された国民皆保険制度によって、すべての国民は必要な時に必要な医療を受けられるようになりました。これは国民の健康を支える制度として、他の先進国と比較しても優れたものであるといえます。しかし、高齢化が進むなか国全体の医療費は年々増加しており、政府は「財政健全化」「国民皆保険制度の維持」を掲げて、医療費の歳出削減や保険制度の見直しを進めています。
これに対し、30年以上にわたり地域医療の最前線に立ち続けてきた著者は、政府の推し進める医療費削減政策が医療現場にさらなる負担を与えてしまい、「医療崩壊」を引き起こす原因になりかねないと警鐘を鳴らしています。そして、医療従事者の待遇改善や医療費の適正配分といった施策によって、誰もが安心して医療を受けることができる体制を守り続けることが重要であると訴えています。
本書では、診療報酬の引き下げや、医学部定員の抑制といった政府による医療費削減政策がどのように医療現場を追い詰めているのかを、著者が客観的データと長年の実体験を基に解説しています。また、医学部定員の適正化による医師数の確保、救急医療や産科・小児科など不足診療科の体制強化、そして地域の実情に応じた診療報酬体系の見直しなど、医療崩壊を防ぐための著者の具体的な提言も示されています。
著者は、行政や医療従事者だけでなく一般の人々もこの問題に関心を持ち、議論を深めることがこの国の医療崩壊を防ぐための第一歩になると述べています。これからの日本医療について深く考えさせられる一冊です。