老朽化対策の決定版 構造物耐久性調査
書籍内容
補修か? 建て替えか?
構造物の寿命を科学的に評価し、最適な対策を導き出す!
高度経済成長期に建設された多くの構造物が築50~70年を迎え、耐用年数の限界に直面するなか、その対策は喫緊の課題となっています。特に橋梁やトンネル、官公庁施設などの社会インフラの老朽化は、我々の生活にも直結することから早急な対応が求められています。
これまでは老朽化した構造物は取り壊して建て替えるのが主流でしたが、近年は資源保護や環境問題への配慮から、既存の構造物を修繕し長く使用することが選択肢の一つとして取られることも多くなっています。
しかし、改修するか建て替えるかはコストの面で大きな差があるだけでなく、万一対応を誤った場合には重大な事故につながる可能性もあります。既存構造物の安全性を確保するためにはどのような対策をとるのがベストなのか――。著者は、その判断を下すための科学的根拠として構造物の耐久性調査が不可欠であると言います。
著者は、構造物の検査・調査・診断で50年近くの実績を持ち、新築構造物の品質確保に必要な超音波調査では業界トップシェアを誇る会社の経営者です。近年では超音波に加え、X線、ドローン、3Dレーザースキャナなどを用いた非破壊調査で、既存構造物の耐久性調査にも力を入れています。実際に、100億円以上かかると思われていた市庁舎の建て替えが調査の結果25億円の免震化で済んだり、見た目には問題のなかった水力発電施設の寿命が想定以上に短かったことが判明するなど、科学的な分析結果をもとに建造物の耐久性を公正に評価し、社会資源である構造物の安全かつ有効な活用に寄与しています。
本書では、著者の会社での豊富な事例を基に、構造物耐久性調査の基礎知識と具体的な検査方法を分かりやすく解説しています。
また、高所作業や狭小空間での点検を効率化するロボット調査や、従来の方法では検出が難しかった劣化や損傷を詳細に調べることが可能となる中性子を利用した新たな非破壊調査技術など、これからの実用化が期待されている調査技術についても詳しく紹介します。
建設会社や設計事務所、不動産開発業者など、構造物に携わるすべての人にとって、構造物耐久性調査への理解を深め、その重要性を改めて考えるきっかけとなる一冊です。