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『世界の一流は「休日」に何をしているのか』著者・越川慎司インタビュー|心身をリフレッシュし、自己効力感が高まる「休日改革」を実践するためのメソッド
休日はきちんと休んでいるのに、仕事の疲れが抜けない。こうした悩みを抱えている方におすすめの書籍が、『世界の一流は「休日」に何をしているのか』です。自らの体験をもとに、株式会社クロスリバーを創業した著者の越川慎司氏が、心身のリフレッシュを図り、仕事のパフォーマンスを高めるための「正しい休み方改革」の実践法を紹介。世界水準のエリートであるエグゼクティブに共通する休日の過ごし方をヒントに、自ら実験して導き出した「休日改革」について、越川氏に伺いました。
日本人はなぜ休んでも疲れているのか
ーー『世界の一流が「休日」に何をしているのか』が刊行されたきっかけをお聞かせください。
2019年に働き方改革関連法が順次施行され、日本のビジネスパーソンの労働環境は様変わりしています。しかしながら、現実的には、残業が制限されたことによって限られた時間内で成果を残さなければならず、人々にかかる精神的なプレッシャーは増長していると思われます。
さらに、日本の労働人口が減少する中、一人ひとりの果たす役割が大きくなったのにも関わらず、頑張りが評価されないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
私自身もかつて多忙な生活を送る中で心と身体のバランスを崩し、二度も仕事を休まざるを得ない状況に陥りました。
この経験をもとに、弊社では「働く時間以外を充実させたら平日の稼働時間内における生産性は上がるのか」という仮説を立てて、調査を実施。自分自身も「休み方改革」を実践した結果、生産性が上がることを実感することができたのです。
私が本書を執筆した一番の目的は、働き方改革の先にある「正しい休み方」の実践法をお伝えすることで、心身のバランスを整え、ワークとライフの両方の充実を図っていただくことにあります。世界の最前線で活躍する一流のビジネスパーソンの休日の過ごし方をお伝えすると共に、今すぐ実践できる「休日改革」のための具体的なアクションを紹介します。
ーーなぜ日本人は「休む」ことが苦手なのでしょうか。世界との違いは何だと思われますか。
日本と欧米諸国の大きな違いは、事業を生み出す仕組みと評価制度です。
日本では古くから人間の労働力に頼る労働集約型モデルの企業が多く、働かなければ売上は上がらないという風潮が浸透しています。
「働けば働くほど売上が上がる」という考え方に基づく労働集約型モデルにおいて、ビジネスパーソンへの評価は、労働の質ではなく、労働の量を評価される傾向にあります。
それによって、「休む=怠ける」という考えが根付き、日本人は休むことに対して罪悪感や後ろめたさを感じてしまう人が多いのです。
その反面、欧米諸国には長時間労働は能力の低い人がやることだという認識があります。
欧米では、7時間で10の成果を出す人よりも、4時間でも10の成果を出す人の方が高く評価されるのが、ビジネス界の常識です。プロセスではなく、結果を評価されるという点が、日本と他国の大きな違いだと思います。
一流の人々に共通する「休日」の過ごし方とは
ーー多くの日本人と、世界の一流の人々の休日の過ごし方の違いはどこにあると思いますか。
日本人の多くは、働くことに精一杯力を入れているため、身体と心を休めることに休日を費やす傾向にあります。
平成26年版厚生労働白書によると、日本人の休日の過ごし方のトップ3は男女ともに「何となくスマホを見て過ごす」「動画やテレビを見て過ごす」「何もせずにゴロ寝で過ごす」という項目が占めており、忙しい仕事から離れて、ボンヤリとできる時間を持つことが「一番の休日の過ごし方」と考えている人が多いようです。
これに対して、欧米のビジネスパーソンの考え方は、「仕事で成果を残すためには、正しく休まないといけない」という傾向が見られます。
私が以前勤務していたマイクロソフトのエグゼクティブたちの休日の過ごし方を観察してみると、大きく二つの共通点があることに気づきました。
一つは、土日の休日を次の1週間を成功に導くための準備期間と考えて「自己再生」(本来の自分を取り戻す)を意識していること。
もう一つは、スポーツや趣味、家族や友人と過ごす時間を楽しむことで身体と心、脳のリフレッシュを図り、次の1週間に向けてエネルギーをチャージ(充電)していることです。
彼らは、休日を休息のための時間ではなく、仕事で成果を上げるための「原動力」だと捉えているのです。
ーー 世界の一流が「休日」を活用している具体的な方法や習慣をご紹介ください。
たとえば欧米の人々は土曜日にキャンプやツーリング、山登りなどを思い切り楽しんだ後、日曜日は家で読書をしたり、家族と食事に行くといったような「静」の時間をゆったりと過ごします。2日間の休みを使い分けながら休日を満喫することで、自己再生とエネルギー・チャージという二つの目的を実現しているのです。
彼らは、「充実した休日を過ごすことで、仕事の成果が上がる」→「成果が上がれば、休日が楽しくなる」→「休日が楽しくなれば、さらに成果がアップする」・・・というようなサイクルを回すことによって、「人生を楽しくしている」のだと思います。
