「総合診療かかりつけ医」が患者を救う

菊池 大和[著]

2021.12.17

990円(税込)

幻冬舎

新書

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書籍内容

地域医療が重視される時代
社会に求められる「本当のかかりつけ医」とは

地域医療にとって本当に必要なのは「なんでも診る」「いつでも診る」医師です。
「うちでは分からないから、ほかへ行って」では、国が考える医療の「入り口」
にはなりません。
診断をつけ、高度な治療を要する場合はより専門性の高い医療機関へ紹介するのが
本来の役割です。
さらに、夜間でも休日でも、困ったときにすぐ受診できれば、
これほど安心なことはありません。それが「総合診療かかりつけ医」です。

具合が悪くなったり、けがをしたりしたときに、医療の「入り口」となるのが
「かかりつけ医」です。
日本医師会の定義では、「身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う
総合的な能力を有する医師」とされています。
かかりつけ医が診断をつけたうえで、
重症な患者をより専門的な治療を受けるために規模の大きい病院へ紹介することで、
効率よく質の高い医療が実現できます。
しかし、実際にはその医療の入り口がうまく機能していません。
日本の医療は臓器ごと、診療科別といった「縦割り」体制に発達しているため、
自分の専門しか診ないという医師が多くいます。
そのため患者は、症状や部位によって何軒もの診療科を回らなければいけないこと
になり、
なんでも相談でき、自分の身体の状態を把握しているかかりつけ医をもつことが
できていないのが実情です。
本書では「なんでも診る」「いつでも診る」を実践する総合診療かかりつけ医の著者が、
縦割りの体制など現在の日本の医療が抱える問題点をふまえ、
本当に必要とされる「かかりつけ医」とは何かを語ります。

目次

はじめに

第1章 地域医療が重視される時代に、ますます高まるかかりつけ医の重要性
少子高齢化に待ったなし! 医療ニーズが増え続ける日本
必要なときに必要な医療が受けられる体制づくりが急務
キーワードは「地域」。医療も介護も住み慣れた街で
医療機関の「役割分担」を明確にする
困ったときの最初の入り口が「かかりつけ医」

第2章 自分の専門外は診られない、すぐにたらい回し、ワクチンも受け付けない……
巷に溢れる「名ばかりかかりつけ医」
あなたのかかりつけ医は誰ですか?
縦割り医療ニッポンの弊害
腰が痛い=整形外科は誤り! 症状で受診先は決められない
見逃したら手遅れになる病気はこんなにある!
総合病院なら安心、のうそ
薬が増えることの危険
不要な検査が行われることも
コロナワクチンで分かった「名ばかりかかりつけ医」
名ばかりかかりつけ医は、その人の全身は分からない
救急に対応できないという問題
心のケアこそ身近な総合診療かかりつけ医が必要

第3章 365日診療で、患者の全身の状態を把握するドクター
「総合診療かかりつけ医」とは――
どんな不調も診る医師が必要
細分化、専門化が進んでいった日本の診療体制
総合診療できることが医師の基本要件
大病院には増えつつある総合診療科
総合診療かかりつけ医ができること
総合診療かかりつけ医は「いつでも診る体制である」
総合診療かかりつけ医は「検査設備がそろっている」
総合診療かかりつけ医は「救急も受け入れ安心感を与える」
総合診療かかりつけ医は「家族みなが医療を受けられる」
総合診療かかりつけ医は「検査や薬の重複を避けられる」
総合診療かかりつけ医は「昔からの経緯を分かってもらえる」
病気の治療だけでなく健診や予防も
総合診療かかりつけ医が患者の情報リテラシーを上げる
いつでも頼れる心強さは何物にも代えがたい
“総合診療先進国”の例

第4章 地域連携、設備の充実、スタッフマネジメント……「総合診療かかりつけ医」
のあるべき姿
私が「総合診療かかりつけ医」を目指したきっかけ
病院の総合診療科から開業へ
検査機器へのこだわり
地域連携で高度な医療も受けられる
いつでも頼れるクリニックの条件
救急の受け入れ施設としての責任を果たす
開院2年で増床を決意
スタッフを増員、全員で患者情報を共有
スタッフに求めるたった一つのこと
心の通う医療を
もう1回来てくださいね
コロナ禍で発熱外来を開設
マスコミからも注目される存在

第5章 「総合診療かかりつけ医」が増えれば、救われる患者も増える
高齢社会の医療は専門性よりも総合力
総合診療かかりつけ医を自治体公認の施設に
医学生時から「総合診療」を目指せる仕組みを
医療が進歩した今こそ、「なんでも診る」が命を救う

おわりに

著者:菊池 大和

■ 菊池 大和/キクチ ヤマト
医療法人ONE理事長
きくち総合診療クリニック院長
2004年3月福島県立医科大学医学部卒業、4月浜松医科大学医学部附属病院 初期研修医、
2005年5月袋井市民病院 外科 研修医、
2006年4月 磐田市立総合病院 外科 後期研修医、
2008年4月国立がんセンター東病院 呼吸器外科 レジデント、
2009年9月湘南東部総合病院 外科 外科科長 救急センター長/
湘南地区メディカルコントロール協議会登録指示医、
2016年4月座間総合病院 総合診療科、
2017年きくち総合診療クリニック開業

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