ストーリーtory
ある雪の降る日、みちるはマリアに出会う。
孤高のギタリスト、両親を知らず施設で育ったマリア。
知れば、知るほどに惹かれていくみちるだが、
手を伸ばせばいつでも触れられるほど近づいても、
決して愛は手に入らない。
傷を抱え、それでも潔く生きる大人達に背中を押され、
この愛を貫くために、
みちるは人生をかけた大きな決断をする。
漫画化が決定したときの内藤先生のお気持ちをお聞かせください。 内藤)本当に楽しみでしかなく、まるで命の生まれる瞬間に立ち会うような神聖な気持ちになりました。赤ちゃんを妊娠すると、エコー検査でお腹の中の赤ちゃんがだんだん大きくなっていく様子がわかりますが、そのときの妊婦さんとたぶん同じ気持ちですね。朔田先生からゲラなどが上がってくるたびに、ああ生まれるんだという不思議な、初めての感覚に襲われました。
まさにマリアが生まれるという小説のテーマを経験されたわけですね。朔田先生は、作画が決まったときいかがでしたか。 朔田)“バンドもの”は楽器を描くのが大変で、それは以前の経験から知っていたのですが、この「マリアライカヴァージン†」はそれでもぜひ描いてみたいと思える作品でした。「マリアライカヴァージン†」に登場するキャラクターたちの愛情はみなとても強烈です。これまで自分の漫画でこんなに濃い愛の世界は描いたことがなかったので、挑戦してみたいなと。
原作を読まれてどういう感想を持たれましたか。 朔田)まず内藤先生のエネルギーに圧倒されました。原作に描かれているみちるたちの心の強さや生きる力を漫画にできたら、きっと読んだ人も力を得られるのではないかと考え、挑戦のしがいがあると思いました。
キャラクターを作っていく上で、どのようなところを工夫されましたか。 朔田)原作を読み込んだうえで漫画として一番読みやすい形に再構成し、主役3人の存在感を出すところに気をつけました。「マリアライカヴァージン†」には個性的なキャラクターがたくさん登場します。それらのキャラクターのエッセンスは消さないようにしながら、物語の中のエピソードを凝縮して、みちる、マリア、教授の3人のキャラクターに集中させるところに力を入れました。
また、舞台となる街にも何度も取材に訪れ、自分の中にその空気感を取り入れて、街の空気とキャラクターが合致するように努めました。
マリアはすごくかっこいいですよね。 朔田)マリアは私の中に生まれたキャラクターではないので、迷いなくどこまでもかっこよくしました(笑)。