また、世界の最前線で活躍する一流の人は、自分で意識してダラダラしたり、ぼーっと過ごす時間を作っています。一見、休日は目覚まし時計をセットせずに昼頃起床し、気がつけば夕方になっていたという日本人と同じような行動に見えますが、その差はどこにあると思いますか。
世界で活躍している一流の人は、「今日はダラダラする」と決めてダラダラしているので、そこには「時間自律性」が存在します。時間を自分でコントロールしているという思考が、「今日は予定通りできた」という自己効力感につながり、仕事で自信をもって判断できるというわけなのです。
これにより、少なくとも自己否定にはならないので、月曜日にブルーマンデーに陥る比率が下がります。
2度の精神疾患を経て休むことへの重要性に気づく
ーー休み方について考えるようになったきっかけを教えてください。
私は以前、マイクロソフトの役員を務めていたとき、仕事が楽しくて仕方ありませんでした。睡眠時間を削り、休みを惜しんで働いていた結果、精神疾患(うつ病)を発症し、立ち上がることすら困難な状態を2度も経験しているのです。
精神疾患を経験し、改めて考えたのは、働き方や休み方を見直すということです。生きていくうえで、働くことはゴールではなく、手段にしか過ぎないのです。これまでの働き方を変え、「 Do more with less 」=より小さなエネルギーで最大限の結果を出せるようにすることが、重要だと気づきました。
限られた時間の中で、最大限の成果を残すために何をすれば良いか模索した結果、マイクロソフトを退職し、企業の働き方改革を支援する株式会社クロスリバーを起業しました。
弊社では、800社以上の働き方改革と休み方を支援しながらも、メンバー全員が週休3日、週30時間労働、1日の睡眠時間7時間以上というルールを8年実践しています。
働き方や休み方について考えるきっかけになったという意味では、精神疾患を経験したことも幸運だったと思うことにしています。
ーー本書を読んで、一流の休日術を特に取り入れたいと考えた人へ、アドバイスを教えてください。
まず、注意していただきたい点は、本書は世界の一流を目指す方のために執筆したものではなく、「世界の一流の人の人が見つけたメカニズムを真似して自己効力感を高め、成果につなげたい」という方のために記したものだということです。
その理由は、本書は17万人の調査結果に基づき、最大公約数を上げたものであり、読み手の環境によって実践可能なことが異なるからです。
大切なことは、本書を読んだ後に実践できることをピックアップし、実験してみることだと思います。実験した結果、良いと思ったことは続け、無理だと感じたら他のメソッドを試してみることをおすすめします。
1日7分で「休養」と「教養」を手に入れるメソッド
ーー忙しい人でも短時間で実践できる おすすめの習慣を教えてください。
世界のビジネスパーソンは、休日に「休養」と「教養」を手に入れることで、仕事の生産性をアップさせ、自分の人生を豊かにしています。
本書の最終章では、休養と教養の実現に役立つ「1日7分」の簡単メソッドを紹介しています。この中の一つでも休日の新習慣に取り入れると、メンタルと脳をリフレッシュでき、仕事の効率アップにつながることでしょう。
「1日7分」の簡単メソッドには、大きく分けて下記に挙げる3つのアプローチがあります。
新習慣①:1日7分の瞑想~心を静めてストレスを解消する~
瞑想は、世界のビジネスパーソンの多くが取り入れているリラックス法です。休日の朝や就寝前に5〜7分ぐらい瞑想するだけで、ストレス解消や集中力アップ、不眠解消などの効果が期待できます。
新習慣②:1日7分の「ジャーナリング」~書き出すことで集中力を高める~
ジャーナリングは「書く瞑想」とも呼ばれ、マインドフルネスの手法の一つとして世界中のビジネスパーソンが実践しています。
その方法は、頭に浮かんだことをランダムに紙に書き出すというもので、頭の中に思い浮かんだことを思いつくまま書き出していくと、自律神経が整う感覚が味わえます。
新習慣③:1日7分の読書~インプット量を増やして新たな学びを得る~
普段、読書の習慣がない人でも、わずか7分だけ本に触れてみると、未知の情報に出会うことができます。本の「はじめに」だけ読むとか、要約サイトを閲覧したり、本のまとめ動画を1.5倍速で観るだけでも、効果的です。
また、日々の生活で取り入れられるおすすめの習慣は、スマホから離れ、デジタルデトックスの時間を作るということです。特に良質な睡眠を得るためには脳を休ませることが重要で、少なくとも眠りにつく30分前にはブルーライトを浴びない習慣を身につけることをおすすめします。さらに、就寝する1時間半前ぐらいには入浴を済ませ、体温が下がるタイミングで眠りにつけば睡眠の質も向上し、頭がスッキリした状態で朝を迎えられると思います。
ーー最後に、休日の過ごし方に悩んでいる方、充実した休日を過ごしたい方へメッセージをお願いいたします。
仕事で忙しい日々を過ごしている方も、休日の過ごし方は自分自身の意志で変えることができます。自分の休み方を見つめ直し、休み方改革を実践することで自己効力感が高まり、心身と脳のコンデションが少しでも良くなっていたら、その実験は成功です。
みなさんの行動実験を心より応援しています。