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『「自分らしい自分」の見つけ方』著者・ReikoSenseiインタビュー|大切なのは「考え続ける」こと。あなたを動かす『価値観』とは
自分らしさとは何か。自分らしく生きるにはどうすればよいのか。——多くの人が生涯向き合い続けるこの問いに、考えるための指標を与えてくれるのが、新刊『8つの価値観でわかる!「自分らしい自分」の見つけ方』です。 著者は、感情的知性(EQ)の専門家であり、人材育成トレーナーとしても精力的に活動するReikoSensei。教育現場で日々感じていることや、本書の活用法について伺いました。
EQスキルを活かして人材育成トレーナーに

ーーご専門の領域と現在のお仕事についてお聞かせください。
子どもの頃に海外で暮らした経験を生かし、通訳の仕事をしていた時期がありました。
そのご縁で、海外の人材育成プログラムに関する翻訳を任されました。内容が非常に奥深く、中途半端な理解では訳せない。学ぶほどにその世界へ引き込まれていきました。そこで出会ったのが「感情的知性(EQ)」と「自己認識」の概念です。
IQは知能指数として知られていますが、EQは「心の賢さ」を指します。人材育成の分野では20年以上前に注目され、日本の企業研修にも取り入れられました。近年、再び関心が高まっています。
現在は、EQスキルの専門家として、英語教室や人材育成の現場でコンサルティング等を行っています。
自分らしさを探し続けた末に出会った学び

ーー著書のタイトルは『「自分らしい自分」の見つけ方』。普遍的なテーマですが、先生ご自身も「自分らしさ」を探し続けてこられたのでしょうか。
これまでの人生で、「自分はどんな人間なのか」を幾度となく考えてきました。
周囲からは「いつも元気で楽しそう」「君なら大丈夫」と言われるタイプでしたが、内心は長く孤独で、自分はそれほど強くないと感じていました。それでも、人前で弱さを見せることができなかったのです。
人には見せられない悩みを抱えたまま、40歳頃まで必死に生きてきました。そんな折に出会ったのが、先ほど触れた「自己認識」の概念でした。
ーー自己認識の概念を学ばれて、どのような変化がありましたか。
多くの人が似た悩みを抱えており、それは昔から変わらない。強さも弱さも誰もが持っていて、ただ現れ方が人それぞれ違うのだ、と気づきました。
不得意を無理に克服しようとするより、弱みを受け入れ、周囲の力を借りる。そのうえで自分の得意で返していく。そう考えられるようになってから、長年の重荷から解放されました。
ーー著書『「自分らしい自分」の見つけ方』を執筆された経緯をお聞かせください。
きっかけはコロナ禍でしたね。ある著名人の訃報に触れ、「私もいつかは死んでしまうんだ」と痛感しました。そのときに、せっかく得たものをなくしてはいけない、頭の中にある知識や経験をどこかに残さなくては、と強く思いました。
多くの方が自分自身について学び続けられるよう、本という形で残すことにしたのです。
世界で生きる力を育てる英語教室

ーーかつて英語教室を主宰され、人材育成のメソッドを取り入れた教育を実践してこられました。現在の活動も含め、概要をお聞かせください。
当初は自宅の一室で近所の子どもたちに英語を教えていましたが、口コミで広がり、気づけば100人超の教室になっていました。のちにコロナ禍を機に運営形態をオンライン中心へ切り替え、現在はパーソナル指導のみをお受けしています。
英語そのもの以上に、世界で堂々と生きるための「自分の意見を伝える力」を育てることを重視してきました。海外の方々と仕事をする中で、語学力だけでなく、挑戦を支えるタフなメンタルと「自分力」が不可欠だと痛感しているからです。
発音や文法の誤りがあっても、挑戦そのものをその場で肯定する——「今の、とても良かったよ!」と即時にフィードバックする姿勢を大切にしてきました。
現在は、現場で教える立場に加えて、教育者を育成する研修や、地理・環境の理由で学びが届きにくい方々へ学習機会を届ける取り組みに比重を置いて活動しています。
ーー本の中では教室での興味深いエピソードが紹介されていましたが、他にも何かあればお聞かせください。
中学1年生で成績が大きく下がり、勉強への意欲を失っていた男子生徒との時間が印象的でした。
話を丁寧に聞くと、当時の環境が彼の価値観に合っていないと分かりました。変化には時間が必要だと感じたので、保護者にも協力いただきながら、中学3年間は「待つこと」を選びました。
ーー「待つ」とは具体的にどのような関わり方でしょうか。3年間、何を重ねていったのですか。
とにかく、できる限り彼のペースに合わせて、彼の話を聞き、彼の行動について一緒に考えていました。彼の中で何が起きているのか知りたかったし、本人も自己理解のプロセスを歩んでいきました。得意と不得意を見極め、強みと弱みを整理していったのだと思います。
やがてスイッチが入り、無事に進学をして今では薬剤師を目指して勉強しています。
最近再会した際、「あの3年間がなかったら全然違う人生だったかもしれません。自分を見つめ直す貴重な時間でした。」と話してくれました。
ーー先生のような人材育成の知識を持った伴走者がいたことが、大きな支えになったのですね。
そうだと(いいなと)思います。たとえばサッカーのシュート練習の後に「15回目に蹴ったシュートが良かった」と伝えても実感しづらい。それよりも蹴った瞬間に「今のシュートがいい!」と即時に伝えることが必要なのだと思います。]
人の心を知るための練習の機会が減っている

