AI防災革命 災害列島・日本から生まれたAIベンチャーの軌跡

村上 建治郎[著]

2021.12.01

1650円(税込)

幻冬舎メディアコンサルティング

単行本

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書籍内容

激甚化する自然災害をAIで救い、
災害状況を即時に可視化して予測する。
AIベンチャーが描く未来の防災

2011年の東日本大震災から、早いもので10年が経過している。
災害大国である日本は、今も予報技術の開発や防災設備の建設に巨額の予算を
投じているが、
天災はそうした努力を易々と凌駕する規模で人間をいつも圧倒するのだ。
ハードの力で災害に対抗するには限界がある。
ならば、情報の力でその脅威に対抗できないか。それが私の考え方である。
(「はじめに」より抜粋)

日本は元来、自然災害の多い国であるが、
近年は気候変動の影響と思われる災害がこれまで以上に頻発するようになってきた。
また、それに備える防災という分野は、長らく土木や建設業が大部分を担ってきた。
しかし、想定外の被害を減らすために今後より重要になってくるのは、
リアルタイムに状況を見える化し予測することである。
そんな新しい防災のカタチをAIによって実現しようとしているのが、
スタートアップ、スペクティだ。
SNSの投稿などからAIが情報を精査・解析し、
「予測する防災」を可能にしたサービスを提供している。
それは現在、全国47都道府県の防災部門の8割で導入され、
民間企業でも約500社が採用するまでにいたっている。
本書では、「防災」という珍しい領域で事業を成長させてきた企業の取り組みを
描くとともに、
「防災×AI」で何ができるのか、何をするべきなのか、
その現状と未来の防災の可能性について展望する。

目次

はじめに

第1章 2つの大震災から生まれた小さな魂――
「防災で起業する! 」
・阪神・淡路大震災で体験した震災ボランティア
・東日本大震災で感じた違和感
・メディアの情報は現場を反映していなかった
・SNSが発信するリアルタイムな現地情報
・被災地を離れることができなかった
・起業への憧れ
・退職金は運転資金に消え、アルバイトで食いつなぐ
・「面白そう」でついてきてくれたアキバ仲間
・アプリケーションは完成したものの……
・「スペクティ」誕生
・「報道に使える」という光明
・全国の報道機関をヒアリング行脚

第2章 報道機関向けアプリケーションを開発するも資金繰りが限界に……
破綻直前に「志」が運命を救う
・熊本地震で知られざる現場の報道に寄与
・「あの映像の情報源は?」と問い合わせが殺到
・技術は認められても出資は得られない苦悩
・海外経験の長いベテランほど「スペクティ」の価値を理解
・AIが情報を精査し選り分ける
・競合を見るな、顧客を見ろ
・顧客への価格交渉力を獲得
・ヤフーからの出資
・ベンチャーキャピタルに好かれなかったわけ
・あくまで進むべきは防災の道

第3章 小さな成功に惑わされず、起業時の目的に立ち返る
新たなテクノロジーを活用して全国シェア獲得
・「脱報道」から「AIで防災」へ
・デマや憶測は命の危機を招く
・情報は必要なものだけでいい
・「どこで」がなければ情報は無意味
・情報の取捨選択を劇的に変えた「AI」
・「人の目」での確認の重要性
・24時間365日、情報を監視・精査するエキスパートたち
・「スペクティ・クオリティ」
・人が介すると情報の手触りが変わる
・現場だから実感できる価値
・現在は8割の都道府県の防災部門が「スペクティ」を導入
・「スペクティ プロ」に込めた矜持
・「脱SNS」から「危機の可視化」へ

第4章 「市場のサイズ」「起業の常識」より大事なもの
「わが道」を選び続けることが事業成長につながる
・市場規模を気にしない
・市場のサイズよりも「意味のある商品を出せるか」
・成長市場をねらう必要はない
・成熟市場・停滞市場は、実はねらい目
・成熟市場・停滞市場にも難しい面がある
・市場を選ぶ判断は「やりたいか」と「壊せるか」
・スタートアップはニッチ市場が有利
・「儲かるか」よりも「顧客の課題は解決したか」を見る
・スタートアップの最大の武器は「機動力」
・「ランチェスター戦略」を意識せよ
・スペクティ対上場企業
・ニッチ市場のトップになると次に進める
・天気を軸に世界的に展開したウェザーニューズ
・「やりたい分野」から離れすぎてはいけない
・「儲かりそう」から距離をとる
・「やらない領域」を決めておく
・「スタートアップは営業に代理店を使うな」は本当か?
・顧客への窓口に大手代理店は最適だった

第5章 防災は「未来」を見るステージへ
AIの活用が次の成長を促進させる
・未来の防災に求められるもの
・「今を伝える」から「未来予測」へ
・デジタルツインによる被害予測シミュレーション
・SNSの画像1枚からリアルタイムで水害状況を予測
・「宇宙の目」で予測精度を向上
・スマートシティのインフラを目指す
・MaaSの世界で「なくてはならないもの」になる
・防災ビジネスはもっと盛り上がっていい
・これからの防災はハードよりソフト
・「予測して動く」を当たり前にして「リスクゼロ」を手放す
・危機管理情報を新しいビジネスへ

おわりに

著者:村上 建治郎

株式会社Spectee 代表取締役 CEO
1974年 東京都出身。
米ネバダ大学理学部物理学科卒、早稲田大学大学院商学研究科修了(MBA)。
エー・アイ・アイ株式会社(ソニー子会社)にて、
オンライン・デジタルコンテンツの事業開発を担当。
2005年 米Charles River Laboratoriesに入社し、日本企業向けマーケティングに従事、
2007年 シスコシステムズに入社、パートナー営業などを経て、
2011年東日本大震災の発生直後から災害ボランティアを続ける中で、
被災地からの情報共有の脆弱性を実感したことをきっかけに、
被災地の情報を正しく伝える情報解析サービスを目指して
ユークリッドラボ株式会社(現・株式会社Spectee)を創業。

ネット書店

  • https://amzn.to/3f3Yc6Z

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