監査法人の原点[新装改訂版]

書籍内容
公認会計士はいかなるときも正しくあれ
公認会計士の仕事とは、
企業の決算書が会計基準に基づき、
適正に作成されているか否かについて
監査意見を表明することであり
企業の信用を担保する重要なものである。
著者は、一橋大学経済学部卒業、公認会計士第二次試験合格後、
第一勧業銀行(現みずほ銀行)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)を経て、
2008年に監査法人アヴァンティアを設立。
太陽監査法人時代にさまざまな業界の企業を担当することで培った
経営全般の知識をもとに、
企業が目指す未来戦略について実現可能性を正確に分析、
将来の企業価値を予測し支援することで多くの企業を成長に導いてきました。
また、慶應義塾大学環境情報学部准教授、千葉大学法経学部講師を歴任し、
現在は、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構監事、
東プレ株式会社(東証第一部)社外取締役、
都築電気株式会社(東証第一部)社外監査役、
一橋大学大学院経営管理研究科講師と活躍の場を広げています。
本書では、公認会計士の多くが官僚主義的に監査業務をこなすだけになっている現状に
疑問を呈し、企業を育むパートナーとしての公認会計士のあるべき姿を提示します。
目次
はじめに 「不円満」であっても公認会計士業界に提言しなければならない
[第1章] 監査法人・公認会計士を取り巻く現状
・監査法人業界を取り巻く環境
・監査法人売上高ランキングに見るこの10年間の推移
・公認会計士人気が漸増、女性進出が進んできた公認会計士業界だが
・会計不正はむしろ増えている
・コンサルティング業務における国際的規制
・日本の証券市場の特異性から監査法人交代を考える
・IPO市場における監査法人の役割
・監査業務といっても一様ではない
[第2章] 監査法人の役割・公認会計士のやり甲斐とは
・過去を記録する仕事から、未来を見積もる仕事へ
・監査法人はいつだって企業の戦略パートナーでなければいけない
・2000年に始まった会計ビッグバンからIFRSの時代は始まっていた
・組織の力が増大し組織人化、公務員化した監査法人
・公認会計士の原点は“自由職業人”、そのことを忘れてはいけない
・「戦略を理解できない者は監査をしてはいけない」が基本
・現場から経営陣にまで、いかに効果的な取材ができるか
・公認会計士がしっかりしなければ企業が揺らいでしまう
・自らリスクを取り企業と同じ船に乗れ
・「未来を見積もる」だけでなく「未来を築くお手伝いをする」ことが大切
[第3章] 会計ビッグバンから始まった、監査法人受難の時代
・バブルの時代に銀行という組織を経験
・太陽監査法人で自分を磨いた10年間
・会計ビッグバンと中央青山監査法人の消滅
・時代はうねり、そしてライブドア問題を迎える
・繰延税金資産と銀行の破綻。公認会計士が叩かれた時代
・前代未聞の解散劇。太陽監査法人も拡大の道を歩むと確信した
[第4章] 監査法人はなぜ巨大化・官僚化したのか?
・決定権者と現場との乖離が促した監査法人の機能不全
・なぜ監査法人は巨大化してしまったのか
・自由職業人の原則が崩れた監査の現場
・監査法人の適正規模とは
・自由職業人としてのスタンスを守るための組織
・欧米の巨大会計事務所との提携に潜むもう一つの弊害
・太陽監査法人の創業者から学んだこと
・個人の公認会計士事務所と監査法人の大きな違い
[第5章] それでも会計不祥事は続いている
・2000年代、一連の問題で監査法人は変わったのか
・「東芝不適切会計問題」で浮き彫りになった課題
・不祥事をなくすためには何が不足しているのか
・監査法人に今後求められるものとは
・日本公認会計士協会は変革しなければならない
[第6章] 自由職業人を育てる組織づくりという挑戦
・有限責任監査法人制度は本来のパートナー制度とは合致しない
・採用の基準は才能ではなく相性を重視
・徹底的に教育する、生涯学習する組織を求めて
・自由職業人になるための教育。必要なのはソーシャルパワー
・公認会計士にとってのハッピーリタイアメントとは
・公認会計士のあるべきキャリアパスをアフォードする
[第7章] 監査法人の未来・公認会計士の理想像
・サービス労働者から知識労働者へ。ポスト資本主義社会に生き残れるか
・成長途上の挫折とその超克
・中堅監査法人としてのミッション・ビジョン・バリュー
・ポストコロナ時代をどう迎えるか
・「AVANTIA 2030」で提唱するビジョンの実現
・生産性を上げるには、給与を増やす
・監査法人のSDGsの本質を考える
・リスクテイクこそ私たちの役目、誇り
おわりに 時代はどんどん変わりゆくが、本質は変わらない