ーーデジタル上のコミュニケーションが日常化するなか、子どもたちにはどのような変化が起きていると感じますか。
コミュニケーションは言葉だけではなく、それに伴う表情や仕草も含まれます。ところがデジタル上でのやり取りには文字中心で、絵文字等により感情を“演出”することも可能です。
例えば「ありがとう」というメッセージに笑顔の絵文字が添えられていても、実際に会ってみると印象が異なることがあります。微細な感情は、表情や声色から読み取る側面が大きいのです。
ーー絵文字の印象と実際の感情が一致しないことも、確かにありますね。
「ありがとう」にも実は何千通りもの形があるはずで、微妙な違いは表情や仕草を見ることで感じ取れるものです。その違いに適切に応じる力は、経験や練習によって育まれます。
しかし、小さい頃からテキスト中心のやり取りに慣れると、コミュニケーションの引き出しが増えにくくなる懸念があります。
ーー生身の人間同士の感情のぶつかり合いでしか育たないものもありますよね。
言葉の奥にある感情を知ることは時に辛いものですが、それを避け続けると、相手の言葉以上の意味を読み取る力や柔軟な対応力が育ちにくくなります。
ーー人間らしい温かさにも影響が出そうです。
運動会での順位付けについてはよく話題になり、「みんなが一等なら何も問題はない」という考え方もあります。
一等になれず落ち込む子を励ます場面もあれば、一等になった子が周囲から妬まれたり、僻まれたりする場面もあります。励ます子、一緒に頑張ろうと寄り添う子、それぞれの立場の子どもたちが悩み、支え合う。そんな甘くて切ない人間同士の感情の交わりの中でこそ育つ力があるのだと思います。
順位づけをするからこそ生まれる感情や行動もあるのではないでしょうか。そういうものが育つ機会が無くなってしまう可能性にはもっと注意すべきだと思います。
人の行動も言動も『価値観』に左右されている

ーー著書の中では「価値観」という言葉が多く出てきます。この価値観こそが私たちの行動や言動のベースとなる「無意識」をコントロールしているそうですね。
無意識については世界3大心理学者の一人フロイトによって広く知られるようになりました。フロイトは私たちが意識している感情や行動は氷山の一角にすぎず、実はその下に大きな無意識があると説いています。
フロイトの理論だけでなく、類似の心理学の考え方や仏教の教えなどにも触れる中で、「無意識の背景には『価値観』があるのではないか」と考えるようになりました。
ーー心理学者のユングやアドラーにも言及されています。今作は三者の心理学をベースにしているのでしょうか。
私は心理学の専門家ではないので、学術的に深く掘り下げているわけではありません(笑)
三者の理論そのものというより、そこで語られている「考え方」を、私が最初に学んだ人材育成メソッドの中で取り入れてきました。本書は、その考え方を、私自身が英語教室・コーチング・企業研修・子育てなどで実践してきた経験とともに、わかりやすく再構成した一冊です。
8つの『価値観』の診断方法を考案

