知らない自分に出会う精神分析の世界
書籍内容
理由の分からない憂うつ、怒り、不安、落ち込み
精神分析でその原因を探る
自分でもなぜか理解できない発言や行動の原因は
過去の記憶や体験によって抑え込まれた自分の本来の感情が潜む
「無意識的な領域」にあった!
日常で起こるさまざまなできごとに対して、
自分で判断して行動していると思っている一方で、
「あんなことを言うつもりじゃなかったのに」
「なんであんな間違いをしてしまったんだろう」など
自分でも理解できない発言や行動をすることがあります。
人の心には、自覚している「意識的な領域」と
自覚していない「無意識的な領域」があり、
無意識的な領域をひも解いていくと、
過去のつらい記憶や体験から抑え込んでいた自分の本来の感情が見えてきます。
それを意識的な領域に戻して向き合うことで
思いもよらない発言や行動の原因を解明することができるのです。
精神科の医師として、
不眠症やうつ病・パニック障害などの症状に悩む人を診療してきた著者は、
自分でも意識することのできない心の奥底、無意識を探索し、
理解しようとする精神分析を行っています。
本書では具体的な事例を紹介しながら
「精神分析的な考え方」がどういったものかを考察しています。
自分自身の心を深く知りたい人に読んでほしい一冊です。
目次
はじめに
第1章 心がつらくなるのには理由がある
心はどこにあるのか
「快・不快」の感覚が心を育む基礎となる
心も体と同じように発達していく
・思春期(12~18歳ごろ)
・青年期(18~40歳ごろ)
・中年期(40~65歳ごろ)
・老年期(65歳以上)
心は成長しても赤ちゃん返りすることがある?
葛藤の先に心の回復がある
耐えられるストレスの限界を受け入れる
心には自らを守る機能が備わっている
トラウマは世界に対する信頼を失った状態
自尊心、自己評価の低さについて
《コラム》ひとりの時間
創造と万能感
第2章 心のありようや成り立ち、
無意識を探る精神分析とは
意識できない「無意識」は、意識の背後で常に動いている
心を分かりやすくモデル化したフロイト
夢は無意識を理解する入り口
夢には抑圧された願望が投影されている
無意識論はフロイト以前にもあった
精神分析に影響を与えたフロイトの生い立ち
抑圧を取り除くことに人は〝抵抗〟する
時代とともに精神分析の考え方も変化している
精神分析の考え方に基づいた精神分析的精神療法とは
スポットライトが当たっていない部分を探索する
精神分析的精神療法の実際
治療者も治療を受ける必要がある
患者と治療者の相性はあるのか
精神分析的精神療法にエビデンスはあるのか
日本に精神分析が根づかないのは?
ホラー映画の「恐怖」が表しているもの
《コラム》「偶々(たまたま)」について
第3章 憂うつ、怒り、不安、落ち込み
――日常的な診療で出会うケースの精神分析
自分の考えや行動を省みること
「憂うつ」を感じるケースとその無意識的な原因
CASE 1 なにをやってもうまくいかない、いくら頑張っても報われない
CASE 2 毎日同じことの繰り返しで閉塞感がある
CASE 3 人にうまく頼ることができない
うつ病と憂うつ、落ち込みの違い
「怒り」や「攻撃性」が問題になるケース
CASE 1 DV加害者の被害感情
CASE 2 依存の問題を抱える男性にばかり惹かれてしまう
「嫌悪」感にまつわる気持ち
CASE 1 いつも素行の悪い男性を選んでしまう
「不安」が問題になっているケース
CASE 1 人の意見に左右されやすい
CASE 2 幸せなはずなのになぜか憂うつになる
CASE 3 周囲の期待とそれを裏切ることへの恐れ
「怯え」を感じるケース
CASE 1 人から頼まれると断れない
CASE 2 小さなミスにも動揺してしまう
CASE 3 相手を思って厳しくしたのにパワハラと言われる
「落ち込み」を感じるケース
CASE 1 頑張っているのに認めてもらえない
CASE 2 大切な人を亡くしたとき
《コラム》1キューブラー・ロスの死の受容プロセス
2結果と過程について
第4章 精神分析で自分の心と正面から向き合う
どんな状態や場合が分析的治療の適応になるのか
精神分析でスッキリするわけではない
相手にうまく依存できるようになること
精神分析的精神療法を受けるモチベーション
人の性格をパターン化してとらえようとすることについて
精神分析はいろいろな分野に応用できる
集団によって支えられること
精神分析的精神療法についてよくある質問に答えます
《コラム》新型コロナウイルスとヤマアラシのジレンマ
おわりに