ーー本書では、価値観を理解するための独自の診断法が詳しく解説されていますね。
無意識の中にある8つの価値観を、私は「inner8(インナーエイト)」と呼んでいます。診断にあたって4つの場面を設定し、それぞれ「どう考え、どう行動するか」をそれぞれ10個の設問に答えていただきます。
4つの場面に分けた点が特徴で、いずれも日常で頻出する状況です。
ーー具体的にはどのような場面でしょうか?
例えば『コミュニケーション』の場面があります。人との関わり方や集団内での振る舞いから、どのような価値観を持っているのか、自分は外向的か内向的か等の傾向が見えてきます。
そのほか、目標達成までのプロセス、アイデア発想時の思考、選択・決断の際に重視する基準を捉える場面があります。
ーーこのinner8は、実際にどのように活用していますか。
一例として、かつて英語教室を運営していた頃には、生徒への「褒め方」にinner8を活用していました。子どもの価値観に合った褒め方は、非常に大切です。
たとえば目立つことが苦手な子を皆の前で称賛するのは、本人には負担となり、モチベーションを下げてしまう場合もあります。「どのように褒められたいか」は一人ひとり異なり、価値観をどれだけ理解できるかが鍵になります。
現在は個別指導やコーチングだけでなく、企業の管理職向け人材育成研修で活用する機会が増えています。次世代リーダーや子育て世代の育成にも、EQは欠かせないスキルです。内面の価値観を理解したうえでフィードバックしたり、相手に合った伝え方を選んだりと、同じ考え方を指導の中で生かしています。
大切なのは診断結果より考え続けること

ーーinner8診断は、指導の初期段階で実施しているのでしょうか。
必ずしも診断は行っていません。現在は個別指導やコーチングが中心ですが、関わる方の行動や言動を丁寧に観察し、価値観の手がかりを集めています。言葉の選び方やふとした行動、人との関わり方など、あらゆる場面が価値観を知るヒントになります。
ーー診断を行わなくても、価値観の傾向を踏まえて関わっているのですね。
はい。本当は「診断」や「タイプ分け」には少し抵抗があったんです。本の中では多くの人に伝わりやすいように『診断』という形を取りましたが、本質的には「自分で考える時間」を大切にしてほしいのです。
「ありがとう」に無数の表れがあるように、価値観もまた無限です。本書では便宜上8つのタイプに分けていますが、答えは一つではありません。
ーー私自身も診断してみましたが、確かに当てはまるものはいくつもあるように感じました。
大切なのは結果の「当たり外れ」ではなく、「なぜその結果になったのか」を考え続けることです。
ただ、考え続けるのは簡単ではありません。枠組みがあった方が考えやすいんです。例えば「好きなものは?」と聞かれるより「好きなフルーツは?」と聞かれる方が答えやすいですよね。それは「フルーツ」という枠組みがあるからです。
ーーInner8の「4つの場面」は、その枠組みに当たるのですね。
そのとおりです。「あなたはどんな人ですか?」と聞かれるより、具体的に「こんな場面ではどう考えたり行動しますか?」という質問の方が答えやすいはず。
本書は、考えるための枠組みや指標を提示するものです。思考のきっかけとして活用していただければ幸いです。
ーー診断を試みる方へのアドバイスがあればお願いします。
inner8診断は、一度で終わらせず、1か月後・3か月後・半年後と継続してみてください。そのときのコンディションや心理状態で結果は変わります。むしろ悪い状況のときほど意識や感情のコントロールが難しく「素の自分」が現れやすいかもしれません。
心の多様性にも注目してほしい

ーーこれからの教育者に必要な資質は何だとお考えですか。
いまは、教える側と学ぶ側の情報量が近づいています。教師が伝えようとする内容を、生徒がすでに知っていることも珍しくありません。
その環境で「何を教えられるのか」「自分にしか伝えられないことは何か」を模索しながら教壇に立つ方も多いでしょう。教える側も、学び続け、知識と情報をアップデートし続ける必要があります。
教育に多様性が求められる今こそ、「心の多様性」にも目を向けてほしい。本書で示した8つの価値観のように、その人が何を大切に生きているかを知ることは、心の多様性を受け入れる第一歩です。そこに時間を割けるようになるとよいですね。
ーー学校現場では、時間的にも心理的にも、先生方に余裕がないと感じる場面もあります。
学校の先生も、人材育成の講師も、本当に頑張っています。ただ、環境や制度上の制約も多い。教育者に資質を求めるだけでなく、考え、学ぶ時間を確保できるよう、社会や制度が変わることを願っています。
ーーありがとうございます。誰にとっても続いていく「自分探し」の旅に寄り添う一冊だと感じました。最後に、読者へのメッセージをお願いします。
繰り返しになりますが、この本は「自分のタイプを決める」ためではなく、「自分について考え続ける」ための一冊です。読み進める中で、誰に対しても「あなたがいてくれるから、今の私がいる」と思える、そんな気持ちが芽生えたら嬉しく思います。


